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2007年3月16日 (金)

「グローバルビジネス・投資環境セミナー」の開催:インド・タイ・ベトナムの比較検討

 表題のセミナーが、大阪府・社団法人大阪国際ビジネス進行協会(IBO)・日本貿易振興機構(JETRO)大阪本部・国際協力銀行(JBIC)大阪支店・日本政策投資銀行関西支店・中小企業基盤整備機構近畿支部の主催によって、シティプラザ大阪で開催された。

 第1部は、中国・欧州のビジネス環境。第2部は、チャイナプラス1の投資環境。私は、第2部においてベトナムの報告を担当した。コーディネーターは、日本政策投資銀行の山本貴之氏(シンガポール事務所首席駐在員)。タイの担当は、中矢一虎氏(中小企業基盤整備機構・国際化支援アドバイザー、IBO貿易投資相談員)、インドの担当は、西山征夫氏(同機構・国際化支援アドバイザー)であった。

 「中国プラス1」について、中国を生産基地と見れば、それはベトナムだが、中国を販売市場とみれば、中国の次はインドになるという山本氏の指摘があった。そのインドについて西山氏は、世界トップの優秀なIT人材の存在を強調され、さらに財閥企業やIT巨大企業の実力を紹介された。すでにインドは経済的に強大な力をもっている。この意味でインドは、日本から見れば、地理的に近い中国の次の国と認識されるが、実際には中国と肩を並べる大国である。「中国プラス1」という表現は、インドには当てはまらないと西山氏が話されていたが、これに私も同感である。

 タイは、すでに成熟した自動車部品産業の集積ができあがっているという中矢氏の報告も印象深かった。中国広州でも自動車部品が生産され、それは供給過剰となっている。そうなれば、ベトナムの自動車産業は、中国広州とさらにタイの双方から原材料部品を陸路で受け入れることができる。このような状況でベトナム自動車産業の「すそ野産業」の育成は可能なのであろうか。WTO加盟後のベトナムは国内生産の優遇策も次第に解消されるから、自動車部品については自国生産よりも輸入が安価であると思われる。

 このような状況下において、ベトナムの進路は何か。これが重要な問題だ。インドにおける英語ができるIT人材に対して、ベトナムでは日本語ができるIT人材。中国広州やタイにおける自動車部品産業の発展に対して、ベトナムではエンジン生産や高付加価値の自動車部品生産に特化。このような差別化戦略がベトナムには必要であろう。

 私は、ベトナム人と日本人の国民性や政治体制の類似性を指摘した。したがって日本企業にとって投資環境は良好という趣旨だ。ベトナムの国民性は、いわゆる儒教文化圏であり、日本人の勤勉さに似た気質をもっている。次の政治体制の類似性というのは、普通では理解されない指摘であろう。これは、自由民主党とベトナム共産党の体質が似ているという意味である。それぞれの党の思想や理念が異なるのは当然だが、その政権維持のための執念は同じである。それぞれの政治姿勢や政策の柔軟性・包容力・強靱性は共通していると私は思う。

 これまで自民党政権が長期に維持された理由は、「すべての不満や問題点を経済成長が潤す」という基本姿勢であると同時に、多様で広範な国民の意見を吸い上げてきたことだと思われる。これはベトナム共産党も同様であるように私は感じる。それだからこそ政権は安定し、それだからこそ経済成長に専念できるのである。

 インド・タイ・ベトナムの比較がもっとできれば、さらに興味深い討論になったと思うが、その時間が十分でなかった。これが残念である。時間無制限の徹底討論。次回のセミナーは、こういう大胆な企画がオモロイで。

 

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