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2007年3月 9日 (金)

ベトナムから帰国して:ビジネス嗅覚の養成

 最近になって私は痛感するが、ビジネスで重要な「商機を見る眼」は真剣勝負の緊張感から養成される。私は、30年以上も経営学・経済学を学んできた。論文執筆や内外の学会発表において真剣勝負や緊張感は経験したが、現実の企業を見る眼については、それほどではなかった。今から思えば、やはり私自身の緊張感が欠如していた。企業を研究する単なる大学の先生にすぎなかった。

 親しいベトナム企業の日本人経営者から以前に「本音」を聞いたことがある。「大学の先生から企業訪問の依頼があると、ああ、またかと思う。緊張する」。この経営者の気持ちは理解できる。訪問者に対して同じように進出の経緯や問題点を話す。相手は大学の先生だから、その背後の大学生の存在も意識しなければならない。さらに、それなりの鋭い質問もあって緊張する。しかしビジネスには直接に結びつかない。私なら「うっとうしい」と思う訪問者だ。私の場合、こういう最初の手順は省略できる。私には、すでにベトナム進出を果たした経営者の側面がある。

 昨年から自分で会社設立し、多くの人々からの資金を預かるようになると、ビジネスに対する緊張感や嗅覚が格段に上昇したように思う。そうしなければ、自分の会社を維持・成長させることができないではないか。この緊張感や嗅覚は、本当に必要に迫られて向上するが、その前提として一定の基礎知識や経験も必要だと思う。最近の私は、やや大げさに言えば、長く眠ってきた「ビジネス嗅覚の覚醒」を意識している。注:勘違いかもしれない---!!

 このように考えれば、一般の企業の従業員として長く働いていても、会社の指示の下での仕事として仕事していては、この緊張感や嗅覚が養成されない。この状態では会社全体として、人材育成ができていないことになる。私は、従業員に大幅に権限委譲して、それに応じた成果報酬を提供する企業が成功すると思う。権限委譲しないで、成果報酬だけの評価システムでは、やる気が継続しないだろうし、長期的に見て「ビジネス嗅覚」が養成されない。

 おそらく以上の話は、経営管理論や経営組織論の中ですでに議論されているに違いない。そういった最近の文献を私は渉猟していないが、私は体験的に以上を確信をもって主張できる。念のために言えば、私の専門は経営学の中でも「企業論」である。株式会社制度・企業統治・企業支配・社会的責任などが私の研究対象だ。この研究は、まさにベトナムで実践的に現在進行中である。

 今日は、ベトナムを舞台にした「実学」の話だ。さらに追究したいと思う。

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