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2007年4月30日 (月)

ベトナム投資ファンドのリスク管理はどうなっているか?:預託銀行(Custodian)の役割

 ベトナム投資信託(投資ファンド)の組成に関する構造上のリスク管理はどうなっているのであろうか? 以下では、ロータス証券投資ファンド運用管理会社が組成を準備しているロータス・グロース・ファンド」の『目論見書』(草案)における預託銀行(Custodian Bank)の義務と権利を紹介する。


預託銀行の義務:

 1.ファンド運用者の承認の下に、ファンド出資者の登記簿謄本を申請および保管し、ファンド出資者の設立拠出資本に関係したすべての情報を記録する。その情報にはファンド出資者の資本拠出金の譲渡や、資本供出金およびファンド単位数の変化が含まれるが、それに限定されることはない。資本供出所有権に関係するファンド出資者の権利行使を容易化および支援する。

 2.ベトナム証券保管センターにファンド資産の証券を集中して預ける。証券保管センターで集中して預託されていないファンド資産を預託および保管する。

 3.ファンド資産を次のような資産から分離して管理および保管する。(ⅰ)他のファンドと他の投資者の資産、(ⅱ)銀行自身の資産、(ⅲ)銀行の監督または管理下にある他の資産。どのような場合も、ファンドの資本と資産は、ファンド以外のどのような組織または個人の負債を返済するために使用されてはならない。

 4.保管協定そして設立認可書およびベトナム法で規定されているように、ファンド運用者の書面による指示の下に、ファンド運用に関係する資産を割り当てる。


 5.
ファンド資産に関係するすべての取引代金を次の原則によって支払う。証券の譲渡とそれに伴う支払いは同時に実行される。ファンド運用者によって決定された異なった規定を除いて、現行規則によって規定された相殺と支払いの原則に従う。有価証券取引の支払いは、支払い請求書に記載された証券の数量と金額に一致しなければならない。


 6.
ファンドの証券所有権に関するファンドの諸権利を、指図書を通してまたはファンド運用者の指示によって即座に完全に行使する。


 7.
ファンドの資産と取引に関連しているファンド運用者によって準備された報告書を認証する。


 8.
純資産価値の計算の過失が出資者の利益に実質的に悪影響を与えると預託銀行が判断した場合に、出資者の利益を保護するために適切な救済策を適用する。


 9.ファンド設立許可書、保管協定およびベトナム法に従った預託銀行の活動に関する報告書とファイルを作成および保持する。


 10.
ファンド設立許可書、保管協定および適用可能な法律文書に従う。


 11.
ファンド資金とファンド運用者の投資活動と取引などに関するすべての情報を厳格に守秘する。預託協定およびファンド設立認可書に従った義務を遂行する以外の目的のために、預託銀行がその機能を遂行する過程で受領および入手したファンドの財務的かつ運用上の地位に関する情報を、法律および/またはベトナムの管轄当局が要求する場合を除いて、どのような第三者にも公開しないし使用しない。


 12.
ベトナムの法律に従った他の義務

ファンドの報告書または取引に関する預託銀行のすべての証明または承認は、そのような報告書または取引が、ファンド設立許可書およびベトナム法に合致して作成および実施されたことを意味するだけとする。



預託銀行の権利:

 1.
ファンド設立許可書とベトナム法に従って手数料を受け取るが、ファンドそれ自体または第三者のためのどのような利益も受け取らない。


 
2.理事会およびファンド出資者総会の会議に出席する。



 以上は、ベトナムの法律事務所で作成されたベトナム語と英語の『投資ファンド設立認可書』(=『目論見書』)の草案の一部を抜粋した。この投資ファンドは、ベトナム国家証券委員会が認可している。私見では、ファンド運用者の勝手な資金流用の「歯止め」の役割を預託銀行が果たしていると思われるが、それが「グローバル=スタンダード」から見て十分なのか不十分なのか? この検討が次に必要である。

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2007年4月29日 (日)

映画『ロッキー・ザ・ファイナル』を見る

 映画「ロッキー」のDVDシリーズは全巻購入済み。『ロッキー1』は、私が大学生の時の映画だ。その時から何と30年が経過した。このシリーズの最後となる『ロッキー・ザ・ファイナル』。これを見なければ、わが人生に悔いが残る。

 しかしながら、話の展開は予想通り。意外性がない。それでも見に行ってよかった。シリーズ作品の最後は、そういうものだ。もちろん印象深い風景があった。過去を振り返る。想い出の場所を再訪する。こういう回想シーンは、私のような世代になると「ジーン」なのだ。

 ロッキーのセリフで印象深いのは「自分を信じる」。I believe in myself.英語では、この表現ではなかったと思うのだが、こういう意味のメッセージは、われわれの年代には特に効く。それに起業したばかりの私にとって、さらに心に浸みる。

 予定調和的な感動。こういう映画は、それで満足だ。よーっし。明日から身体を鍛えよう。そして実は決心した。「ホノルル=マラソン」完走だ。有言実行。中学校時代、陸上競技部の部長だった血が騒ぐ。これは、ロッキーと同じ「胸騒ぎ」のような気がする。映画から元気をもらう。夢とやる気をが出てくる。でも家族はマラソン出場には反対だ。家族とは、そういうものなのだ。ロッキーの息子もそうだった。うーん。重なり合うな。

ザ・ベスト・オブ・ロッキー~ロッキー・ザ・ファイナル オリジナル・サウンドトラック Music ザ・ベスト・オブ・ロッキー~ロッキー・ザ・ファイナル オリジナル・サウンドトラック

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2007年4月28日 (土)

「順調」に下がり続けるベトナム株価:5月までか7月までか?

 ベトナム株価が下がり続けている。「狼狽売り」と「衝動買い」を特徴とするベトナム個人投資家は、最近の株価下落に伴って株式売却を完了しただろうか? 株式の次は不動産投資ということで、賃貸マンションや賃貸オフィスに投資しただろうか?

 こういった余剰資金の引き上げが順調に進めば、バブル気味の過熱した株式市場は適正化する。このような意味で、「『順調』に下がり続ける」という表題を付けた。

 その後は、投資ファンドを含む機関投資家の買い出動だ。この波に乗ることが、個人投資家にとって次の好機だ。損失を出して途方に暮れる個人投資家は、長期持続か、ナンピン買いだ。一般のベトナム人個人投資家は、現在の株価下落を悲嘆してはいけない。長期投資と思って「塩漬け」で持続する。

 なお、ナンピン買い(=株価下落時に追加投資し、平均購入価格を下げること)が可能な投資家に大損はない。もちろんそのためには大量の資金が必要だ。お金持ちは常に損しないようになっている。

 では、株価上昇の時期はいつか? 900ポイントが下落の抵抗線とベトナムの新聞が報道していたが、それを突破して800ポイント台になることもあるかもしれない。さらに5月半ばが目途になると指摘したが、それが6月~7月まで先の伸びされることもあるだろう。

 しかし、いずれにせよ株価回復は間違いない。外国投資ファンドの買い出動が確実だからだ。今は、しっかり下落する時期だ。それが大きければ大きいほど、次の上昇は大きい。この意味で、現在こそベトナム投資を考える好機だ。

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2007年4月27日 (金)

科学研究費補助金の使用確認書を書く

 今年度から、独立行政法人・日本学術振興会から交付される科学研究費補助金の受給者は、次のような確認書を書くことになった。

 科学研究費補助金の使用にあたっての確認書

 私 (自署) は、平成  (自署) 年度の科学研究費補助金により研究を遂行するにあたり、補助条件を理解しこれを遵守いたします。また、科学研究費補助金が、国民の貴重な税金で賄われていることを十分認識し、科学研究費補助金を公正かつ効率的に使用するとともに、研究において不正行為を行わないことを約束いたします。

 昨今、「科学研究費補助金」の不正利用が多発したために、この確認書によって大学教員に自省を促すことが趣旨だと思われる。私の場合、この文章の中の「効率的に使用する」という文言に頭を悩ませている。ベトナム出張中に教授会のために1日だけ帰国して、ベトナムに再び戻るというような海外出張が、果たして「効率的」かどうかという問題だ。私のような海外調査が中心の研究では、こういう問題が発生する。

 通常、教授会を欠席すればよいのだが、そうなれば大学の「人事考課」に影響する。教育研究の現場に「評価」を持ち込むと、こういう問題が発生する。また、そもそも上記のような「確認書」を提出しなければならないということ自体が、大学教員として恥ずかしい話だ。

 ただし、よく考えてみると、日本の教育研究の監督官庁である文部科学省ですら、「タウンミーティング」で「やらせ発言」を指示する時代なのだ。監督する側が自ら不正するだから、監督される側も不正をする恐れがあると邪推する。だから「確認書」を書かせようという発想になる。いずれにせよ、現代の日本は情けない状況だ。

 最近の日本、良い方向に進んでいると私には思えない。すでに「教育基本法」が改正された。それに加えて「憲法」も変えれば、よりよい日本になるのだろうか。こういう問題は、もっともっと議論されて当然であるが、私を含めて多数の人々は、日々の仕事が多忙で、そういった議論の時間が不足しているように思われる。最近の動向である「競争社会」とは、私見では「多忙な社会」を意味し、それは「社会的な無関心」を拡大する。競争のために自分のことで頭が精一杯になるのだ。

 なお、本年度の科学研究費補助金の支援を受けた私の研究計画は、次の通りである。自発的に情報公開して、自らの行動を自ら律する。よいと思ったことは即座に実施する。これこそが「実学」だ。

 研究テーマ: ベトナム・ラオス・カンボジアの企業経営におけるAFTA・WTO加盟の対応と影響
 研究の目的: ベトナム・ラオス・カンボジア3カ国におけるWTO加盟およびAFTA実施の対応や影響を個別企業レベルで調査し、次の4点の知見を提供する。
 1.アセアン後発国の経済発展の方向性を個別企業の観点から指摘する。
 2.ベトナム・ラオス・カンボジアにおける企業経営事例を具体的に紹介する。
 3.「開発経営学」の提起:3カ国に共通した企業経営の発展法則を抽出する。
 4.3カ国の企業経営における人材育成プログラムに関して提言する。

 研究の実施計画: 本年度の研究は、次の5期に区分して実施される。
 1.平成19
年5月~7月末:調査対象3カ国に関する文献研究。特にWTOに焦点を当てる。個別企業や政府機関の訪問を予約する。
 2.
平成19年7月末~9月初旬:現地調査を実施する。
 3.平成19年10月~12月:現地調査結果の集約と分析。
 4.平成19年12月末~平成20年1月:追加的な現地調査の実施。
 5.平成20年2月~4月:調査の総括と報告書の作成。

 本年度は、特に上記の第2期の長期調査において、個別企業の訪問に重点を置く。さらに第4期には、研究報告書を作成するための最終調査を実施し、3カ国の比較対照が明示されることを目標とする。

 大学に勤務する者として、その本来の研究と教育という社会的使命を誠実に遂行したいと思う。それに加えて弊社「合同会社TET」やベトナム現地法人「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」の発展にも尽力したい。これらの経営実践が、大学教育にフィードバックされる。これこそが「実学」の追求だ。私は以上のような多忙な感覚を楽しみながら、粛々と仕事を進めたい。以上が、私自身の「公開確認書」だ。

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2007年4月26日 (木)

今さら何を言ってるの?:『朝日新聞』(大阪版・4月26日)のベトナム記事を読む

 「ベトナム進出企業、日系企業が二の足」、「投資熱の舞台裏:工業団地に寒風」、「すそ野未発達・部品供給安定せず」。本日付け『朝日新聞』朝刊(大阪版)の見出しだ。

 ベトナムにおけるすそ野産業(=原材料・部品産業)の未発達は今に始まったことではない。たとえばベトナム工業省に対して、政策研究大学院大学の大野健一教授は何度も提言しており、最近では、Kenichi Ohno,ed.,Building Supporting Industries in Vietnam Vol.1、Vietnam Development Forum,2007. という報告書を発表している。ハノイのベトナム開発フォーラムは、http://www.vdf.org.vn/。同じく東京の情報は、  http://www.grips.ac.jp/vietnam/VDFTokyo/index.html を参照。

 これまでベトナムでは、トヨタやホンダが国内の部品調達比率を上げるために懸命の努力をしてきた。それに伴う税制優遇があったからだ。これは、「すそ野産業」の誘致促進に貢献した。しかし、2004年12月に発効した「日本ベトナム投資協定」の中に「パーフォーマンス要求の禁止」が盛り込まれた。この「パーフォーマンス要求」とは、この場合、国内調達比率を上げるという成果(=パーフォーマンス)を達成すれば、税金を優遇するというベトナム政府の要求を意味する。

 この要求が禁止されたということは、ベトナム国内で部品生産する「誘引」が減少する。部品を国内生産しても輸入しても政府は関与しないという意味だ。もし日本政府が、本当にベトナムのすそ野産業を育成するなら、パーフォーマンス要求は存続・延長するべきだ。これは、ベトナムのWTO加盟の有無とは無関係に可能である。

 『朝日新聞』によれば、日本企業関係者は「周辺ですそ野産業が発達していないので、部品供給が安定しない。進出しずらい」と述べている。これは事実であるが、その改善を本気で考えるなら、上記の「日本ベトナム投資協定」の見直しが必要だ。『朝日新聞』の記者は、この矛盾を突くべきだったのだ。

 ベトナム政府は、すそ野産業の育成を考えてきたのだが、日本からの「パーフォーマンス要求の禁止」によって、それが頓挫したというのが現実ではないか。さらに未整備な状況で進出するからこそ、より多くの先発者行動の利得を獲得できると考えるべきである。すそ野産業が整備されたことが絶対の条件なら、中国やタイの進出が望ましいのは当然だ。そういった国と、ベトナムの今後の成長可能性との比較で進出を考えることが現実的だ。

 すそ野産業が未発達のベトナムは、今後、韓国のような経済発展の道をたどる可能性もある。ベトナムは組み立て産業に特化し、原材料部品は、整備が進む東西回廊や南北回廊を通して中国やタイから陸路で輸入する。それを日本や欧米に輸出する。ちょうど韓国自動車のエンジン部品が日本から輸入されていたのと同様の仕組みだ。

1_3  しかし私は、やはりベトナムは部品生産に重点的に取り組むべきだと思う。ホーチミン市のJUKI(工業用ミシン)が、ベトナムで部品生産に特化して成功していることを想起すればよい。ベトナム人の粘り強さや器用さは、精密部品や高品質部品の生産に向いている。ベトナムの部品生産のためには、日本の中小企業の進出が不可欠だ。他方、加工組み立て産業は、やはり中国に優位性があるのではないか?

 写真は、ホーチミン市のJUKIにおける「ロスト=ワックス鋳造」の部品生産である。

 東京の大田区や大阪の東大阪市を始めとする中小企業が、より以上にベトナムに関心をもってほしい。日本で不可能と思われたことが実現するという夢を、まだまだベトナムは見させてくれる国だ。

 『朝日新聞』は、「ベトナムブーム」の「明」の部分に対して、その「暗」の部分を指摘している。これは何事にも重要な観点だ。しかし、すそ野産業の育成を推進しようとする立場からすれば、「今さら何を言ってるの?」という印象だ。

 私は、ロータス証券投資ファンド運用会社による「すそ野産業育成ファンド」の組成を提案している。ベトナム・日本双方の投資家による資金で有望なベトナム中小企業に投資し、日本の専門家が技術移転するという計画だ。この会社が株式公開して上場すれば、投資も回収できる。ODA(政府開発支援)のスキームでは適用されない民間のベトナム支援だ。このようなことの実現が、私の夢だ。

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2007年4月25日 (水)

「ライオンズクラブ」のバッジをめぐって

 今日は、箕面船場ライオンズクラブの例会が開催。そのために朝からライオンズのバッジを付けていた。この例会出席はバッジ着用がルールになっていて、忘れると罰金が取られる。そんなこともあり、忘れないように朝から付けることにしている。ただし、この罰金は奉仕活動資金の一部に使用される。

 この奉仕活動の内容について言えば、私が指導している「ラオス清掃ボランティア活動」に支援金を毎年頂戴している。さらに来る5月12日(土)は、「箕面ヴィソラ」(ショッピングセンター)で赤十字社の献血活動のお手伝いをする。いつも私はティッシュ配布して、通行の人々に献血を勧める役割だ。個人的には、かつて英国訪問の経験があるために献血できない状態だ。狂牛病の感染予防が献血禁止の理由である。また上部組織であるライオンズ国際協会では、あのヘレン=ケラーが提唱して以来、眼の不自由な方々に対する手術資金を支援している。
 
 さて、その後の大学で2つの反応。
 A氏:「ライオンズクラブですね。どこですか?」、「へえ、箕面なんですか。」
 B氏:「大学に関係ないバッジを付けてくるのは、どうかと思いますよ。」

 A氏は、ライオンズクラブの活動を知っていて、好意的に対応してくれている。流通科学大学の創設者・故・中内功も、かつてライオンズクラブの会員であった。
 B氏は、ライオンズクラブの活動内容を知らない。そこで、世界最大のボランティア活動の組織であることを説明した。もっとも、それ以前の問題として、個々人のバッジ(=装飾品とみなすとする)について、とやかく言われる筋合いはないと考えられる。

 他方、B氏の指摘が正論という解釈もできる。一般的に考えて、ある職場に別の組織の理念の象徴(=バッジ)を持ち込むことは、職場に働く人々を混乱させることになる。この組織が政治団体であったり、宗教団体であったりすると、それは職場での一種の宣伝活動になるからだ。これは禁止されるべきものであるかもしれない。バッジがよいなら、たとえば何らかのメッセージを書いた衣服やゼッケンも容認されるのか? 確か、このような問題に関する裁判所の判例があったようにも思う。

 いずれにせよ、ライオンズクラブについて、もっと多数の人々に知ってもらいたいと思う。ちょうど偶然に、明日4月26日(木)の『毎日新聞』朝刊ライオンズクラブの広告が掲載される。ぜひ、ご覧になっていただきたいと思う。

 ライオンズクラブ国際協会のHPは、http://www.lionsclubs.org/JA/index.shtml
 日本のHPは、http://www.lionsclubs.org/JA/content/jlions_index.shtml

 なお、私は毎日、バッジを付けているわけではない。例会のある日だけである。そうは言うものの、不審に思う人がいる限り、バッジ着用は控えることにしよう。また私とB氏は、特に「犬猿の仲」ではない。いわば「率直に何でも言える間柄」と言った方がよい。このように大学では何でも自由のように一般に思われているが、いろいろ気を遣う世界でもある。

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2007年4月24日 (火)

前方から後方から?:競争社会を考える

 大阪で開催された昨日の「ベトナム投資セミナー」では、約70名の方々が参加された。座席は前の方から埋まっていった。これに対して大学の講義では、前方の座席はいつも空いている。

 たかが着席の位置であっても、それは個々人の意識の表明だ。観劇や公演では、長い行列ができるほどに前列から埋まる。高い料金を払っても、できるだけ「スター」に近づきたい。前方に着席することが、積極性・執着性・熱中性を示している。

 これに対して、後方に着席する場合が私にもある。少し遠慮して、公演(講演)者を見守るという意識が働く。または、やや客観的に会場全体を眺めるという気持ちを示している。

 大学生を対象にした就職企業セミナーでは、当然、応募者の着席は前方からが望ましい。私が採用担当者なら、後方の着席者の「やる気」を疑うだろう。

 それでは、大学の講義はどうなのだろうか。前方の学生もいれば、後方の学生もいる。さまざまな講義を受ける姿勢があってよい。それぞれの学生に個性がある。古き良き時代の大学の雰囲気だ。

 しかし今年度から、あえて私の講義では、最後方の座席の3~4列を空けるようにして、前方に詰めて着席するように指示している。就職企業セミナーを想定して、積極性をもってほしいという学生教育の一環だ。古き良き時代の大学は郷愁となり、現在の大学は競争の時代となった。その意識を高めるために着席の位置も指示することにしたのだ。

 大学が競争の時代となった背景には、日本全体が競争社会に変貌をとげている状況がある。受験生の減少だけが理由ではない。たとえば奨学金を増やすなどの受験生を増加させる施策が採用されれば、定員割れの大学の出現は回避できるだろう。それが施行されないのは、大学だけが競争に対して「聖域」とは認められない社会風潮があるからだ。

 現在、競争に伴う「格差社会」の出現が社会問題となっている。競争を前提にして、その結果の格差を是正するのか、競争そのものを緩和して格差を是正するのか。この2つの考え方が存在するように思う。

 この選択について結論をだすことは難しい。私見では、競争を前提にした社会の場合、競争という緊張感の中で、かえって今まで以上に人間の絆もしくは親愛・友情、そして家族の結束が強まるのではないか? そのように「プラス志向」で考えることが望ましいだろう。他方、「競争」を前提としない新しい「共創」の社会が望ましいと思うこともある。競争の中で「WIN-WIN」関係を追求するという発想も、一種の「共創」の活動とみなされる。

 古き良き時代を回顧するのではなく、新しい時代を切り拓く。このような意志を持ち続けたい。 

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2007年4月23日 (月)

檜谷芳彦『大学3年になったらすぐ読む本』を読む

 東京出張のための新幹線の中で、檜谷(ひのたに)芳彦『大学3年になったらすぐ読む本:面接試験「自己PR」の準備と実践』大和書房(2007年、619円+税)を読んだ。

 すでに私のゼミ学生にも読むように推薦し、何人かの学生が「読んでます」と言っていた。全員が読めばよいと思うが、読むか読まないかは自己責任だ。嫌なモノを無理矢理に読ましても、その内容が身につくはずがない。

 本書は、就職面接での自己紹介のノウハウを教えている。その要点を簡単に言えば、社会人としてのマナーの基本である礼儀正しい挨拶、それと大きく明朗な声、そして学生らしい明るい笑顔。そして自己PRのシナリオを準備し、その演技を練習するということだ。

 「あいさつは、日常の習慣であって、何かのときにだけやるものではない。いつでも、だれとでも、大きな声でしっかりあいさつする習慣が身についていないと、面接でいざというときに、声が出ない」(p.60)。

 私は、できるだけ学生に挨拶するようにしている。声をかければ、ほとんどの学生は返事をくれる。これは気持ちのよいものだ。全教職員が、学生に声をかけて挨拶することを提案したい。なぜ、挨拶するのか? 以上の理由を学生に講義中にも話して、学生の意識改革をすることも、挨拶を促進するために有効だ。精神論・理念論で訴えるのではなく、その合理的な理由が大学生を「動かす」には一般に必要だ。

 「そんなことまで大学で指導するのか?」という疑問があるかもしれない。しかし大学の使命が研究・教育であるとすれば、この教育には知識・知見の移転のみならず、人間教育が含まれている。常識ある社会人として大学を卒業させるために、大学教職員が努力することは当然であろう。

 「自分はもともと暗い性格だ、とか、人前で明るく振る舞うことが苦手だ、という人は、自分を就職活動向けに改造するしかない。そしてそれは、訓練によって十分可能である」(p.66)。

 就職面接では、ありのままの自分を出せばよいとも思うのだが、本書では「改造するしかない」と断言している。このような明確な指摘があれば、学生にも自信をもって指導できる。「元気出せ」、「笑顔が足らん」と何度も言うことにしよう。

 本書は、自己PRや集団面接について書かれているが、最近流行している「圧迫面接」について言及していない。これは、学生をいじめるような質問をネチネチとすることだ。それについて学生の反応を見るという趣旨だが、普通の人間なら不愉快になって口論になるだろう。ゼミ学生の話によれば、面接担当者が最後に「以上は圧迫面接でした」と学生に告げることがあるらしい。そうでも言わなければ、面接者の人格を問われるし、そのような面接をする会社の印象も悪くなる。双方に後味の悪い面接は好ましくない。

 このような面接に対して学生は、自然体で受け流せばよい。圧迫に対して反抗・反発することは絶対にしてはならない。どのような場合も、大人として堂々と対応する。そういった人間性を観察するための面接である。

 就職活動に真剣に取り組むことによって、学生が社会人として成長する。子どもから大人になる。このような論調で本書は執筆されている。これに私も同感だ。すべての学生が、しっかり自己分析して、自分の長所に自信をもって、就職活動を通して自己成長してほしい。同じ就職活動なら楽しくやる。この心構えを固めておけば、余裕をもって面接に楽しく臨めるであろう。

 大学3回生に広く本書を推薦する。今から就職について意識を高めておくことは有益だ。就職活動が本格的に始まる年末から来年早々では「手遅れ」になる可能性もある。自己分析や自己アピールの準備と錬成に十分に時間が取れず、時間不足に後悔しないようにしてほしい。

 専門科目の講義も始まり、就職活動の準備もする。大学3年生になれば忙しくなるのだが、それを楽しむように「プラス志向」で考えてほしい。やっと大学生らしい生活になったのだ。本格的な大学生活を楽しく過ごそうではないか。

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2007年4月22日 (日)

金融取引の自由化と自己責任原則の徹底:「私募」ファンド募集で考える

 私が関係するベトナム現地法人「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」では、現在、投資資金を募集している。そのために昨日は東京のセミナーに出席した。また明日は、大阪のセミナーが開催予定だ。これらは「私募」だから、参加者は主催者の知人・友人に限定されている。

 このセミナーの趣旨は、参加者で相談してベトナム投資ファンドの投資条件を決めようということだ。したがって完成した既存の投資ファンド販売の説明会ではない。私は、ロータス社の現状を正直にお話した。そして会場からも率直な意見や質問が出された。それは、このようなセミナーの趣旨に合致していると思った。新会社の設立準備の説明会のような印象であった。

 これまでの金融商品は、大手の信託銀行や証券運用会社が組成した投資ファンドを証券会社の営業力で顧客に販売するという方式がほとんどだ。しかし、それに満足しない顧客が増えてきた。顧客の情報収集力が、インターネットの普及と共に飛躍的に改善・向上したからだ。おそらく証券会社の営業担当者よりも、顧客の方が「情報通」という分野が増えているのではないか。

 既存の投資ファンドの利回りに満足できなければ、自分で投資ファンドを組成すればよい。もちろん一人では無理だから、そういった同じ意図をもった人々が資金を出し合って新しい投資ファンドを私募で組成する。これこそが投資ファンドの本来の存在意味だ。これは、今までは無理だと思われてきたが、インターネットはそれを可能にするインフラを提供してくれる。

 昨日、ファッション業界のSPAの動向を紹介した。同様のことは、金融業界にも当てはまるのではないか。顧客=投資家の「リスク感受性」に対応した投資ファンド商品が多様に用意される必要があるし、顧客=投資家が自らで私募ファンドを組成できるようになればよい。

 顧客=投資家の個々のニーズに合致した金融商品、顧客=投資家を第一義的に考えた金融商品が発売されても不思議でない。これまでは、そのために「リスク管理」を万全にするという名目で、大手金融会社の「ブランド力」に依存してきた。もちろん、少なくない管理手数料を支払わなければならない。しかし「リスク管理」という点では、これだけグローバル化が進展しているのだから、現地を訪問して運用担当者に直接面会して、いろいろ質問してもよい。これも一種の「リスク管理」であろう。他人任せにしないで自分の眼と耳でリスクの大小を確認するのだ。

 安心して任せているはずの生命保険会社でも、保険金の不払いという不祥事が発生した。社員総代会では、経営陣の総退陣が要求されて当然だ。また、営業力に依存した金融保険商品の販売方式が改善されてもよい機会だ。金融業界の再編成は進んだが、それは大規模化による「規模の利益」追求という経営側の理由であり、必ずしも顧客のためではないと考えられる。それなら顧客側が、自分で金融商品を手作りしようと考えるのも自然の流れだ。

 本年度、新しい金融商品取引法が施行される予定だ。それによって、金融取引の自由化・活発化を期待したいし、その前提として、自己責任の原則が徹底・普及されることが必要だ。自己責任の意識をもった自立した投資家の出現。土曜日のベトナム投資セミナーでは、このような新しい動向の息吹を感じた。

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2007年4月21日 (土)

SPAがアパレル業界成功の決め手:「実学」講義「21世紀の業界展望」が始まる

 4月14日(土)、私が担当する「21世紀の業界展望(A)」の講義が始まった。流通科学大学の「建学理念」を象徴する「実学」講義の一つである。

 最近では、多数の大学が実施している「インターンシップ」や「実務家の招聘講義」は、流通科学大学によって日本で最初に1990年に体系的に導入・実施された。当時、インターンシップ(流通科学大学では「OCP=オフキャンパスプログラム」と呼んでいる)実施のために学生の受入を依頼するために何度も企業訪問したことがある。その当時、医学部のインターン制度や、教育学部の教育実習を例にして、インターンシップの意義を企業担当者に話したことを思い出す。それが今では当然のようになっている。時代の変化を実感する。

 さて、今年度第1回目は、(株)MORIパーソナル・クリエイツ代表取締役・森貞雄氏を講師に迎えて、「いま、21世紀での生き残りを賭けビジネスプロセスの変革へ――SPA業態の開発はFB産業のキーワード――」というご講義を賜った。

 森さんは、『繊研新聞社』の記者・編集者として40年間勤められた後に、繊維・ファッション業界の人材育成や就職セミナーの会社を創業された。講義では、FB(ファンション=ビジネス)の現状と将来が具体的に紹介された。

 本日は、初Dsc09255回の講義のために開講日程が学生に徹底されておらず、写真のように、やや出席者が少数で残念であった。受講登録者数は70名を超えている。受講学生は、机の上に「名札」を置くように指示されており、講師との対話が活発になるように工夫されている。ほとんどの学生に森さんは気さくに語りかけられ、学生からも積極的に質問があった。

 FBにおいて、日本は世界で最先端の国になっている。第1は、日本の「ファッション係数」がイタリアに次いで世界第2位(5%)である。この係数は、家計費に占めるファッション支出の比率を示している。ここでのファッションとは、アパレル・靴・ベルト・バッグ・アクセサリー・化粧品を含んでいる。ただし宝石などの装飾品はFBから除かれる。この中でアパレルが約13兆円(約70~80%)の最大市場である。

 第2は、「東京コレクション」の存在感が増している。FBの商品企画者が注目する世界5大コレクションは、ミラノ・パリ・ロンドン・ニューヨーク・東京。「パリコレ」の関係者が東京の街を歩いて見て勉強している。インディーズ系と中心とした日本の若者の感性が世界を引っ張っている。

Dsc07542  日本がFBの先導役という理由は、日本人の消費体験にある。バブル経済期を挟んで日本人は多様な消費経験があって、価格と価値を見分けることができる人が増加した。価格は安くても価値がないものは売れない。逆に、価値があれば、高くても売れる。日本の消費者は専門家の眼をもっているという意味で、プロフェショナル=コンシューマー(=「プロシューマー」)と呼ばれることがある。

 写真は、原宿・表参道。流通科学大学では夏休みに毎年「東京キャリア探検隊」を組織している。小売・運輸・食品・情報・金融などの中からファンション業界を選択した学生は、企業訪問のほかに原宿を視察する。

 現代の日本は、大変動の時期を迎えている。上述のように生活者のファッション感覚は向上し、生産のグローバル化は当然となっている。海外のファッション状況、さらに一般にグローバル=スタンダードを理解しておかないと、日本の消費者にも対応できない。また、外資流通企業の参入も本格化し、大規模な流通業界の再編成の時期を迎えている。単純に言って、阪急・阪神の2百貨店が統合されれば、アパレルの2店舗が1店舗になることを意味する。

 このようにFBの経営環境は激変している。その中でFBが生き残るためには、生産システムの統合が求められている。アパレルの生産過程は次のようである。川上(素材メーカー)⇒川中(アパレルメーカー)⇒(卸売)⇒川下(小売:百貨店・量販店・専門店)⇒消費者。この中で「川中」と「川下」の統合が「企画・生産・販売の一貫システム」であり、SPAと呼ばれる。SPAは、日本人の造語であり、peciality store retailer of rivate label pparel の略語だ。

 SPAの定義は、森さんによれば、次の通りである。
(1)ボリューム市場の中で、
(2)製造者利潤と小売利潤の両方を確保し、
(3)顧客満足を第一義に考えた、
(4)企画生産販売の一貫システム。

 私見では、SPAを一般に言えば、製造小売業もしくは小売製造業ということだ。製造から小売り(ワールド・ファイブ=フォックス・サンエーインターナショナルなど)、そして小売りから製造(ユニクロなど)の統合である。これは「製販統合」と考えても良い。たとえば製造会社と販売会社が別会社であった企業が、両社を統合する。製造と販売を別会社にして、それぞれに責任と権限をもたせることは、これまで相互に緊張感を生んで企業グループ全体に好影響を与えてきたと思われる。ただし、これは市場成長期には適合しても、市場が成熟し、しかも「少子高齢化」・「人口減少」の日本では、より顧客に接近しなければならない。

 顧客に接近する目的は、消費者=顧客の個々の嗜好・志向・ニーズ・クレームなどの諸情報を的確に抽出して、それを製品・商品に反映させることだ。それによって、不良在庫コストを削減し、顧客満足を高めることができる。要するに現代の日本は、販売力・営業力によって何でも売れた時代から、売れるモノを作らなければ売れない時代になったのだ。このような時代に対応する生産体制が、ファッション業界で言えば、SPAとみなされる。

 アパレル業界のトップである(株)ワールドは、1991年にSPAに成功している。ユニクロやファイブ=フォックスもSPA型の成功企業である。共通する成功要因は、優秀な企画、低いコストの海外での生産、顧客満足を追求する販売が、今後の成功要因である。

 このSPA実現のためには、販売コストの増加が伴う。契約社員では、顧客情報が的確に抽出できない。顧客満足を徹底して追求できない。契約社員では優秀な人材が募集できない。このような意味で、契約社員の正社員化が、たとえばワールドでは進められている。

 初回講義のために学生が慣れていない状態の中で、森さんの講義は活気があり、興味深い情報を提供していただいた。貴重な時間を頂戴したことに感謝を申し上げると共に、森さんのますますのご発展とご健康をお祈りしたいと思う。

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2007年4月20日 (金)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(8):株価上昇の時期は?

 株価指数が1,000ポイントを割り込んでいる。これについては、ベトナム株式市場が調整局面に入ったと4月13日に指摘した。なお指数動向は、http://viet-kabu.com/ を参照。

 4月19日の『Saigon Tiep Thi 新聞』と以下の電子ニュースによれば、1,000ポイント以下にベトナム指数が下落すれば、ベトナム証券市場は活況を取り戻し、さらに成長が期待できるとフランスのAFPとイギリスのReuters が報道している。
http://www.vnmedia.vn/newsdetail.asp?NewsId=87802&CatId=25

 この記事は、現在の株価下落についてアナリストの意見を紹介している。最近のベトナム指数の下落には2つの原因がある。第1は、個人投資家の需要が供給を上回ったために、上場株式が実態価格よりも高く評価されたこと。第2は、近々に発行される新規公開株式(=IPO)を入手するために、それぞれの投資家が最高値と判断した時点で上場株式を現金化したことである。

 さまざまなアナリストによれば、ベトナム指数は900ポイント台に下落した後に急上昇し、回復すると予測されている。

 上記の電子ニュースでは、ベトナム個人投資家の損失について「証券のために涙を流す」という記事を掲載している。ある個人投資家が、株価下落にしたがって株価売却を進めた。その結果、FPT株式で5億ドン(=約31,250米ドル)、REE株式で3億ドン(=約18,750米ドル)を2ヶ月で失ったという話である。個人投資家の中には、最近の株価下落で泣き出した人が少なくないと言われている。

 私見では、個人投資家は、少々の株価下落に対しても忍耐を持つべきである。5~10年の長期の株価上昇の基調(=トレンド)は確実に見込まれるからである。ベトナム人個人投資家は、このような忍耐力を身につける試練に直面しているとみなされる。

 注:このニュースは、ロータス社からの情報を基礎にして私見を述べています。同社の公式の見解ではありません。

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2007年4月19日 (木)

日本学術振興会「ひらめき☆ときめきサイエンス」企画募集に採択される

 独立行政法人・日本学術振興会が主催する「小中高校生のためのプログラム」・「ひらめき☆ときめきサイエンス---ようこそ大学の研究室へ---」の企画募集に私の提案が採択された。この募集の詳細は、http://www.jsps.go.jp/hirameki/ を参照。

 昨年の採択実績を見れば、東大や京大の理工系の研究が多い。今年度の私の申請は社会科学の分野であるから、希少価値があったのかもしれない。公的資金による活動であるから、大学事務局の協力もあり、非常に有り難い。

 このプログラムの趣旨は、科学研究費補助金の受給研究者を対象にして、その研究成果を若い人々に還元・普及させるということだ。私の企画テーマは、「ベトナム人留学生と一緒に考える「アジアの中の日本:これからの日本と私たちの役割」」。実施日は、9月30日(日)を予定している。ベトナムを通してアジア諸国の理解を深めてもらうことが目的だ。

 Img_0154 この対象者は高校生であるが、さらにベトナムに関係する大学生・社会人そしてベトナム人留学生が一緒になって、アジアの発展途上国ベトナムの理解を多面的・体験的に深めることが目的である。このことを通して、「東アジア共同体」形成に向けて国民レベルの意識向上に貢献することが期待される。

 昨年、ある高校が修学旅行でシンガポールに行くことを提案したところ、父母の中からアジア諸国の治安や衛生状況について不安が出されたそうである。近代都市国家シンガポールですら、アジアということでイメージが良くない。これは少数の事例であると思いたいのだが、意外と広く一般に浸透している意識かもしれない。

Dscf4997  今後の日本の経済発展のためには、近隣アジア諸国との関係を拡大・深化させることしかありえないと私は考えている。アジア諸国とともに日本も成長するという路線だ。その一端として私は、ベトナム・ラオス・カンボジアに偶然に注目している。

 これらの国々に限らず、より多くの人々にアジア諸国について理解していただくことは、極めて重要な日本の課題であると思われる。特に若い人々が、アジア諸国の人々との相互理解と友好を深めてもらいたい。欧米諸国に比べて、アジア諸国の多面的な情報や認識は極めて不足しているように思われる。

 以上のような問題意識で、この企画を私は提案し、幸いに企画が採択された。これから、各方面のご協力をお願いし、実施要領を具体化し、この企画の成功を目指したい。どうそ皆さまのご理解・ご賛同をお願い申し上げます。

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2007年4月18日 (水)

『ベトナム雑記帳』:竹岡さんに感謝

 本年3月末の「ベトナム=スタディツアー」の様子が、サンヨー=ホームアプライアンス=ベトナム元社長・竹岡友昭さんのホームページで紹介された。サイトの右側の下の方に掲載されている。http://www.tulip.sannet.ne.jp/t-takeoka/

 豊富な写真と、それぞれの解説やコメントには見応えがある。そこには、ハロン湾の船上で私が居眠りしている写真まで含まれている。また、ホーチミン市の講義における私の板書の文字もある。下手な字が恥ずかしいのだが、それは事実だから、文句も言えない。

 ともかく、竹岡さんのホームページには話題が満載。さらにベトナムに関する質問のメールにも親切に返答されている。ぜひぜひ、竹岡さんのホームページを見ていただきたいと思う。百聞は一見にしかず。心温まる雰囲気をもった内容である。

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2007年4月17日 (火)

ベトナム「証券法」を読んで気がついたこと:運用会社と管理会社の未分離

 ベトナム株式を日本で個人が売買するためには、ベトナムの証券会社で口座開設すれば可能だ。しかし手続きが煩雑だ。そこで口座開設のための「ベトナムツアー」が設定されているほどだ。さらに最近では、サイゴン証券の口座管理料などの値上げがあり、かなり個人口座開設のハードルが高くなった。

Small_97793  写真は、サイゴン証券会社の店内である。株価に注目するベトナム人の目は真剣だ。引用は以下である。
http://www.vnmedia.vn/newsdetail.asp?NewsId=87802&CatId=25

 日本の証券会社が媒介して、中国株式と同様にベトナム株式が今よりも簡単に売買できるようになることは望ましいが、しばらく時間がかかるだろう。そこで当面、ベトナム株式投資となれば、ベトナム投資ファンドを購入することになる。この投資ファンドとは、一般の投資信託と同義と考えてよい。

 この投資ファンドを組成する場合、国際的な公募ファンドであれば、管理会社と運用会社が区別されていることが一般的である。それぞれの役割は次の通りである。
 ☆ 管理会社:記帳、管理報告書の作成、入出金の管理
 ☆ 運用会社:運用アドバイス、運用報告書の作成

 この2つの機能が分離していると、投資家の利益はより安全に保護される。つまり「リスク」が低い。管理会社があるために、勝手に運用会社がお金を引き出すことができない。投資家の資産は、より安全に管理されるというわけだ。大規模な公募ファンドでは、こういった仕組みが必要だ。これは一般の投資信託に当てはまることだから、もし投資信託を購入されている人がいれば、ぜひ確認していただきたい。

 ここで、ベトナムの「証券法」を見てみよう。この証券法の日本語訳は、日越経済交流センター発行の『ニュース』で連載中である。これは現在まで、日本で唯一の日本語訳であると思われる。入手希望の方は、ぜひニュースの購読者になっていただきたい。問い合わせや申し込みは、次のホームページを参照していただきたい。http://www.j-veec.jp/

 さて、この「証券法」の詳細は別途に検討に値するが、ここでは証券投資ファンドの組成について記載された第15条を見てみよう。

 第15条は「目論見書」の記載内容について規定されている。ここで証券投資ファンド管理会社と預託銀行(Custodian Bank)の契約内容の開示はあるが、運用会社などの説明はない。なぜそうかと言えば、運用会社と管理会社がベトナムでは分離していないのである。

 たとえば、このブログで何度も紹介している「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」は、運用会社と管理会社の両方を兼ねている。つまり両方の業務を兼務できる。したがって、「リスクが高い」とか「安全性が低くなる」という懸念はもっともである。しかし、現在のベトナム証券市場の規模を考慮すれば、両方の業務を兼務しても安全性に問題がないと判断される。それが、ベトナムの現状を反映した法律である。

 おそらく近い将来、運用株式数が数千社を超えたり、数千億円の投資額を扱うようになれば、管理と運用を同時に行うことは複雑となり、両者の分離が当然になるだろう。しかし現在は、投資家の資産を預託銀行が別途に保管することで、投資家のリスクが十分に軽減されるとベトナムでは判断されていると思われる。

 もちろん、ベトナムの「運用管理会社」が勝手なことをするわけではない。ベトナム「証券法」の規定は詳細であり、第10章では紛争・苦情・訴訟解決・損害賠償などの条文も記載されている。やや極端に言えば、国家証券委員会が認可した「運用管理会社」を信頼できないということは、ベトナム政府を未だ信用できないということと同じである。

 しかし当然、ベトナム自体の信頼度が国際的に高いとは言えないのも事実である。たとえば今年初めにWTOに加盟したばかり。国際的には、これから信頼を積み上げていく段階である。私は、それだからこそ、ベトナムの信頼度を国際的に向上させるためにも、ベトナム「証券法」は厳格に施行されることが期待できると思う。他方、当然、ベトナム投資は時期尚早と考える投資家がいても不思議でない。

 なお付言すれば、運用会社と管理会社が分離すれば、確かにリスクは軽減されるが、それに伴って、手数料は両社に別途に支払うことが必要となる。低いリスクのためには、割高の手数料を支払うことが原則である。リスク軽減は無料でない。私見では、ベトナム国家証券委員会が認可した投資ファンドの場合、割高の手数料を払うほどにリスクは大きくない。管理会社と運用会社を分離しても兼業しても、それほどリスクに相違がないなら、わざわざ手数料を余分に支払わなくてもよいと思う。これが、私の考えであるし、「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」の立場でもある。

 日本の投資家は、これらのベトナムの状況を自分で判断しなければなならい。以上のような未分離の「運用管理会社」が信頼できるか、あるいは信頼できないか。その判断は自己責任であるし、その結果も投資家が甘受しなければならない。

 最近、日本の生命保険会社の保険金の不払いが話題になった。しかし自己責任ということを考えれば、保険契約者(=保険会社の社員)が、自分の保険金について厳しくチェックするのは当然である。日本の大手保険会社ですら信用できないことを明記して、自己責任の意識を高めることが、広く日本人に求められている。

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2007年4月16日 (月)

ベトナムで何かしたいのですが---?

 月曜日は講義がなく、自宅研修の日だ。そこで午後に「日越経済交流センター」に立ち寄ることにした。http://www.j-veec.jp/

 偶然に「箕面船場ライオンズクラブ」でご一緒の「ライオン丸山」(丸山英敏弁護士)がお越しになったのには、やや驚いた。http://www.aia.ne.jp/~sen05206/index.htm

 「会社経営を引退して、ベトナムで何かしたい」という相談者を同行されていた。ホーチミン市のゴルフ場にご友人と行かれて、ベトナムとベトナム人が気に入ったので、ベトナムで生活できるような何かないかという質問だ。

 こういう相談は難しい。すでに目的のある仕事をするというのなら、いろいろ問い合わせもできるが、「何かしたい」というのは、こちらで「何か」を探さなければならない。いろいろご提案をしたのだが、今後、一緒に考えましょうと言うことになった。

 60歳から70歳になって、ほぼ自分の仕事が完成した。いつまでも執着していると後継者が育たない。日本にいても、後継者の圧力になる。まったく新しいことを日本でやるには、失敗したらカッコ悪い。日本で仕事はもう終わだ。しかし健康で気力もある。何か新しいことをしたい。ベトナムなら何かできるかもしれない。

 こういう気持ちの方は、以前にもおられた。じっくり相談して、よく納得していただいて、第二の人生のお手伝いができればと思う。

 私は「生涯現役」でいたい。常に新しいことに挑戦する。ダイエー創業者・故・中内功氏は、80歳になってから自動車免許を取得した。永遠に挑戦する姿勢を忘れない。挑戦とは、過去を振り返るのではなく、未来を志向することだ。私も、そういうつもりで人生の長期戦略を考えたい。

ベトナム、ラオスの音楽 〜豊穣のメコン Music ベトナム、ラオスの音楽 〜豊穣のメコン

アーティスト:民族音楽,チャンスダー・スタタマー,ウンフェン・ポンパサート
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2007年4月15日 (日)

ダイエー池田駅前店のリニューアル開店:買い物を楽しむ!

 「ごはんがおいしくなるスーパー」・ダイエー(daiei)池田駅前店が、4月13日にリニューアルされ開店した。今日は視察を兼ねた買い物だ。

 ダイエー池田店は、阪急電鉄・宝塚沿線店の中で「老舗」だと思う。私は、母親に連れられて電車に乗って買い物に行った遠い記憶がある。その後も、紳士服・カバンなどファッション製品やメガネ・家電製品などを買ってきた。大阪の北摂地区(池田・箕面・豊能・能勢)には「総合スーパー」が少なく、「ダイエー池田店」は近隣で唯一のショッピングセンターであった。

 その後、幹線道路に沿って専門店が林立するようになった。メガネでは「愛眼」・「ビジョンメガネ」、家電製品では「上新電機」・「コジマ」・「八千代ムセン」、衣料品では「ユニクロ」だ。さらに最近では箕面に映画館「シネマ109」や「カルフール」を備えた大規模ショッピングセンターの「ビソラ」が誕生。「ダイエー池田店」には足が遠のいていた。この経験は、まさにダイエーの低迷の歴史と符合する。ただし紳士服は、専門店の「青山」や「アオキ」も利用したことはあるが、常時1万円の低価格ダイエーを愛用していた。

 再生ダイエーについては、東京・目黒の「ダイエー碑文谷店」を何度か訪問し、その変貌を見てきた。最近の訪問は3月半ば。東京出張中に立ち寄った。1階の食品売り場の改装は顕著だ。特に鮮魚と寿司の専門店は活況だった。また回転寿司の店舗が併設されている。これには驚いた。しかし上階の衣料品売り場は閑散としていた。昔からのダイエーという印象だ。

 これに対して「ダイエー池田店」は全面改装である。何と言っても「ユニクロ」の低価格店「g.u.」(ジーユー)が入居。価格は確かに驚くほど安い。店員には活気があって客数も多い。衣料品売り場に久しぶりに喧噪が戻ってきた。「ジーユー」の隣には「JOINT」も出店。対照的に堅実な品揃え。多様な衣料品売り場となり、買い物を楽しむことができる。

 1階と地階の食品売り場では、什器の高さが低くなり、店内に明るい開放感がある。1階の入り口の右手には「パン専門店」があり、正面には「生花売り場」が目に入る。第一印象として明るい雰囲気を感じさせる。以前は、入り口の正面にサービスカウンターがあり、事務的な感じがした。このサービスカウンターは店舗の奥に移動した。これは、駐車券をもらうために店舗の奥まで顧客を再び誘導する効果がある。その途中で何か買おうということにもなる。

 魚売り場は以前より狭くなり、それだけ「厚み」のある展示ができている。売り場が広くて顧客が閑散としていては、あまり買おうという気が起こらない。「ごはんがおいしくなるスーパー」として食品売り場の改装が特に留意されたようだ。

 率直な印象。なぜ、もっと早く改装できなかったのか? 子どもの頃から生活の一部であったダイエー。再生ダイエーに期待したい。また、さらなる接客サービスの向上が今後の課題であろう。明朗な発声と笑顔は接客の基本だ。それが自然にできるだけの職場環境の整備も考慮されなければならないだろう。以上、私の買い物は、20%引きの紳士靴(Chiyoda & ERICA)と2000円の通勤用カバン。

 なお、どのスーパーに行っても思うのだが、「買い物かご」の商品をレジを通して、再び「買い物かご」に入れて、次に顧客が「買い物袋」に移し換える。この作業の手間を何とかしてほしい。全商品に「ICタグ」が装備されれば、一気にレジを通過できるそうだが、そうしなくても簡便化できるのではないか。レジを通して移し代える「買い物かご」に「買い物袋」をセットすればよい。すでに実施しているスーパーもあるのではないか。また、資源節約のために「買い物袋」の有料化が検討されてよいと私は思う。

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2007年4月14日 (土)

『白い巨塔』と『華麗なる一族』:型にはまった様式美

 木村拓哉の『華麗なる一族』に誘発されて、かつての映画版をレンタルビデオで再び見た。「再び」というのは、若い頃に映画館で見た記憶があるからだ。

 その配役の多くは、旧作テレビ版『白い巨塔』に重なっている。田宮二郎(財前教授⇔美馬中)、佐分利信(船尾教授⇔万俵大介)、小沢榮太郎(鵜飼教授⇔永田大蔵大臣)、加藤嘉(大河内教授⇔銭高常務)、西村晃(滝村名誉教授⇔綿貫専務)、中村伸郎(東教授⇔松平日銀総裁)。

 山崎豊子原作の『白い巨塔』も『華麗なる一族』も、男性の権力欲・名誉欲・金銭欲を描いた人間ドラマという点で共通している。こういうドラマの配役となると、上記のように重複してしまう。同じ俳優が、同じ雰囲気をもって異なった役柄を演じているという印象だ。いわゆる「はまり役」だ。これらの映画は安心して見ていられるが、新鮮みがない。

 私は、それでよいと思う。これらは、一種の様式美をもった連続映画なのだ。それぞれの俳優が、活動分野や時代は異なっても、地下水脈のように連続する男の欲望を演じる。佐分利には佐分利の「型」がある。その目配りや仕草は、歌舞伎で「見栄を切る」ように型式化されている。同様に中村には中村、田宮には田宮の「型」がある。それらの演技が共鳴して、権力の構造や欲望の渦が地表に浮かび上がってくる。

 これらの男優に対して、『白い巨塔』と『華麗なる一族』に共通した女優は、北林谷榮(山田うめ⇔佐橋総理夫人)である。前者が、十津川村の農家のおばあちゃん。後者が、気取った総理夫人。この好対照を見事に演じる北林の演技力もスゴイが、それよりも一般に、前述のような男優の「型」に比べて、女優の「型」にはまらぬ柔軟性に驚かされる。

 「型」に依存して生きる男性、「型」の演技を期待される男優に対して、それに囚われることなく変幻自在に対応する女性と女優。上記の二作品から、このようなことを私は感じた。そしてそれは、かつての日本社会の特徴ではなかったか。これに対して、最近の日本はどうか。このような「型」を演じる男優がいなくなったように、男性も「型」から自由に生きている。それが現実ではないか。

 「型にはまらない人生」。以前には、こういう表現があったように思うが、最近では死語になっている。そもそも「型」それ自体が消滅しているからである。そういう現代であるからこそ、「型」にはまった往年の様式美を備えた『白い巨塔』や『華麗なる一族』は新鮮で見飽きない。

 以上は、私の世代からの一つの見解である。若い人々は、こういう映画にどのような感想をもつのだろうか。新作の唐沢版『白い巨塔』や木村版『華麗なる一族』が、つい最近に放映されたのだから、共通の話題になりうる。これらが描いた権力の腐敗や政治の汚職は今日までも解消されていない。この意味からも、こういった問題は、もっともっと積極的に議論しなければならない。それが原作者の意図であろうし、映画がリニューアルされる理由であると思う。

Music 華麗なる一族 オリジナル・サウンドトラック

アーティスト:服部隆之
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白い巨塔 オリジナル・サウンドトラック Music 白い巨塔 オリジナル・サウンドトラック

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販売元:ユニバーサルクラシック
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2007年4月13日 (金)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(7):ベトナム株式市場は調整局面

 ベトナム株式市場は「調整局面」に入ったとみなされる。最近の株価指数は下落を続けている。このような調整局面は5月半ばまで続くのではないか。これは、3月末のハノイ日本センター(VJCC)で開催された「株式投資セミナー」において、豊島さん(ユナイテッド=ワールド証券会社)が指摘した通りの展開である。

 この調整局面が過ぎれば、さらに一段の上昇が期待できる。なぜなら外国投資ファンドが大量の現金を保有して、「買い場」の到来のために待機しているからである。「株価は需給関係で決まる」。この意味で、まだまだベトナム株式は上昇の余地はある。

 現状の株価下落局面で、多数の個人投資家は、株式投資の代わりに不動産投資に向かっている。昨年から凍結していた不動産投資が熱くなっている。このように株式市場と不動産市場は投資家にとって表裏の関係がある。

 1997年にタイで始まったアジア通貨危機は、株価と不動産価格の双方の大暴落が契機であった。その双方が、それまでに過熱していたのである。1989年末を頂点とした日本の「バブル」経済も同様の状況であった。このように考えれば、ベトナムでは株式と不動産が並行して過熱している状況ではない。株式と不動産の「トレードオフ(=二律背反)」の関係が続いている。このような間は、まだまだ双方に成長の余地があると考えられる。

 さて、各企業は株式会社化の準備を進めている。4月9日『ベトナム経済時報』によると、大手国営銀行5行が、株式会社化の過程を計画よりも早めている。たとえば、Agribankの株式会社化は、規模が最大で顧客が特別なので最後になり、2009年になるという計画が首相によって承認されていた。しかし、2008年末までに株式会社化を終了するように計画の短縮化に努めることになった。

 Vietinbankも同様の状況にある。同行のCEOによれば、株式会社化ために顧問会社7社に相談した。そのなかには、J.P.Morgan、Merril Lynch、Morgan Stanleyなど有名な大手顧問会社が含まれている。

 以上、株価下落の中で、個人資金の一部は不動産に移動している。そういった「投機資金」が株価の過熱(バブル)を煽ってきた。株式市場の「調整局面」の間に、上記のような国営銀行の民営化が準備され、さらに外国投資ファンドの上場株式の「買い場」の局面が訪れる。その時が株価上昇局面に転じる時であると考えられる。

 注:このニュースは、ロータス社からの情報を基礎にして私見を述べています。同社の公式の見解ではありません。

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2007年4月12日 (木)

ベトナム株式投資ファンド:「ロータス=グロース=ファンド」の優位性

 先週にホームページを開設し、本格的な株式投資ファンドの募集を開始した「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」は、ベトナム・ハノイのホライゾンホテル4階が本社である。昨年末に国家証券委員会の認可を受けた証券運用会社である。したがって日本からベトナムへの送金はもちろん、ベトナムから日本の米ドル送金も何ら問題なくできる。これは、証券業務の認可を受けた企業として当然である。

 ロータス社のホームページ http://lotusimc.com/

 このロータス社は、現在「ロータス=グロース=ファンド」を募集中。これはベトナム国内法に基づいて設立された投資ファンドである。それ以外に、一任勘定の口座運用管理の投資を募集している。いずれも預託銀行との契約によって、その銀行が投資家の株式や現金を保管する。したがって、たとえ「ロータス社」が倒産したとしても、投資家の資産は保護される仕組みになっている。注:これを一般に「倒産隔離」と言う。

 以下では、この中でも「ロータス=グロース=ファンド」の特徴を紹介する。すでに発売されている「ドラゴン=キャピタル」・「インドチャイナ=キャピタル」・「ビナ=キャピタル」といった外国ファンドとは、差別化された優位性をもっている。

 (1)ベトナム国内で組成された投資ファンドであるから、「ロータス=グロース=ファンド」はベトナム国内ファンドとして取り扱われる。したがってドラゴン=キャピタルのような外国ファンドで購入が制限されている会社(STB、ACBなど)の株式を取得できる。

 (2)ただし国内投資ファンドであるから、ベトナム国内企業(日系合弁会社を含む)が、ファンド総額の51%を所有、外国企業がその49%を所有するという制限がある。したがって、このファンドを「国内ファンド」や「外国ファンド」と区別して「合弁ファンド」とロータス社では呼んでいる。

 (3)すでにベトナム有力な金融会社や企業がファンドの投資を予定している。日本企業からの投資資金を運用するファンドということで、ベトナム企業も信頼しているし、投資意欲が高い。原則として、日本側とベトナム側の投資予定金額が出揃った時点で具体的なファンドの組成が始まる。

 (4)日本人のベトナム専門家で構成された投資諮問委員会が、ロータス社には設置されている。この委員会は、株式取得した企業に対する経営・生産支援を行うことができる。換言すれば、「ロータス=グロース=ファンド」は安定株主としてだけでなく、積極的な経営パートナーとしての役割を果たすことができる。これは、特に未公開株式の取得にとって強い交渉力となる。

 (5)株式会社(もしくは私募)の株式を「ロータス=グロース=ファンド」は直接取得できる。小口投資家は、このような直接の株式取得はできない。

 (6)「ロータス=グロース=ファンド」を購入できるのは、ベトナム・日本を合わせて30人以内の法人だけである。ロータス社の規模を考えて、現在は小規模な法人投資だけが認可されたのである。このことは逆に、「ロータス=グロース=ファンド」の投資効率を高めることになる。証券会社は手数料収入のために大量の資金を募集したがるが、ベトナムの市場規模を考慮すれば、その資金は過剰ともいえる。これは投資効率を悪化させる。

 より詳細は、ぜひ最初のホームページからロータス社にEメールで問い合わせてほしい。日本語または英語で対応できる。ただし残念ながら、このファンドは個人向けではない。あくまでも法人向けのベトナム株式投資ファンドである。

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2007年4月11日 (水)

大学で講義始まる:最も「受けた」と思った話

 大学の講義が始まった。久しぶりに学生に話をするのは、一種の快感だ。「上田ワールド」を演出するようなものだからだ。または、新興宗教の教祖になった気分でもある。ただし、それは教員側の気分であって、学生側の反応は必ずしもそうではない。そこが難しい問題だ。

 最初の講義だから、ガイダンスのような話だ。最近の学生は新聞を読まないし、社会問題にも関心が低いと一般に言われている。携帯電話のメールを通して、自分の小さな世界に入り込む傾向が、それを助長していると思う。

 それは社会人として通用しない。2回生や3回生を対象とした講義だから、「もっと新聞を読まんとアカン」と最初に一般的な話をした。これを言うだけなら、学生にとってインパクトが小さい。そこで次の話を続ける。「次のような話を想像してみ

 「ヤンキースの松井が昨日、ヒット打ったらしいで
 「フ~ン。ところでヤンキースの松井って、だれのこと?」 

 社会人になって新聞を読んでないと、こういう会話と同じことになるんやで。松井を知らない人って、どんな人やろ? だいぶ変わってる。そこで会話が中断する。コミュニケーションの断絶。つまり就職で最も必要とされる「コミュニケーション能力」の欠如ということや。今からなら間に合う。社会人としての常識を身につける。今から準備しとかんとアカンねんで。具体的に何したらエエねんて? そら簡単や。新聞、読んだらエエねん。

 以上のような話をすると、教室の中は静寂が漂って学生は深く納得する。このように教師側は感じるのだが、学生の実際の反応はどうか。次回に、短いレポートを書かせてみよう。

 注:通常の講義で私は標準語を使っている。留学生も受講生にいるので、大阪弁は理解し難いことに配慮している。ラジオの「浜村淳」的なわかりやすい会話が理想だと思うのだが、「浜村淳」節は時にはイライラすることもある。人前で話すことについて「慣れ」はあるが、そのことと「上手に話すこと」とは別の問題だ。これは永遠の課題だ。

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2007年4月10日 (火)

前途多難なベトナムと日本のEPA締結:今年中に可能か?

 韓国と米国がFTA(自由貿易協定)に4月2日に合意した。FTAは2国間協定であるが、その内容の大枠はWTO(世界貿易機関)の規定に従っている。他方、日本が推進するEPA(経済協力協定)は、FTAよりも広範な内容を含んでおり、アジア諸国に対する日本の重要な経済戦略とみなされている。たとえばFTAが貿易関係に限定されているのに対して、EPAは人材派遣などの人的交流も含まれる。

 日本は、すべてのアセアン諸国とEPA交渉を開始しており、すでにシンガポール・マレーシア・フィリピンとは協定が締結されており、インドネシアとの交渉は最終段階となっている。これに対してベトナムは、2007年1月半ばに東京で第1回目の交渉があり、第2回目は3月末にハノイで開催された(より正確には「開催されたはずである」)。

 この第1回目の会談は不調に終わったようだ。ベトナムの交渉担当者は、「最初の交渉テーブルでは、両国の立場に大きな違いが残された」と指摘している。さらに日本の服部ベトナム特命全権大使は、ベトナムの狙いを日本は完全に理解していないし、その反対にベトナムもそうだと述べている。「われわれは、ベトナムの意図は不明だが、水産物・農産物の輸入関税の削減と、日本市場に対する労働輸出にベトナムは非常に関心があるのだろうと推察している」と服部大使は続ける。

 日本の交渉担当者は、ベトナムに輸出される工業製品の関税撤廃に非常に関心がある。「しかし両国は、交渉テーブルの上に置く議題について、お互いに理解していないし、合意にも達していない」と大使は強調する。

 ベトナムの多国間貿易政策部門の商業省高官は、日本の特殊な交渉スタイルのために会談が困難だと吐露している。「われわれは、それぞれの個別問題を日本の全体の交渉チームと議論できない。言い換えれば、財務問題は経済産業省、人間の問題は法務省、農業問題は農林水産省と交渉するのである」。

 いずれにせよ両国は、ベトナムと日本の発展水準に大きなギャップがあることを認めた。さらにWTO規制に従って建設的な方法で交渉することでも合意したと言われている。私見では、これらの合意は交渉の大前提であって、実質的な内容は何ら進展していないと言える。

 これまで日本とベトナムは、ベトナムの投資環境の改善のために、建設的な議論を「日越共同イニシアティブ」や「日越投資・貿易ワーキンググループ」で行ってきた実績がある。そしてベトナム側は、日本側の提案や要望に対して誠実に対応してきたといわれている。しかしながら、上記のようなEPAといった大きな国家間の交渉になれば、WTO加盟後のベトナムは、強固な交渉相手に変身しているのかもしれない。WTO加盟後は、ベトナムは日本とも米国とも対等の関係だからである。

 ベトナム側の何人かの交渉担当者は、日本とのEPA協議がタフなものとなり、年内の交渉締結のためには、両国の忍耐と柔軟性が求められると指摘している。このような発言がベトナム側から出ること自体が、ベトナムが日本と同じ土俵で堂々と渡り合うことを宣言しているように私には思われる。

 さらに前述の「日本の特殊な交渉スタイル」というのは、私見では、ベトナムでも同様の「建て割り行政」が存在するから、そっくりベトナムにも妥当する。そうであるにもかかわらず、このような発言があるということは、ベトナム側のEPA交渉担当者には、かなりの権限委譲がなされており、すべての領域での応対が即座にできると想像される。

 WTO加盟のために、米国との通商条約の締結を粘り強く行ってきたベトナムの外交交渉力は、ある意味では日本を上回っていると言えるかもしれない。当初の私見では、日本とベトナムのEPAは簡単に締結するように思えたが、実際にはそうではない。WTO加盟を果たしたベトナムは、交渉相手として「手ごわい」ということを再認識する必要があるようだ。これはビジネスでも同様だ。ベトナムを甘く見ると失敗する。今後のEPA交渉の進展が注目される。

 以上は、Vietnam Investment Review, No.803, March 5-11,2007,p.5, "Vietnam, Japan need to find common voice"を引用・参考にして私見を述べた。

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2007年4月 9日 (月)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(6):ベトナム株式市場の展望

 『ベトナム経済時報』(2007年4月3日)は、「ベトナム証券市場:素晴らしいチャンスを提供している」という見出しで、マービン=デービス(Mervyn Davis)・スタンダード=チャータード(Standard Charterd)グループ会長のインタビューを紹介している。

 「ベトナム資本市場は現在、注目される大きな転換期を迎えている。ベトナム金融システムは拡大していると共に、次第に自由化されており、ますます外国会社がベトナム債券に投資しているのが現状だ。ベトナム証券市場の発展は時には加速したり、時には遅延したりするが、それが市場の現実だ。ベトナム政府は金融市場の自由化・開放化を遂行しており、それに応じて国内金融市場と外国資本市場を巧みに監督できるようになってきた。今後のベトナムは、WTO加盟後の履行義務を完全に実現できると私は信じている。」

 外国人がベトナムについてコメントするとき、辛辣な批判はできにくい。これはベトナム固有の問題ではなく、どの国にも共通していることだ。その国との関係を断絶して全面戦争する覚悟があれば別だが、そうでなければ、それ以降のビジネスや人間関係に障害が起こる場合がある。

 たとえば深刻な汚職や不正を外国人が発見した場合でも、その告発の影響が幅広い関係者に及ぶことを考えれば、その国に二度と来ないという決断がない限り、さりげない示唆や注意にとどめておくべきだろう。

 上記のデービス会長の指摘は、ベトナム証券市場は、市場に任せた動きをしているということだ。それは当然のように思われるが、一般に政府や規制当局が市場に対して強引に規制したり、政策誘導したりりて、市場の原理を歪めることも多い。そういったことがベトナムにないとは言えないが、大きな視野で見れば、市場の原理に従っているとデービス会長は述べている。

 現在、個人投資家の短期売買によって株価は高騰している。これは、たとえば日本でも韓国でも台湾でも、株式市場の黎明期には同様のことが起こった。株式市場がマネーゲーム化していた。その後の経済発展に伴って企業規模が大きくなる。企業は増資し、その引き受け先として法人株主・機関投資家が増大する。創業者や個人投資家の所有比率は減少する。これによって株価は安定する。

 このようなシナリオがベトナムでも妥当するなら、ベトナムにおける投資信託の発売が望まれる。かつて1999年に郵便局が郵便貯金業務を開始した。銀行に加えて一般国民の資金運用の手段が増え、郵便貯金は成長を続けている。近い将来にベトナム投資信託が発売されれば、それは現在の外国投資ファンドの「受け皿」にもなるし、長期的な資産運用の手段を国民に提供することになる。

 ベトナム株式市場の長期的な発展の「波」に乗ることに、大きな懸念はないと考えられる。

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2007年4月 8日 (日)

I believe in myself; 安藤美姫を見て考える

 3月24日からのベトナム訪問のために、「世界フィギュアスケート選手権」の女子フリーの試合が見れなかった。そこで帰国後にビデオ録画の世話になった。サイボーグのような天才肌の勝負師・浅田真央に比べて、トリノ=オリンピックで惨敗した安藤美姫は人間的で応援したくなる。逆境からはい上がるというのは、いかにも日本人好みだ。さらに日本人のみならず、これは普遍的な感動を生む。

 試合後のエキシビションでは、絢香が自らのヒット曲「I believe」を歌い、それに応じて安藤が滑った。感動の盛り上がる場面だ。ここで少し気になったことは、I believe in myself. が一般的に正しいと思うのだが、I believe myself. と何度かアナウンサーが紹介したことだ。

 いずれにせよ、「自分を信じる」。これはよい言葉だ。大学時代は、学業成績を上げるのではなく、自らの才能や能力を高める。この場合、自分を信じて愚直に努力=修行することが、その唯一の方法・手段であろう。「自分を信じる」ことが「自信」になる。自分を信じて努力した人間だけが、自信をもって何事にも臨める。

 安藤美姫を見て、こんなことを考えた。そして、こういう自信を大学生に身につけてほしいと思った。先日のベトナム旅行は、外国旅行が初めての学生にとっては、かなり過酷であった。交流相手のベトナム人学生が日本語を学ぶ学生だったから、まだ余裕があったが、これが英語の世界なら、さらに負荷は大きくなったであろう。

 海外旅行が初めてだから、その過酷さが理解できない学生がいると思う。おそらく、いずれその「大変さ」に学生は気づくであろう。そして、その体験が自信につながることを期待したい。

 ビジネスも同じだろう。自分の商品・サービス・ビジネスモデルを自らが信じないと、顧客は付いてこない。外部から何かと批判されるのはビジネスの常套だ。しかし動揺しない。動揺したら負けだ。自信がなくなっている証拠だ。I believe in myself. ビジネスでも心の奥底に刻んでおこう。 

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2007年4月 7日 (土)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(5):リンさん家族は中国旅行に行けるか?

 「ロータス証券投資ファンド運用管理会社(略称:ロータスIMC)」のIR(投資家向け広報)担当のチャンさんと、同じく経済アナリストのトゥアンさんが提供する「ベトナム経済ニュース」。今日は弟5回目。次第に同社も運営体制が整備され、定期的に情報を提供できるようになってきた。

Dsc09198a   チャンさんとトゥアンさんは、いずれも前職は貿易大学の講師である。偏差値70以上の大学の先生だから立派なものである。この両人が提供する独自の情報が、ベトナム株式投資のみならず、ベトナムにおける企業経営や経済状況の分析のヒントになれば幸いである。

 写真は、ハノイの5☆ホテルであるホライゾン(Horison:米語表記はHorizon)ホテル4階のエレベータ前のロータス社の案内である(下から5番目)。このホテル名、ベトナム語読みでは「ホリソン」である。LOTUS IMCは創業したばかりの小さい会社であるが、証券運用管理業の正式認可企業という最大の「強み」がある。

 なお証券会社・証券運用会社に勤務する職員は、国家証券委員会(SSC)が主催する証券業務の研修を受けることになっている。3月末にチャンさんが、午前中の数日間に渡って研修を受けた。この研修を通して、証券実務や証券規則が証券業界に普及する。ソン会長やタイ社長など経営幹部向けのセミナーも開催されるそうである。このようにして政府=官僚を中心とした許認可企業で構成される「業界団体」が形成される。これは、かつての日本と同じではないか。

 さて、チャンさんの友人・リンさんは証券会社に勤務しているそうである。リンさんのお父さんは公務員を定年退職し、年金と貯金で生活している。このお父さんが、貯金の一部である4百万ドン(約3万円)を証券市場に投資する目的で郵便局から引き出して、娘のリンさんに委託した。投資の目的は、中国旅行の費用を捻出することだ。しかし最近の株価は、やや「天井」に頭打ちの状況であり、一進一退を続けている。思うように株価は上昇していないので、リンさんのお父さんは心配している。

 このような逸話は、一般のベトナム人の生活感覚や個人投資家の様子を具体的に示してくれる。いくつか敷衍してみよう。

 (1)ベトナム人にとって中国旅行は身近になっている。ベトナムと中国は文化的に今でも親密な関係だ。テレビで放映されている中国版チャンバラ時代劇は人気があるし、お寺参りや商売繁盛の大黒様は崇拝されている。中国人観光客が、先日のホーチミン廟の見学にも多数来ていたが、その逆にベトナム人が隣国の中国を観光旅行することを考えても不思議でない。

 (2)ベトナム中流以上の家庭の株式投資についての考え方が理解できる。自分の子どもを苦労して大学にまで入れる。そして子どもに夢を託す。以上の話は美談だ。しかも株式投資について一定の節度がある。投機的ではなく、余裕資金での投資だ。また投資の目的も健全だ。もし損をしても、中国旅行に行ったつもりになれば、あきらめもつく。これが銀行に借金をしてまで株式投資となれば異常だ。

 (3)最初に紹介したようにロータス社には優秀な社員が集まっている。客観的に見ても、ベトナム進出の日系企業にとって垂涎の人材だと思う。そういう人材が集まるほどに証券業界は魅力のある業種になってきているのかもしれない。かつては一家に一人は公務員(=国営企業の従業員)として働けばよいと言われていた。生活費が公務員に対して優遇割引されていたからだ。そのかわり給料は安い。これと同様に、一家に一人は証券業界で働くという傾向が出てきても不思議でない。家族からもたらされる証券情報で家族は大金持ちになれるという期待だ。しかし、近い将来のインサイダー取引規制の強化によって、そう簡単に期待が実現しないと考えたほうがよい。

 (4)リンさんのお父さんは長期持続するか、現時点で換金しておいたほうがよい。現在の株価は一進一退。多額の資金を有する外国投資ファンドは、「買い場」を探っている。もう一段の下げで買いだ。その後、現水準を超える勢いで株価は上昇するだろう。この意味で、リンさんのお父さんは現在は現金をもっていなければならない。または1年~2年先くらいを楽しみにして現在の株式を長期持続することだ。ただし本当に、中国旅行に家族で行けるかどうかは疑問だ。1年~2年先の物価上昇(=インフレ)のリスクがある。また中国・人民元の為替変動リスクもある。

 株式投資は、買うときよりも売るときが難しい。この意味では、少々の損を出しても現在は株式売却で現金保有が望ましい。ただし今年以降の4大国営銀行の株式公開を考えれば、銀行株は持続しておいたほうがよいかもしれない。株式公開を成功させるために政府は万全の対策を講じるだろうし、そのために銀行株が全体として上昇すると考えられるからだ。リンさんとお父さんの成功を応援したい。 

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2007年4月 6日 (金)

カンボジアの印象:次の株式投資先は?

 ベトナムの次に株式投資で大もうけできるのはカンボジア? 数百万円の投資で数億円を儲けた日本人がいると言われるベトナム。同じ夢がどこで実現するか? ベトナムの周辺国に限定すれば、ラオスよりもカンボジアか? 

 私はカンボジアにはプノンペンを数回訪問しただけである。ミニスーパーがあり、買い物に不自由しないし、中華料理を中心にして食べ物は安い。「アンコール=ビール」は、なかなか美味しいが、私は「ラオス=ビール」を飲んでいた。タイからアサヒの「スーパードライ」も輸入されていて、ビールは豊富だ。私にとって生活環境は悪くない。

 銀行の外貨交換は自由であると聞いている。これがカンボジア=ビジネスの優位性ということだ。ベトナムに先立ってWTO加盟を果たし、多党制を認める民主国家としてカンボジアの金融自由化は進んでいる。このように思われるのだが、その実態を確認する必要がある。外国送金・ドル交換・預金口座開設・クレジットカード発行。これらは、どの程度まで自由なのだろうか?

 カンボジア情勢を全体としてみれば、私見では、政府の権力が強い。政府官僚と親しくなり、ビジネス界の人物を紹介してもらう。商工会議所のメンバー企業と接触する。これらの関係の中から投資先を見つける。将来の株式市場開設の情報を集めながら、未公開株の取得をめざす。このような「ベトナムの夢の再来」のシナリオは想像できるが、このためには、カンボジアに根をおろして、カンボジア人からの信頼を確保しておかなければならない。

 株式投資で数億円の利益を獲得できるのなら、今からカンボジアに住んでも悪くないが、その不確実性は極めて高い。でも、「宝くじ」よりも当たる確率は高いかもしれない。なぜなら「宝くじ」と違って、自分の努力に応じて確率を高めることができるのだから。

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2007年4月 5日 (木)

ロータス証券投資ファンド運用管理会社の始動:ホームページ開設

 ロータス証券投資ファンド運用管理会社=LotusIMC のホームページが公開された。ぜひ、ご覧になってください。http://www.lotusimc.com/

 ベトナム語・英語・日本語の3カ国対応。日本語でのコメントも受け付けている。IR(投資家向け広報)担当のチャンさんがいるので安心だ。現在は6名のスタッフがいて、求人中である。私は顧問として効率的・効果的な人材採用を強調している。コスト削減は企業経営の基本だ。この点、ソン会長もタイ社長も十分に理解してくれている。まだまだ小さな会社だから、「身の丈」に応じた経営組織で十分だ。

 おそらく、タイ社長が自分自身で社員全体をコントロールできなくないほどに、組織が大きくなった時が、この会社の転機になるだろう。これは「経営組織論」や「ベンチャー起業論」で指摘される「管理の幅」に限界が来たことを意味する。しかし、それは将来の話だ。

 このロータス社の「ロゴマーク」の選考には、私も関与した。日本の国旗「日の丸」の丸とベトナムの国花ハス(=ロータス)の花を組み合わせている。ベトナムのデザイン専門会社に依頼した作品だ。ロータスという花のロゴマークは、ベトナム航空を始めとして、かなり多様に商標登録されているので、それとの重複を避けながら、最終的に、このロゴマークに決定された。

 この会社には、まだ「隠し球」がある。最強の秘密兵器だ。私が委員長となっている「投資諮問委員会」の日本人メンバーの皆さんだ。すでにサンヨー・ホームアプライアンス・ベトナム元社長の竹岡友昭さんは、このブログでも紹介している。こういった日本人の方々が、生産・経営技術の移転について、投資先ベトナム企業に助言・指導する予定である。これによって経営を改善し、上場を促進する。

 この委員会は、ベトナムの未公開株式を取得する場合に、ロータス投資ファンドが安定株主として企業成長に多大に貢献できることをアピールする役割だ。日本からの資金提供のみならず、日本の経営・生産ノウハウもベトナム企業に提供する。これまでのODAの公的資金ではできなかった民間資本のベトナム支援だ。この理想に向けて、私はロータス社に協力を惜しまないつもりだ。

 日本企業が、欧米投資ファンド(「ハゲタカ」)に席巻されるという懸念もある中で、同じことを日本がベトナムでやってよいのか? これまでのベトナムと日本の友好協力関係の延長線上での投資ファンドのあり方は何か? このような問題に対する一つの回答が、このロータス社の設立である。

 どのファンド会社よりも低い経営管理コストによる低い手数料の投資ファンド。そしてベトナム経済発展と日本ベトナムの友好協力に貢献する「志し」のある投資ファンド。これを日本の皆さんに自信をもって提供したい。ロータス社に対する私の思いである。

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2007年4月 4日 (水)

ベトナムビジネス初期段階の進め方:一般的な注意事項

 3月末のベトナム訪問は、ハノイでは「河内音頭」と「株式投資セミナー」、ホーチミン市では「G7マート市場調査」が要点であったが、それ以外にも中小中堅企業の方々とも合流し、いくつかのビジネスの話を進めるお手伝いをした。以下では、そこで気がついたことを列挙しておこう。

 1.紹介してもらった団体・組織との関係を維持する
 最近は、昔からあるJETRO(貿易振興機構)のほかに、大阪府ではIBO,大阪市ではIBPCといった自治体の外郭団体が外国企業の紹介をしてくれるようになった。現地の通訳・案内の紹介も可能だ。もちろん日越経済交流センターでも、ベトナムについて独自のルートで企業紹介している。したがって取引の可能性ある企業を訪問することは、それほど難しくない。
 そのためには、それらの団体の会員に加盟することが必要だ。こういった団体は、これまでに情報の収集と情報源の維持に時間と費用をかけている。それに対して一定の費用を分担するのは礼儀だ。
 その後の取引高に応じて手数料を支払って紹介者に御礼するとなると、取引相手との価格交渉の制約にもなる。それよりも会員になって、その団体からの各種サービスをその後も継続して受けることが望ましい。取引開始後の法律・税務問題や品質管理・貿易クレームなどの相談にも乗ってくれる場合が多いので、会員になっていて損はない。当然であるが、情報は無料ではありえない。
 なお、ベトナムの企業や機関と排他的な関係を結ぼうとしている紹介団体があると聞いている。ここは自分の「縄張り」とでも思っているのだ。これでは、まるで暴力団ではないか? こんな圧力を進出希望の日本企業にかけていると、その間に日本企業に代わって欧米企業に取引を取られてしまうこともあるだろう。これは、ベトナムや日本のためではなく、自分の組織のための活動だ。関西人でも、こんな「エゲツナ~」いことはしない。

 2.紹介してもらったベトナム企業に対する対応
 訪問した企業の中で、経営者の対応が良かったり、工場の整理・整頓・清掃ができていたり、これまでに外国企業との取引実績があったりして、今後に取引できそうな企業が見つかったとしよう。そうなれば、その意志を伝えなければならない。面会後で先方の印象が強いときに、こちらから連絡する。最初のラブコールだ。
 英語で名刺のメール宛先に、Thank you veru much for your taking time on 29 March. ----といった書き出しで下手でもいいからメールする。英語が苦手となれば、通訳や案内をしてもらった人に日本語で、その意味のことを必ず先方に伝えてもらう。これをやらないと、ベトナム企業にとって日本企業は単なる「通過する企業」にすぎない。これは、かつての日本企業が受けた評価と同じだ。「日本企業が来た。またNATOだ」。1995年前後にベトナムでよく言われた言葉だ。NATO=No Action,Talking Only.
 本気でベトナムで仕事するなら、次にサンプルを作ってもらう。図面や見本を送ったりする。この場合も、直接送るのもよいし、通訳や案内の人を介しても良い。

 3.通訳・案内のベトナム人に「秘書」代わりになってもらう
 このように、通訳・案内のベトナム人は重要な役割だ。彼・彼女が信頼できるかどうか。会費を払っている団体が信頼できる人物を紹介してくれるかどうか。この点も重要だ。
 通訳や案内が信用できないと、その後のビジネスはうまくいかない。もちろん英語で直接の交渉ができればよい。この場合は、ベトナム企業側が英語を話す人物を用意するのが通例だ。
 通訳・案内のベトナム人に謝金を払う。このときの対応を見る。当然のように受け取る人。紹介者との関係があるからチップを遠慮するという人。いろいろだ。彼・彼女の家族関係を聞く。生活環境を聞く。お金の有り難みを知っている人は信頼できる。都会育ちの甘やかされた人は粘りがない。これは日本でも同じだろう。

 4.サンプルのやり取りに、ある段階で「見切り」をつける
 
取引可能性のある企業が、サンプルを送ってくるのだが、どうも気に入らない。「この部分がダメだ」。直接または通訳を通して先方に伝える。この往復が余り長く続くと、ベトナム企業の経営者のやる気が減退する場合がある。
 一般に、それなりの信頼あるルートで紹介された日本企業だから、ベトナム企業も一生懸命にやっているのだ。そのサンプルに対して「ダメ、ダメ」が続くと、ベトナム企業側が嫌になる場合がある。サンプルの段階では、まだ金銭のやり取りはしていないのだから、ベトナム人の気持ちとして「うるさい日本企業とは取引したくない」という気持ちが起こっても不思議でない。さらに、それ以外の仕事が忙しい時には、なおさら、そんな気持ちになる。
 このような状況を感じたら、現地を訪問し、日本側も誠意を見せないとダメだ。原因を追究する。その改善を一緒に考える。それまでのサンプルについて費用を支払う場合も出てくるだろう。これらの日本側の動きに対してベトナム人の反応を見る。それでも取引するような態度なら、さらに継続してサンプルを依頼するが、そうでなければ、別の企業を探す。その企業とは縁がなかったのだ。
 このような「見切り」は、日本企業の間では普通だろう。ベトナム企業でも同様だ。通常のビジネスとして判断すればよい。日本側の意思決定を早くしないと、強い成長志向をもったベトナム企業は待ってくれないということもある。

 5.混乱・混戦しないで「単純明快」に仕事を進める
 
成功するビジネスは、一般に言って単純明快だと思う。以上のようなサンプルがうまくいかない場合、それ以外の製品サンプルを作りなさいということは避けたほうが良い。まず当面、最初のサンプルの仕事の可否が決定してから、次のサンプルの商談をすればよい。
 ベトナム人経営者にしてみたら、最初の製品も未だなのに、次の製品も依頼してくる日本人に対して、逆に不信感をもつのではないか。本当に、お金の支払いは大丈夫なのか? サンプルだけ作らせて、それで終わりではないのか? 
 せっかくベトナム企業との関係ができて、それなりに熱心にベトナム人経営者も対応してくれている。真面目そうだし信頼できそうだ。したがって、別の製品の生産も依頼したい。長期の取引をしたい。この気持ちは理解できる。
 しかし実際には、最初の製品はサンプルの段階だ。そのサンプルが合格となり、生産が開始され、日本の港にまで到着して、品質が確認できてから、それでは次の商品をお願いしましょうとなる。これが普通だろう。または、最初の製品に「見切り」をつけて、第2の製品サンプルに注文を切り替える。この場合、最初のサンプル製作の費用を清算し、再度、仕切り直しをする。このような単純明快な仕事が、ベトナム人にも納得してもらえるのではないか。

 以上、少し気がついたベトナム取引の初期段階での留意点だ。おそらく、これらは日本も同じだという指摘もあるだろう。そうなのだ。ベトナムだからと言って、ビジネスは特別ではない。また、ベトナム人から騙されるということは、サンプル製作の段階ではありえない。逆に、ベトナム人が日本人から騙されないかを警戒していることに注意するべきだ。外国にいると、日本人は日本人を騙さないと思うかもしれないが、ベトナムで日本人に騙された日本人がいるし、ビジネスではベトナム人だって日本人を警戒している。この点を考えてほしい。

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2007年4月 3日 (火)

ベトナムで「魚の眼」をもつこと

 昨年のベトナムJICA研修のために来日したThanh社長が、ハノイVJCCで3月27日に開催された「株式投資セミナー」に出席して、わざわざ声をかけてくれた。正直に言って嬉しかった。

 彼の名刺には、会社のロゴマークとして「魚」のデザインが入っていた。彼の会社は縫製やニット衣料の製造だから、特に「魚」に関係ない。その理由は、日本の講義で私が話した「魚の眼」から取ったというのだ。同社については、http://www.vieba.com 参照。 

 「企業経営には、鳥の眼(=マクロ的視点)、蟻の眼(=ミクロ的視点)と同様に魚の眼(=潮流・トレンドを見る)が必要だ」。この私の話に共感して、それを会社のロゴマークに入れたというのだ。こういうことに感激しない教師はいない。

 日本での感激や感動と言えば、個人的な趣味で言えば、最近ではアイススケートの安藤美姫くらいだ。人間は感動に飢える動物なのかもしれない。この意味でも、私はベトナムが好きだ。

 さて、「魚の眼」の話は、このブログですでに紹介した(2006年4月16日)。これは私のオリジナルのアイデアではない。エコノミストである竹内宏氏の著書を参考にした。それでは、ベトナム企業経営における「魚の眼」とは何か。

 やはり当面の利益を追求するだけの短期志向ではなく、長期的な観点だ。構想とかビジョンというような長期戦略を考えればよい。それに向けて自社の位置を確認し、環境の動向も見極める。さらにベトナム的な特徴は、変化の速さだろう。いままでベトナムでは無理と思えたことが可能になる。いままで可能であったことが不可能になる。こういった変化に企業は迅速に対応できなければならない。特にベトナムではそうだ。

 また、消費動向や労働者の意識も急激に変化する。それと同時に、変化しない文化や慣行にも留意する。「流れ」を感じて、迅速に泳ぐ。「魚の眼」とは、そのようなイメージだ。

 今日、第14回「日越経済交流センター」会員総会があった。フォン総領事からも挨拶を賜った。新しい会員企業も増加し、ベトナムの新しい環境に対応できる新しい企画や組織も検討する必要があるだろう。当面、来年度の社団法人化に向けて準備することが課題だ。関西とベトナムの架け橋として、より体制が充実することが望まれる。少しでも私も貢献できればと思う。

  

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2007年4月 2日 (月)

講演会のご案内:「ベトナム経済は今~退職金をベトナム投資に?」

 今日は入学式。神戸ポートピアホテル。その後、大阪の日越経済交流センターに向かい、投資の相談などを受けた。帰宅してみると、日本ベトナム友好協会の機関誌『日本とベトナム』が届いていた。

 日本ベトナム友好協会(http://www2.odn.ne.jp/vnpage)の会員になって私は数年になる。いつもハノイでお世話になっている小松さんは、この協会の理事である。私が副理事長を務める日越経済交流センター(http://www.j-veec.jp/)とは友好団体の関係だ。 

 同協会の傘下にある「大阪府連合会」(http://ns.to/viet)理事長の桃木先生(大阪大学教授:東南アジア史)から、ベトナム経済関係の講演を3月半ばに依頼された。喜んでお引き受けして、その時の仮題は「ベトナム経済は今:IT・株式投資・不動産投資」であった。ベトナムとの経済関係が直接投資や貿易の時代から、大きく変化しているという状況を紹介しようと考えていた。

 それが今日、上記の『日本とベトナム』を受け取って、その中のビラを見ると、次のような内容になっていた。
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~~~32年目の解放記念日が近づいてきました~~~
                     「講演のつどい」を開きます
講師:上田義朗氏(流通科学大学教授)
        「ベトナム経済は今: 退職金をベトナムに投資?」
日時:4月27日(金)6時半~
会場:梅田学習ルームE室(阪急梅田駅ロフト側出口)
        資料代:会員1000円、非会員1500円

※あの『日経』にベトナムファンドの宣伝が掲載される時代です

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 確かに、私の提案した仮題よりもインパクトの強いテーマだ。これから急激に増加する「団塊の世代」の退職とそれに伴う退職金。これをベトナムに株式投資して老後の資金を増やす。このことで、ゆとりある充実した生活を過ごす。このシナリオに、どの程度まで実現性があるか。どうも、このような趣旨の話が期待されているらしい。

 承知。これについて、まったく問題なく私は講演させていただきたいと思っている。「日本ベトナム友好協会」は、ベトナムと関係をもった人々や、ベトナムに思い入れをもった人々で構成されている。これらの人々がベトナム企業に株式投資して、ベトナムの企業成長・経済成長に貢献する。その結果、株価上昇によって利益を獲得する。

 これは、すばらしい話だ。日本からベトナムに対して支援や協力をしてきた人々が、その後の経済成長したベトナムから実益を受ける。これまでの貢献が報われる。

 ただし、株式投資⇒マネーゲーム⇒投機⇒ギャンブル⇒生活破壊と考える人々も、友好協会の中におられると思う。そして最近では「ハゲタカ」の外国投資ファンドが話題だ。このような人々の気持ちは想像できる。資本主義=帝国主義の牙城であるアメリカと戦ったベトナムを支援してきたにもかかわらず、その資本主義の本丸である株式市場を導入したベトナム。そんなベトナムを見たくない聞きたくない。このような気持ちがあっても不思議でない。「わが青春の愛するベトナム」がギャンブル国家になっては困る。

 しかし実際、これは誤解だ。株式市場・株式投資の制度は、人類共通の歴史的な発明だ。それには、次のような論理展開もありうる。株式投資⇒資金供給⇒企業成長⇒経済発展。生活破壊と経済成長。この2つを区分する要因は何か。株式投資が、本当にベトナム経済に貢献するためには、どのような施策が必要なのか。おそらく賢明なベトナム政府は、このような施策の導入を検討しているように思われる。

 上記の講演では、こういった問題を考えてみようと思う。そして、どのようにしてベトナム株式投資で儲けるか? 有料講演会は、ここが重要だ。これまで「友好協会」に関係の薄かった人々にも、多数来ていただきたいと思う。貴重な機会を提供していただいた桃木先生に改めて感謝を申し上げたい。

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2007年4月 1日 (日)

ベトナム紹介の疑問点:テレビとインターネットのコラボレーションの提案

 日曜日・朝のテレビ番組では、毎日放送系「がっちりマンデー」と「サンデーモーニング」(特に「喝(カツ」)が、わが家の定番だ。

 この「がっちりマンデー」で、これから成長する国としてVISTAが取り上げられた。V=ベトナム、I=インドネシア、S=南アフリカ、T=トルコ、A=アルゼンチン。この中で東南アジアはベトナムとインドネシア。単純に考えて日本の近接性ということで考えれば、何と言ってもベトナムだろう。

 番組のベトナム紹介によれば、小学生の教育の中に「刺繍」の授業があるという。これは初耳だった。「ベトナム人労働者は手先が器用で目がよい」というのは、これが理由だったのだ。ベトナム政府は、外国に対する開放政策を進める一方、伝統文化を維持することにも留意している。たとえば英語だけの看板をハノイでは容認していない。ベトナム語の併記が必要だ。おそらく「刺繍」の授業は伝統文化の継承という政策の一環である。

 ベトナムの魅力は「人間」。テレビで語られた。勤勉で優秀。さらに粘り強い。これは先週の貿易大学における学生交流で十分に経験したことだ。このベトナムに投資するためには、株式投資ファンドということになる。番組では、このブログでも取り上げた「ノーロードファンド」の戸松氏が写真で取り上げられていた。公共放送で放映して大丈夫なのだろうか。私見では、おそらく大丈夫なのだろう。ノーロードファンドは、全体として株価が上昇している局面で大きな問題は生じない。私見では、下落・調整局面や売却時における不確実性が高いということだ。

 さらに番組では、「ベトナム証券口座開設ツアー」を紹介していた。これも放映して大丈夫なのだろうか。実際には、すでにブログで紹介したようにサイゴン証券では、毎月の口座維持料が15ドルから100ドルに値上げされている。この番組を見て、口座開設しようという人に対してミスリーディングな情報提供だ。ベトナムが個人投資家を抑制し、過度の株価高騰(=バブル現象)を抑制しようと検討している時期に、この番組は、その逆を報道している。近い将来に、株式売買益に対する課税強化の懸念もあるのだ。

 視聴者の興味を引いて同時に低コストの番組制作。そこから提供される情報の正確性。この両立は、最近の関西テレビ「あるある大事典」でも大きな社会問題になった。限定された時間内での面白くて的確な報道が望ましいが、その実現には困難が伴う。

 そこで以下の提案だ。テレビとインターネットのコラボレーション(共創)。テレビでは、できるだけ一般の視聴者にわかりやすく、さらに興味を引く内容にする。注意を惹起する。啓蒙的な内容にする。問題提起する。そして、さらに詳しく知りたい人に対しては、インターネットで詳細な情報を提供する。

 このようなシステムが本格的に普及するためには、テレビとインターネットが相互リンクできるようなハードの開発も必要だろう。しかし現時点で少なくともできることは、番組のHPを充実させることだ。この「がっちりマンデー」の場合、番組の最後に「この番組で紹介した内容について詳しく知りたい方は、番組のホームページをご覧下さい」と言えばよいのだ。それにふさわしい充実したホームページを作成しなければならないが、そこからも広告収入が期待できるだろう。

 以上、ともかくベトナムに関心が高まることは喜ばしい。最近の乱戦模様のベトナム=ビジネス状況では、スピードが重要。長期戦略を考えながら、スピーディな意思決定。そうでなければ、絶好のチャンスを逃してしまうことにもなりかねない。特に、これまでのベトナム経験者(私も含めて)は、このスピードに順応しなければならない。1年に1回か2回という従来のベトナム訪問では最近のスピードに間に合わない。

 この意味で今年度も、ベトナム短期出張が多くなるだろう。私にとって東京の隣がハノイであり、ホーチミン市だ。もっとも講義や会議の合間を縫っての訪問だ。短期にならざるをえない状況がある。これが「実学」追求の辛いところだ。

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