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2007年5月27日 (日)

ベトナム「証券法」を読んで(3):インサイダー取引規制

 ベトナム証券法においては、第1章 総則において、次のような禁止事項が明記されている。
 
 第9条 禁止される諸行為
 1. 証券の公募、上場、取引、経営、証券投資、証券サービス、証券市場に重大な影響を与えるために、事実を偽り、欺き、誤った情報を作り上げ、あるいは必要な情報を隠して誤解を生じさせる諸行為を直接、間接に行うこと。
 2. 証券の売買を紛糾、扇動させるために誤った情報を流すこと、あるいは市場の証券価格に大きな影響をもたらす事情についての情報を、適時に漏れなく公表しないこと。
 3. 内部情報を利用して、自らのためあるいは他者のための証券売買を行うこと;内部情報を漏洩、提供すること、もしくは内部情報に基づいて他者のために証券売買コンサルタントを行うこと。
 4. 価格を操作するために共謀して証券売買を行うこと;他者を惹きつけ、惑わせて売買を続けるなどの形で証券取引を行い、証券価格を操ること;その他の取引方法を組み合わせ、または利用して証券価格を操ること。

 これらの中で、いわゆる「インサイダー取引規制」は第3項であり、その「内部情報」は、第6条 用語の解釈において次のように定義されている。

 32.内部情報とは、公開会社もしくは大衆ファンド(公募投信)に関連する未公表の情報で、もし公表されれば、その会社もしくはファンドの証券価格に重大な影響を及ぼす可能性があるものをいう。

 この内部情報を認知する者(インサイダー)として、その次の第33項と第34項は次のように範囲を規定している。

 33.内部情報認知者(インサイダー)とは以下の者をいう:
 a) (株式)公開会社の取締役会構成員、監査役会構成員、社長または総裁、副社長または副総裁;大衆ファンド代表委員会構成員;
 b) 公開会社、大衆ファンドの大株主;
 c) 公開会社、大衆ファンドの財政報告監査員;
 d) 公開会社、大衆ファンド内の内部情報にアクセスするその他の者;
 e) 証券会社、証券投資ファンド管理会社、会社の証券業務従事者;
 f) 公開会社、大衆ファンドと経営協力関係を有し、サービスを提供する組織、個人およびその組織内の就業者;
 g) この項a、b、c、d、e、fの各号に定める対象から直接、間接に内部情報を受け取り得る組織、個人。

 34.関係者とは、以下の状況にあって相互に関係を有する個人または組織をいう:
 a) インサイダーたる個人の父、義父、母、義母、妻、夫、子,養子、実の兄弟姉妹;
 b) インサイダーたる個人がその職員、社長または総裁、議決権付き発行済み株式数の10%以上の所有主である組織;
 c) インサイダーたる組織の取締役会構成員、監査役会構成員、社長または総裁、副社長または副総裁、およびその他の管理職;
 d) インサイダーたる他者と直接間接に検査し、あるいは検査される関係にあり、または共同して検査を受ける関係にある者;
 e) インサイダーたる親会社、その子会社;
 f) ある者がインサイダーたる他者(相手側)の代理人となるような契約関係。

 これらのインサイダーが、第9条の規制の対象になる。ただし私の知る限り、これらのインサイダーの届け出義務は未だないようである。より厳格なインサイダー規制のためには、少なくとも証券会社と証券運用管理会社におけるインサイダーの氏名と持ち株の届け出が必要と思われるが、ベトナム証券法やそれに関連する規則では、そこまで規定していない。

 また後述するように、インサイダー取引の罰則規定(第126条 証券取引に関する規定違反行為の処分)によれば、インサイダー自身の株式所有それ自体を禁止しているのではなく、その情報漏洩などによる株式売買を禁止している。これらの規制について、国際比較の検討が必要である。そのことによってベトナム証券市場の信頼性が検証できる。

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