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2007年4月23日 (月)

檜谷芳彦『大学3年になったらすぐ読む本』を読む

 東京出張のための新幹線の中で、檜谷(ひのたに)芳彦『大学3年になったらすぐ読む本:面接試験「自己PR」の準備と実践』大和書房(2007年、619円+税)を読んだ。

 すでに私のゼミ学生にも読むように推薦し、何人かの学生が「読んでます」と言っていた。全員が読めばよいと思うが、読むか読まないかは自己責任だ。嫌なモノを無理矢理に読ましても、その内容が身につくはずがない。

 本書は、就職面接での自己紹介のノウハウを教えている。その要点を簡単に言えば、社会人としてのマナーの基本である礼儀正しい挨拶、それと大きく明朗な声、そして学生らしい明るい笑顔。そして自己PRのシナリオを準備し、その演技を練習するということだ。

 「あいさつは、日常の習慣であって、何かのときにだけやるものではない。いつでも、だれとでも、大きな声でしっかりあいさつする習慣が身についていないと、面接でいざというときに、声が出ない」(p.60)。

 私は、できるだけ学生に挨拶するようにしている。声をかければ、ほとんどの学生は返事をくれる。これは気持ちのよいものだ。全教職員が、学生に声をかけて挨拶することを提案したい。なぜ、挨拶するのか? 以上の理由を学生に講義中にも話して、学生の意識改革をすることも、挨拶を促進するために有効だ。精神論・理念論で訴えるのではなく、その合理的な理由が大学生を「動かす」には一般に必要だ。

 「そんなことまで大学で指導するのか?」という疑問があるかもしれない。しかし大学の使命が研究・教育であるとすれば、この教育には知識・知見の移転のみならず、人間教育が含まれている。常識ある社会人として大学を卒業させるために、大学教職員が努力することは当然であろう。

 「自分はもともと暗い性格だ、とか、人前で明るく振る舞うことが苦手だ、という人は、自分を就職活動向けに改造するしかない。そしてそれは、訓練によって十分可能である」(p.66)。

 就職面接では、ありのままの自分を出せばよいとも思うのだが、本書では「改造するしかない」と断言している。このような明確な指摘があれば、学生にも自信をもって指導できる。「元気出せ」、「笑顔が足らん」と何度も言うことにしよう。

 本書は、自己PRや集団面接について書かれているが、最近流行している「圧迫面接」について言及していない。これは、学生をいじめるような質問をネチネチとすることだ。それについて学生の反応を見るという趣旨だが、普通の人間なら不愉快になって口論になるだろう。ゼミ学生の話によれば、面接担当者が最後に「以上は圧迫面接でした」と学生に告げることがあるらしい。そうでも言わなければ、面接者の人格を問われるし、そのような面接をする会社の印象も悪くなる。双方に後味の悪い面接は好ましくない。

 このような面接に対して学生は、自然体で受け流せばよい。圧迫に対して反抗・反発することは絶対にしてはならない。どのような場合も、大人として堂々と対応する。そういった人間性を観察するための面接である。

 就職活動に真剣に取り組むことによって、学生が社会人として成長する。子どもから大人になる。このような論調で本書は執筆されている。これに私も同感だ。すべての学生が、しっかり自己分析して、自分の長所に自信をもって、就職活動を通して自己成長してほしい。同じ就職活動なら楽しくやる。この心構えを固めておけば、余裕をもって面接に楽しく臨めるであろう。

 大学3回生に広く本書を推薦する。今から就職について意識を高めておくことは有益だ。就職活動が本格的に始まる年末から来年早々では「手遅れ」になる可能性もある。自己分析や自己アピールの準備と錬成に十分に時間が取れず、時間不足に後悔しないようにしてほしい。

 専門科目の講義も始まり、就職活動の準備もする。大学3年生になれば忙しくなるのだが、それを楽しむように「プラス志向」で考えてほしい。やっと大学生らしい生活になったのだ。本格的な大学生活を楽しく過ごそうではないか。

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