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2007年5月26日 (土)

ベトナム「証券法」を読んで(2):ベトナム証券市場は普通だ

 日本では、これまでの「証券取引法」に代わって「金融商品取引法」に本年9月から施行される。これに対してベトナムの「証券法」は、2007年1月1日から施行され、全部で11章・136条で構成されている。

 以下では、順次、日本におけるベトナム株式投資家にとって注目すべき条文について紹介し、それについて私見を述べる。まず、第1章 総則から検討する。なお、この表題の「普通だ」という意味は、文字通り普通ということだ。「ベトナムだから特別」ということではない。ただし、その特徴については、より詳細な国際比較が必要だ。

 第3条 証券法・関連諸法・国際条約の適用の第2項では、ベトナム法よりも国際法を優先することが明示されている。
 2.ベトナム社会主義共和国が加盟する国際条約にこの法律の規定と異なる規定がある場合は、国際条約の規定が適用される。
 外国人投資家がベトナム株式市場で何らかの問題に直面した場合を想定して、これらの国際条約についても情報を把握しておかなければならない。

 第4条 証券活動と証券市場の原則では、次の5項が規定されている。これらはベトナム証券市場が国際的に見て標準であることを示していると思われる。
 1.組織・個人の証券の売買、経営、証券サービスの自由の権利を尊重する。
 2.公平・公開・透明であること。
 3.投資家の合法的権利・利益を保護すること。
 4.損失に関して自己責任を負うこと。
 5.法律の規定を遵守すること。

 
 以上の第4条・第2項に関連して、第5条 証券市場育成の政策では、第2項で次のように述べる。
 2.国家は、証券市場が公平・公開・透明・安全で効果的な活動を行うよう保証する管理・監察政策を執る。
 ここで証券市場の取引について国家が責任を持つことが宣言されている。これに関連して、ホーチミン市やハノイの証券取引センターの運営規則が規定されているはずである。これについて別途に検討を必要とする。

 第6条 用語の解釈では、34項目について掲載されている。
 この中で「大株主」は、5%以上の株式所有者のことである(第9項)。さらに第12項は、証券の公募について次のように述べている。
 12.証券の公募とは、以下の手段の一つによって証券を販売することをいう: 
 a) インターネットを含む大衆的情報機関(マスコミ)を通じて;
 b) 機関投資家を含まない100以上の投資家への証券販売によって;
 c) 不特定の一定数の投資家への販売によって。

 すでに日本では手数料の安価なインターネット取引が盛況であるが、ベトナムでもインターネットを通した株式取引が想定されている。

 日本人がベトナム投資する場合、投資ファンドを通す場合が多い。これについては、次のように解釈されている。
 27.証券投資ファンドとは、証券もしくは不動産を含むその他の資産への投資より利益を得ようとする投資家の出資分から形成されるファンドをいい、そこでは投資家はファンドの投資決定について日々の点検を行う権利はもたない。
 このように投資家の行動を制限することは、逆にファンド運用者の責任を明確化することを意味する。日々の投資決定に投資家が口を出すことは、ファンド運用者に加えて投資家にも運用責任が及ぶ場合がある。そうなれば、ファンド運用者の職業的な責任が不明確になり、ファンド運用管理会社は、運用の成功報酬を受け取る正当性も不明確になる。
 
 投資ファンドの公募と私募の区分については、以下のように私募が、30法人までと規定されている。現在、「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」が組成中の「ロータス=グロース=ファンド」は、この私募の規定に該当している。
 28.大衆ファンド(公募投信)とは、証券投資ファンドがファンド証書(投資信託受益証券)を公募するものをいう。
 29.会員ファンド(私募投信)とは、証券投資ファンドが30を超えない出資会員を有し、その会員を法人に限っているものをいう。
                                              以下、続く。

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