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2007年4月17日 (火)

ベトナム「証券法」を読んで気がついたこと:運用会社と管理会社の未分離

 ベトナム株式を日本で個人が売買するためには、ベトナムの証券会社で口座開設すれば可能だ。しかし手続きが煩雑だ。そこで口座開設のための「ベトナムツアー」が設定されているほどだ。さらに最近では、サイゴン証券の口座管理料などの値上げがあり、かなり個人口座開設のハードルが高くなった。

Small_97793  写真は、サイゴン証券会社の店内である。株価に注目するベトナム人の目は真剣だ。引用は以下である。
http://www.vnmedia.vn/newsdetail.asp?NewsId=87802&CatId=25

 日本の証券会社が媒介して、中国株式と同様にベトナム株式が今よりも簡単に売買できるようになることは望ましいが、しばらく時間がかかるだろう。そこで当面、ベトナム株式投資となれば、ベトナム投資ファンドを購入することになる。この投資ファンドとは、一般の投資信託と同義と考えてよい。

 この投資ファンドを組成する場合、国際的な公募ファンドであれば、管理会社と運用会社が区別されていることが一般的である。それぞれの役割は次の通りである。
 ☆ 管理会社:記帳、管理報告書の作成、入出金の管理
 ☆ 運用会社:運用アドバイス、運用報告書の作成

 この2つの機能が分離していると、投資家の利益はより安全に保護される。つまり「リスク」が低い。管理会社があるために、勝手に運用会社がお金を引き出すことができない。投資家の資産は、より安全に管理されるというわけだ。大規模な公募ファンドでは、こういった仕組みが必要だ。これは一般の投資信託に当てはまることだから、もし投資信託を購入されている人がいれば、ぜひ確認していただきたい。

 ここで、ベトナムの「証券法」を見てみよう。この証券法の日本語訳は、日越経済交流センター発行の『ニュース』で連載中である。これは現在まで、日本で唯一の日本語訳であると思われる。入手希望の方は、ぜひニュースの購読者になっていただきたい。問い合わせや申し込みは、次のホームページを参照していただきたい。http://www.j-veec.jp/

 さて、この「証券法」の詳細は別途に検討に値するが、ここでは証券投資ファンドの組成について記載された第15条を見てみよう。

 第15条は「目論見書」の記載内容について規定されている。ここで証券投資ファンド管理会社と預託銀行(Custodian Bank)の契約内容の開示はあるが、運用会社などの説明はない。なぜそうかと言えば、運用会社と管理会社がベトナムでは分離していないのである。

 たとえば、このブログで何度も紹介している「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」は、運用会社と管理会社の両方を兼ねている。つまり両方の業務を兼務できる。したがって、「リスクが高い」とか「安全性が低くなる」という懸念はもっともである。しかし、現在のベトナム証券市場の規模を考慮すれば、両方の業務を兼務しても安全性に問題がないと判断される。それが、ベトナムの現状を反映した法律である。

 おそらく近い将来、運用株式数が数千社を超えたり、数千億円の投資額を扱うようになれば、管理と運用を同時に行うことは複雑となり、両者の分離が当然になるだろう。しかし現在は、投資家の資産を預託銀行が別途に保管することで、投資家のリスクが十分に軽減されるとベトナムでは判断されていると思われる。

 もちろん、ベトナムの「運用管理会社」が勝手なことをするわけではない。ベトナム「証券法」の規定は詳細であり、第10章では紛争・苦情・訴訟解決・損害賠償などの条文も記載されている。やや極端に言えば、国家証券委員会が認可した「運用管理会社」を信頼できないということは、ベトナム政府を未だ信用できないということと同じである。

 しかし当然、ベトナム自体の信頼度が国際的に高いとは言えないのも事実である。たとえば今年初めにWTOに加盟したばかり。国際的には、これから信頼を積み上げていく段階である。私は、それだからこそ、ベトナムの信頼度を国際的に向上させるためにも、ベトナム「証券法」は厳格に施行されることが期待できると思う。他方、当然、ベトナム投資は時期尚早と考える投資家がいても不思議でない。

 なお付言すれば、運用会社と管理会社が分離すれば、確かにリスクは軽減されるが、それに伴って、手数料は両社に別途に支払うことが必要となる。低いリスクのためには、割高の手数料を支払うことが原則である。リスク軽減は無料でない。私見では、ベトナム国家証券委員会が認可した投資ファンドの場合、割高の手数料を払うほどにリスクは大きくない。管理会社と運用会社を分離しても兼業しても、それほどリスクに相違がないなら、わざわざ手数料を余分に支払わなくてもよいと思う。これが、私の考えであるし、「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」の立場でもある。

 日本の投資家は、これらのベトナムの状況を自分で判断しなければなならい。以上のような未分離の「運用管理会社」が信頼できるか、あるいは信頼できないか。その判断は自己責任であるし、その結果も投資家が甘受しなければならない。

 最近、日本の生命保険会社の保険金の不払いが話題になった。しかし自己責任ということを考えれば、保険契約者(=保険会社の社員)が、自分の保険金について厳しくチェックするのは当然である。日本の大手保険会社ですら信用できないことを明記して、自己責任の意識を高めることが、広く日本人に求められている。

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