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2007年5月31日 (木)

「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」の歴史が始まる:信用と安心の源泉は何か?

 ベトナムで昨年末に設立された証券運用会社「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」(http://www.lotusimc.com)からの連絡によれば、おそらくベトナムで初めて、個人向け株式運用契約が5月30日に外国人との間で締結された。しかも、その外国人は日本の金融機関だそうである。

 確かに、これまで外国人のベトナム投資ファンドは多々あり、今後も募集され続けるであろう。それらの多くは「公募」であり、そのために投資家からベトナム株式投資までの距離が遠くなる。その間に証券会社・証券管理会社・証券運用会社・預託銀行などが介在し、その距離が長ければ長いほど手数料が積み上がっていく仕組みだ。結局、これらの手数料は高額になるが、それは一般投資家が安心するための費用と考えられてきた。

 これに対して、上記の「個人向け株式運用契約」は、投資家が投資運用会社と直接契約する。投資家から株式運用担当者までの仲介会社が省略されている。流通業界で言えば、メーカーと顧客が直接取引するようなものだ。

 ただし、流通業界の「卸売り」機能が健在であると同様に、投資信託における証券会社・証券管理会社・預託銀行などの役割は依然として重要である。前述のように、投資家のリスク削減(=安心)を提供しているからだ。また投資運用会社は、資金を募集しやすくなる。このような役割分担が依然として存在する。

 以上の「リスク削減(=安心)」の源泉は、ファンドを勧誘する証券会社に対する信用であったり、その資金を仲介する管理会社や預託銀行の知名度であったりする。しかし、必ずしも株式運用を直接担当する会社や個人を信頼しているわけではない。そもそも運用を担当するベトナムの会社が、どんな会社かを確かめて投資する人はいないだろう。そういった不安を投資家は、信用できる知名度のある証券会社や管理会社の介在で解消してきたのだ。

 しかし最近、大手証券会社の粉飾決算、また生命保険会社や損害保険会社の保険金の不払いに見られるように、信用と知名度のある金融機関の杜撰な経営姿勢が明らかになった。それは今に始まったことではなく、バブル崩壊後の「証券スキャンダル」の時代から不変である。さらに決定的なことは、最も信用できるはずの政府機関である社会保険庁までもが「年金問題」を顕在化させた。これまでの日本における信用・信頼の体系が崩壊している。

 「お上(かみ)のやることは間違いない」という信頼は完全に消滅したと言ってもよい。その信頼喪失が、表出しないのは、「そうではないはずだ」とか「そうでないだろう」という希望的で楽観的な気持ちが国民の間で存在しているからだ。

 「お上」が信用できないとなると、自分の目と耳で確かめたことしか信用できなくなる。株式投資の分野で言えば、自分の資産は自分で守る。自己責任の徹底ということだ。少なくとも自分が納得するまで担当者に質問すればよい。それで信用できなければ、その投資は断念する。

 さて、100万円を投資して、合計5%の各種手数料を証券会社や管理会社に1年間で払うとすれば、2年間で10万円になる。その10万円があれば、ベトナムを訪問して運用担当者に会って話し合うことができる。同じ10万円で、各種手数料を払うか、運用担当者に直接会うか。どちらの方が投資家は安心できるだろうか。これは意見の分かれるところだと思う。最善は、ベトナムの運用担当者が最初から信用できる会社または人物であることだ。そうなれば、わざわざベトナム訪問する必要もない。10万円も節約できる。

 もちろんベトナムの運用担当者は、ベトナム証券法の下に活動している。まったく信用できないということはない。WTO加盟を果たしたばかりのベトナムの国家的信用が低いことは事実だが、それだからこそ、ベトナムは国際的信用の向上のために、外国人投資家の信頼を獲得する努力をしているとみなされる。

 個人投資家と投資ファンドに依存してきた外国人のベトナム株式投資において、外国人の個人投資運用の業務を開始したことは、ベトナム証券市場の新しい扉をロータス社が開いたとも言いうる。同社設立の関係者として、これは非常に喜ばしい。ロータス社の今後に期待したい。

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