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2007年4月 7日 (土)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(5):リンさん家族は中国旅行に行けるか?

 「ロータス証券投資ファンド運用管理会社(略称:ロータスIMC)」のIR(投資家向け広報)担当のチャンさんと、同じく経済アナリストのトゥアンさんが提供する「ベトナム経済ニュース」。今日は弟5回目。次第に同社も運営体制が整備され、定期的に情報を提供できるようになってきた。

Dsc09198a   チャンさんとトゥアンさんは、いずれも前職は貿易大学の講師である。偏差値70以上の大学の先生だから立派なものである。この両人が提供する独自の情報が、ベトナム株式投資のみならず、ベトナムにおける企業経営や経済状況の分析のヒントになれば幸いである。

 写真は、ハノイの5☆ホテルであるホライゾン(Horison:米語表記はHorizon)ホテル4階のエレベータ前のロータス社の案内である(下から5番目)。このホテル名、ベトナム語読みでは「ホリソン」である。LOTUS IMCは創業したばかりの小さい会社であるが、証券運用管理業の正式認可企業という最大の「強み」がある。

 なお証券会社・証券運用会社に勤務する職員は、国家証券委員会(SSC)が主催する証券業務の研修を受けることになっている。3月末にチャンさんが、午前中の数日間に渡って研修を受けた。この研修を通して、証券実務や証券規則が証券業界に普及する。ソン会長やタイ社長など経営幹部向けのセミナーも開催されるそうである。このようにして政府=官僚を中心とした許認可企業で構成される「業界団体」が形成される。これは、かつての日本と同じではないか。

 さて、チャンさんの友人・リンさんは証券会社に勤務しているそうである。リンさんのお父さんは公務員を定年退職し、年金と貯金で生活している。このお父さんが、貯金の一部である4百万ドン(約3万円)を証券市場に投資する目的で郵便局から引き出して、娘のリンさんに委託した。投資の目的は、中国旅行の費用を捻出することだ。しかし最近の株価は、やや「天井」に頭打ちの状況であり、一進一退を続けている。思うように株価は上昇していないので、リンさんのお父さんは心配している。

 このような逸話は、一般のベトナム人の生活感覚や個人投資家の様子を具体的に示してくれる。いくつか敷衍してみよう。

 (1)ベトナム人にとって中国旅行は身近になっている。ベトナムと中国は文化的に今でも親密な関係だ。テレビで放映されている中国版チャンバラ時代劇は人気があるし、お寺参りや商売繁盛の大黒様は崇拝されている。中国人観光客が、先日のホーチミン廟の見学にも多数来ていたが、その逆にベトナム人が隣国の中国を観光旅行することを考えても不思議でない。

 (2)ベトナム中流以上の家庭の株式投資についての考え方が理解できる。自分の子どもを苦労して大学にまで入れる。そして子どもに夢を託す。以上の話は美談だ。しかも株式投資について一定の節度がある。投機的ではなく、余裕資金での投資だ。また投資の目的も健全だ。もし損をしても、中国旅行に行ったつもりになれば、あきらめもつく。これが銀行に借金をしてまで株式投資となれば異常だ。

 (3)最初に紹介したようにロータス社には優秀な社員が集まっている。客観的に見ても、ベトナム進出の日系企業にとって垂涎の人材だと思う。そういう人材が集まるほどに証券業界は魅力のある業種になってきているのかもしれない。かつては一家に一人は公務員(=国営企業の従業員)として働けばよいと言われていた。生活費が公務員に対して優遇割引されていたからだ。そのかわり給料は安い。これと同様に、一家に一人は証券業界で働くという傾向が出てきても不思議でない。家族からもたらされる証券情報で家族は大金持ちになれるという期待だ。しかし、近い将来のインサイダー取引規制の強化によって、そう簡単に期待が実現しないと考えたほうがよい。

 (4)リンさんのお父さんは長期持続するか、現時点で換金しておいたほうがよい。現在の株価は一進一退。多額の資金を有する外国投資ファンドは、「買い場」を探っている。もう一段の下げで買いだ。その後、現水準を超える勢いで株価は上昇するだろう。この意味で、リンさんのお父さんは現在は現金をもっていなければならない。または1年~2年先くらいを楽しみにして現在の株式を長期持続することだ。ただし本当に、中国旅行に家族で行けるかどうかは疑問だ。1年~2年先の物価上昇(=インフレ)のリスクがある。また中国・人民元の為替変動リスクもある。

 株式投資は、買うときよりも売るときが難しい。この意味では、少々の損を出しても現在は株式売却で現金保有が望ましい。ただし今年以降の4大国営銀行の株式公開を考えれば、銀行株は持続しておいたほうがよいかもしれない。株式公開を成功させるために政府は万全の対策を講じるだろうし、そのために銀行株が全体として上昇すると考えられるからだ。リンさんとお父さんの成功を応援したい。 

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