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2007年5月22日 (火)

ベトナム企業と「相思相愛」になれるか?:アジアビジネス成功の要点

 たとえば、これまで中国と取引していた日本企業が、その取引の一部をベトナム企業に移転しようと思う。「チャイナ=プラス=ワン」として「リスク分散」だ。適当な取引相手が見つかって、ベトナムでの仕事が始まる。

 日本企業は当然、契約の遵守を期待し、品質や納期の厳守をベトナム企業に要求する。ベトナム企業も、それに最初は答えようと努力する。何と言っても、新しい日本の顧客だ。信頼関係が重要なことはベトナム企業だって理解している。

 このような状況において、日本企業とベトナム企業は契約に基づいた取引を行うのであるから、何ら問題は発生しない。このように安心してしまうと、ひょっとして、近い将来に品質にバラツキが出たり、納期が遅れたりするような問題が発生するかもしれない。日本企業とベトナム企業の経営者の意識に大きな相違がある可能性がある。

 日本企業は、契約通りに納期も品質も問題なく、きっちり送金もしている。当然、何の問題もないと考える。ベトナムは中国のリスク分散だし、中国やベトナム以外にも次はタイと取引したい。ベトナムのビジネスは何とか順調に始動したようだ。ひとまずベトナムは安心だ。

 他方、ベトナム企業は、金払いの良い信頼できる日本企業と取引が始まった。さらに日本企業と取引を増やして、もっと売り上げを伸ばしたい。また、品質の高い高付加価値の製品を作りたい。日本企業が技術指導してくれないかな。しかし、それにしても、この日本企業の注文は余り増えないな。

 このような両企業の経営者の意識の相違は、おそらく将来に何らかの仕事のトラブルの原因になるのではないか。両企業とも仕事熱心で成長志向は共通しているが、取引相手に対する期待の度合いに格差がある。ベトナム側が思っているほど日本側はベトナムに関心が高くない。もし問題が発生したとすれば、おそらくベトナム側の関心が日本から別の国に移った場合である。恋愛問題と同様に、感情の行き違いはビジネスでも存在する。

 一般に、発展途上国の企業との取引では、共に成長するとか、共存共栄といった経営姿勢が重要ではないか。さらに言えば、アジア経営においては、取引先パートナーとの共感を生むような感情移入が日本側に特に必要であると思う。そして「相思相愛」の関係が最善だ。それができそうでなければ、別の相手を探すことだ。

 最初の例は、ベトナム企業の期待が大きかった場合であるが、他方、日本企業と取引を始めたベトナム企業が、必ずしも日本企業との取引をを歓迎していない場合もある。すでにEU企業と取引していて、それを優先したい。どうしてもというので日本企業とも取引を始めたが、米ドル建てよりもユーロ建ての取引がビジネスでは好ましい。こんなことを考えるベトナム企業があっても不思議でない。これも、相思相愛にならない事例である。

 以上は、アジアビジネスにおける私の成功のための仮説のひとつだ。企業取引には経営者のお互いの相性がある。それは個人的な人柄ということも含まれるが、より経営的に言えば、その企業の成長志向についての同調性のことである。同調性が高ければ、今後のビジネスの話が弾んで、大きな相乗効果を得ることができるだろう。

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