« 今さら何を言ってるの?:『朝日新聞』(大阪版・4月26日)のベトナム記事を読む | トップページ | 「順調」に下がり続けるベトナム株価:5月までか7月までか? »

2007年4月27日 (金)

科学研究費補助金の使用確認書を書く

 今年度から、独立行政法人・日本学術振興会から交付される科学研究費補助金の受給者は、次のような確認書を書くことになった。

 科学研究費補助金の使用にあたっての確認書

 私 (自署) は、平成  (自署) 年度の科学研究費補助金により研究を遂行するにあたり、補助条件を理解しこれを遵守いたします。また、科学研究費補助金が、国民の貴重な税金で賄われていることを十分認識し、科学研究費補助金を公正かつ効率的に使用するとともに、研究において不正行為を行わないことを約束いたします。

 昨今、「科学研究費補助金」の不正利用が多発したために、この確認書によって大学教員に自省を促すことが趣旨だと思われる。私の場合、この文章の中の「効率的に使用する」という文言に頭を悩ませている。ベトナム出張中に教授会のために1日だけ帰国して、ベトナムに再び戻るというような海外出張が、果たして「効率的」かどうかという問題だ。私のような海外調査が中心の研究では、こういう問題が発生する。

 通常、教授会を欠席すればよいのだが、そうなれば大学の「人事考課」に影響する。教育研究の現場に「評価」を持ち込むと、こういう問題が発生する。また、そもそも上記のような「確認書」を提出しなければならないということ自体が、大学教員として恥ずかしい話だ。

 ただし、よく考えてみると、日本の教育研究の監督官庁である文部科学省ですら、「タウンミーティング」で「やらせ発言」を指示する時代なのだ。監督する側が自ら不正するだから、監督される側も不正をする恐れがあると邪推する。だから「確認書」を書かせようという発想になる。いずれにせよ、現代の日本は情けない状況だ。

 最近の日本、良い方向に進んでいると私には思えない。すでに「教育基本法」が改正された。それに加えて「憲法」も変えれば、よりよい日本になるのだろうか。こういう問題は、もっともっと議論されて当然であるが、私を含めて多数の人々は、日々の仕事が多忙で、そういった議論の時間が不足しているように思われる。最近の動向である「競争社会」とは、私見では「多忙な社会」を意味し、それは「社会的な無関心」を拡大する。競争のために自分のことで頭が精一杯になるのだ。

 なお、本年度の科学研究費補助金の支援を受けた私の研究計画は、次の通りである。自発的に情報公開して、自らの行動を自ら律する。よいと思ったことは即座に実施する。これこそが「実学」だ。

 研究テーマ: ベトナム・ラオス・カンボジアの企業経営におけるAFTA・WTO加盟の対応と影響
 研究の目的: ベトナム・ラオス・カンボジア3カ国におけるWTO加盟およびAFTA実施の対応や影響を個別企業レベルで調査し、次の4点の知見を提供する。
 1.アセアン後発国の経済発展の方向性を個別企業の観点から指摘する。
 2.ベトナム・ラオス・カンボジアにおける企業経営事例を具体的に紹介する。
 3.「開発経営学」の提起:3カ国に共通した企業経営の発展法則を抽出する。
 4.3カ国の企業経営における人材育成プログラムに関して提言する。

 研究の実施計画: 本年度の研究は、次の5期に区分して実施される。
 1.平成19
年5月~7月末:調査対象3カ国に関する文献研究。特にWTOに焦点を当てる。個別企業や政府機関の訪問を予約する。
 2.
平成19年7月末~9月初旬:現地調査を実施する。
 3.平成19年10月~12月:現地調査結果の集約と分析。
 4.平成19年12月末~平成20年1月:追加的な現地調査の実施。
 5.平成20年2月~4月:調査の総括と報告書の作成。

 本年度は、特に上記の第2期の長期調査において、個別企業の訪問に重点を置く。さらに第4期には、研究報告書を作成するための最終調査を実施し、3カ国の比較対照が明示されることを目標とする。

 大学に勤務する者として、その本来の研究と教育という社会的使命を誠実に遂行したいと思う。それに加えて弊社「合同会社TET」やベトナム現地法人「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」の発展にも尽力したい。これらの経営実践が、大学教育にフィードバックされる。これこそが「実学」の追求だ。私は以上のような多忙な感覚を楽しみながら、粛々と仕事を進めたい。以上が、私自身の「公開確認書」だ。

|

« 今さら何を言ってるの?:『朝日新聞』(大阪版・4月26日)のベトナム記事を読む | トップページ | 「順調」に下がり続けるベトナム株価:5月までか7月までか? »