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2007年4月 4日 (水)

ベトナムビジネス初期段階の進め方:一般的な注意事項

 3月末のベトナム訪問は、ハノイでは「河内音頭」と「株式投資セミナー」、ホーチミン市では「G7マート市場調査」が要点であったが、それ以外にも中小中堅企業の方々とも合流し、いくつかのビジネスの話を進めるお手伝いをした。以下では、そこで気がついたことを列挙しておこう。

 1.紹介してもらった団体・組織との関係を維持する
 最近は、昔からあるJETRO(貿易振興機構)のほかに、大阪府ではIBO,大阪市ではIBPCといった自治体の外郭団体が外国企業の紹介をしてくれるようになった。現地の通訳・案内の紹介も可能だ。もちろん日越経済交流センターでも、ベトナムについて独自のルートで企業紹介している。したがって取引の可能性ある企業を訪問することは、それほど難しくない。
 そのためには、それらの団体の会員に加盟することが必要だ。こういった団体は、これまでに情報の収集と情報源の維持に時間と費用をかけている。それに対して一定の費用を分担するのは礼儀だ。
 その後の取引高に応じて手数料を支払って紹介者に御礼するとなると、取引相手との価格交渉の制約にもなる。それよりも会員になって、その団体からの各種サービスをその後も継続して受けることが望ましい。取引開始後の法律・税務問題や品質管理・貿易クレームなどの相談にも乗ってくれる場合が多いので、会員になっていて損はない。当然であるが、情報は無料ではありえない。
 なお、ベトナムの企業や機関と排他的な関係を結ぼうとしている紹介団体があると聞いている。ここは自分の「縄張り」とでも思っているのだ。これでは、まるで暴力団ではないか? こんな圧力を進出希望の日本企業にかけていると、その間に日本企業に代わって欧米企業に取引を取られてしまうこともあるだろう。これは、ベトナムや日本のためではなく、自分の組織のための活動だ。関西人でも、こんな「エゲツナ~」いことはしない。

 2.紹介してもらったベトナム企業に対する対応
 訪問した企業の中で、経営者の対応が良かったり、工場の整理・整頓・清掃ができていたり、これまでに外国企業との取引実績があったりして、今後に取引できそうな企業が見つかったとしよう。そうなれば、その意志を伝えなければならない。面会後で先方の印象が強いときに、こちらから連絡する。最初のラブコールだ。
 英語で名刺のメール宛先に、Thank you veru much for your taking time on 29 March. ----といった書き出しで下手でもいいからメールする。英語が苦手となれば、通訳や案内をしてもらった人に日本語で、その意味のことを必ず先方に伝えてもらう。これをやらないと、ベトナム企業にとって日本企業は単なる「通過する企業」にすぎない。これは、かつての日本企業が受けた評価と同じだ。「日本企業が来た。またNATOだ」。1995年前後にベトナムでよく言われた言葉だ。NATO=No Action,Talking Only.
 本気でベトナムで仕事するなら、次にサンプルを作ってもらう。図面や見本を送ったりする。この場合も、直接送るのもよいし、通訳や案内の人を介しても良い。

 3.通訳・案内のベトナム人に「秘書」代わりになってもらう
 このように、通訳・案内のベトナム人は重要な役割だ。彼・彼女が信頼できるかどうか。会費を払っている団体が信頼できる人物を紹介してくれるかどうか。この点も重要だ。
 通訳や案内が信用できないと、その後のビジネスはうまくいかない。もちろん英語で直接の交渉ができればよい。この場合は、ベトナム企業側が英語を話す人物を用意するのが通例だ。
 通訳・案内のベトナム人に謝金を払う。このときの対応を見る。当然のように受け取る人。紹介者との関係があるからチップを遠慮するという人。いろいろだ。彼・彼女の家族関係を聞く。生活環境を聞く。お金の有り難みを知っている人は信頼できる。都会育ちの甘やかされた人は粘りがない。これは日本でも同じだろう。

 4.サンプルのやり取りに、ある段階で「見切り」をつける
 
取引可能性のある企業が、サンプルを送ってくるのだが、どうも気に入らない。「この部分がダメだ」。直接または通訳を通して先方に伝える。この往復が余り長く続くと、ベトナム企業の経営者のやる気が減退する場合がある。
 一般に、それなりの信頼あるルートで紹介された日本企業だから、ベトナム企業も一生懸命にやっているのだ。そのサンプルに対して「ダメ、ダメ」が続くと、ベトナム企業側が嫌になる場合がある。サンプルの段階では、まだ金銭のやり取りはしていないのだから、ベトナム人の気持ちとして「うるさい日本企業とは取引したくない」という気持ちが起こっても不思議でない。さらに、それ以外の仕事が忙しい時には、なおさら、そんな気持ちになる。
 このような状況を感じたら、現地を訪問し、日本側も誠意を見せないとダメだ。原因を追究する。その改善を一緒に考える。それまでのサンプルについて費用を支払う場合も出てくるだろう。これらの日本側の動きに対してベトナム人の反応を見る。それでも取引するような態度なら、さらに継続してサンプルを依頼するが、そうでなければ、別の企業を探す。その企業とは縁がなかったのだ。
 このような「見切り」は、日本企業の間では普通だろう。ベトナム企業でも同様だ。通常のビジネスとして判断すればよい。日本側の意思決定を早くしないと、強い成長志向をもったベトナム企業は待ってくれないということもある。

 5.混乱・混戦しないで「単純明快」に仕事を進める
 
成功するビジネスは、一般に言って単純明快だと思う。以上のようなサンプルがうまくいかない場合、それ以外の製品サンプルを作りなさいということは避けたほうが良い。まず当面、最初のサンプルの仕事の可否が決定してから、次のサンプルの商談をすればよい。
 ベトナム人経営者にしてみたら、最初の製品も未だなのに、次の製品も依頼してくる日本人に対して、逆に不信感をもつのではないか。本当に、お金の支払いは大丈夫なのか? サンプルだけ作らせて、それで終わりではないのか? 
 せっかくベトナム企業との関係ができて、それなりに熱心にベトナム人経営者も対応してくれている。真面目そうだし信頼できそうだ。したがって、別の製品の生産も依頼したい。長期の取引をしたい。この気持ちは理解できる。
 しかし実際には、最初の製品はサンプルの段階だ。そのサンプルが合格となり、生産が開始され、日本の港にまで到着して、品質が確認できてから、それでは次の商品をお願いしましょうとなる。これが普通だろう。または、最初の製品に「見切り」をつけて、第2の製品サンプルに注文を切り替える。この場合、最初のサンプル製作の費用を清算し、再度、仕切り直しをする。このような単純明快な仕事が、ベトナム人にも納得してもらえるのではないか。

 以上、少し気がついたベトナム取引の初期段階での留意点だ。おそらく、これらは日本も同じだという指摘もあるだろう。そうなのだ。ベトナムだからと言って、ビジネスは特別ではない。また、ベトナム人から騙されるということは、サンプル製作の段階ではありえない。逆に、ベトナム人が日本人から騙されないかを警戒していることに注意するべきだ。外国にいると、日本人は日本人を騙さないと思うかもしれないが、ベトナムで日本人に騙された日本人がいるし、ビジネスではベトナム人だって日本人を警戒している。この点を考えてほしい。

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