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2007年5月19日 (土)

映画『北斗の拳:ラオウ伝・激闘の章』を見る

 『北斗の拳』は、私が40歳代になってから読み出したコミックだ。近所の散髪屋さんの待合いで偶然に読んだのが契機だ。もちろん全巻を繰り返し読んでいる。コミックとしては『柳生蓮也武芸帳』や『ゴルゴ13』に並んだ愛読書である。

 この映画は、ラオウを主人公にしている。ラオウの一直線の生き方は、主人公のケンシロウより以上に共感を生む。またラオウの最期の言葉、「我が生涯に一片の悔いなし!!」の名セリフは、世代を超えて多くの人々に継承されるであろう。

 「愛と哀しみを背負う」ことで修得できるという北斗神拳・究極奥義「無想転生」のコンセプトも魅力だ。ラオウに倒される(注:実質的には勝った)フドウも、南斗五車星に生まれずに、北斗神拳を学んでいれば、この「無想転生」を修得したであろう。

 この映画、原作のコミックに若干の脚色を加えながら感動的に仕上がっている。以下、コミック『北斗の拳』の魅力を私なりに少し語ってみよう。

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 1.時代背景の魅力
 このコミックの舞台は「暴力が支配する社会」。現在のような「お金が支配する社会」に代替する社会がありうることを若い人々に具体的に見せることがスゴイ。同様に新しい社会として頻繁に映画で描かれるは、「コンピュータが支配する社会」であろう。世界的にヒットした『マトリックス』がその典型だ、現代の資本主義が永遠に持続する社会でないことを若い人々に説明する場合、この『北斗の拳』は効果的な教材のひとつとなる。
 最近の政府が主張する「美しい国:日本」も、「お金が支配する社会」に対抗する社会像を示しているように思われる。「金儲けに熱心な社会」が「美しい国」であるはずがない。しかし実際は、「お金が支配する社会」に対して政府は本気で反省・自省していない。「経済成長を優先する社会」から、「人間性を重視した社会」や「日本の主権や独立を重視した社会」に変革されることが望ましいと私は考えている。

 2.「愛と哀しみを背負う」ということ
 人間の感情には様々ある。その中で「愛と哀しみ」は特別な意味をもっていると思われる。愛する者を失った哀しみ。これは人間のみならず、たとえば犬や馬などの動物にも存在する感情のように思われる。「愛と哀しみ」は哺乳動物に共通した感情ではないか。母親の体内から生まれ、母乳で育つという過程を通して発達する特別の感情ではないのか。もしそうであるなら、この感情を深く心に刻みつけた人間こそが、本来の人間らしい人間ということになる。
 ラオスは「強さ」を追求した。その剛拳それ自体は、その体格から見てもケンシロウを凌駕しているだろう。しかし勝負を分けるのは、拳の単純な強弱ではない。その拳に込められた精神力(=気力=オーラ)なのだ。この精神力は、学力・知力・財力・体力を基準にした評価に対する対抗軸となりうる。
 精神力=人間性の優位性を具体的に見せた『北斗の拳』は、前述のような学力・知力・財力・体力に基づいた「格差社会」に対する抗議の発端になる可能性もある。コミックの中のキャラクターである「コウケツ」を中心に描かれる社会は、まさに「格差社会」だ。家族のために無理矢理に働かされる競争社会と言ってよい。それを破壊するのは、ラオウの息子「リュウ」である。この構想力も『北斗の拳』が普遍的な名作である要因となっている。

 おそらく『北斗の拳』は、世界に誇る日本のコミックの一つとして歴史に残るであろう。若い人々に読み継がれて良い不朽の名作であると私は思う。

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