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2007年3月10日 (土)

ロータス社提供「ベトナム経済ニュース」(4):順調に進行する国有企業の株式会社化

 「ロータス証券投資ファンド運用管理会社」に新しく企業アナリストのトアン(TUAN)氏が入社した。前職は貿易大学の経済学の教員であり、日本語も堪能である。私見では、これだけの逸材を現地の日系企業は絶対に欲しがる。もっともロータス社も日系企業なのだが、会長はソンさん、社長はタイさん。私は顧問に過ぎない。ベトナムのことはベトナム人に任せる方針だ。

 このトアンさんからレポートが送られてきた。本日10日に大手町KDDIホールで開催されるユナイテッドワールド証券が主催する「ベトナム民営化ファンド5セミナー」における私の講演の参考にという趣旨だ。貿易大学の日本語の先生だったチャンさんに加えて、トアンさんの入社によって、こういったレポートや最新ニュースを今後より頻繁に提供できる。

 レポート全体は、ベトナム経済全体の発展動向を紹介しているが、以下では、最初の序文の引用文と国営企業の株式会社化の動向を抜粋・要約する。

 「ベトナムにおける経済成長・政治改革そして資本市場の発展の速度は、今や注目を集めている。アジアにおいて新興の最後の未開拓市場のひとつとして、ベトナムは10年間買いとみなされている。ベトナムは地域モデルポートフォリオの3%に今や達している」(メリルリンチ証券、調査レポート、2006年2月2日)。

 「ベトナムは、次の5年の中国・インドと同様の経済成長を達成するだろう。これまで、ベトナム株式市場を観察した機関投資家は、余りにも小規模で非流動的と判断してきた。しかし、それが変化した。投資家は試してみる時だ」(HSBC(香港上海銀行)Global Research、2006年9月1日)。

 「ベトナムは東南アジアの新しい台風の目だ」(Moh Siong Sim、Citigroup Global Markets Inc.2006年9月27日)。

 ベトナムに対する評価が昨年から以上のように高まっている。それに対して当然、外国資本の流入が始まり、ベトナム株価指数は昨年に比べて2.5倍程度の値上がりとなっている。最近では、これが「バブル」ではないかという懸念が提起されている。株価収益率が200倍を超える銘柄(PVD)も出てくるのだから、「バブル」警戒は当然の観点である。

 上海市場を発端とした世界的な株価下落にベトナムも影響を受けたが、現在は回復傾向である。この下落の理由は、私見では個人投資家の「狼狽売り」である。その後の値下がりの時点で機関投資家(=外国投資ファンド)は余剰資金で買いを入れているから、株価は反発したとみなされる。このように機関投資家は現金を大量保有しており、買いの機会を注視している。

 日本においてもベトナム投資ファンドの募集は継続しているから、ますます現金はベトナム投資に向かう。この現金が直ちに株式投資に向かえば、ますます株価上昇=「バブル」は過熱する。しかし実際はそうならない。機関投資家は、投資先を冷静に判断しているから、当面は現金で保有することになる。

 このような現金が投資される対象は、バブル状態にある高値の上場株式ではなく、新規上場企業であれば最善だ。なぜなら、予想されるバブル崩壊の時期を先延ばしすることになるからだ。このように機関投資家も政府も考えている。そこで、民間企業の上場促進と同時に、国有企業の株式会社化⇒株式公開(IPO)⇒店頭市場売買⇒株式上場という過程が加速されることになる。

 下表は、完全国有企業の改革の動向を示している。
「VNREFORM.doc」をダウンロード

 この表は、国有企業の株式会社化が加速度的に増加していることを明示している。また清算・破産も増加傾向を示す。このことは、国営企業改革の進展を意味する。株式会社となった国営企業は、資金調達コストが下がり、それだけそれよりもでも新たな設備投資の導入などに効果をもつ。それよりも膨大な創業者利得が国庫に入ることになる。政府財政の改善に貢献する。

 添付表に加えて次のような国有企業の再編事例がある。たとえば2005年に国有企業ハイハは、日本の菓子メーカーであるコトブキ(本社:尼崎市)との合弁会社ハイハコトブキの株式を国有タバコ企業ビナタバに売却した。それだけでなく、コトブキ所有株式の一部もビナタバは取得した。これは国有企業内の企業再編である。以上、ハイハコトブキについて、日本からベトナムに経営権が移動し、さらにベトナム側の内部でもハイハからビナタバに経営権が譲渡されたことを意味する。

 本年度は、ベトナム航空や携帯電話のビナフォン・モビフォンなどの株式公開の予定がある。これらの大型株式の上場によって、外国投資ファンドの余剰現金の「受け皿」になる。このことは、株価上昇を伴わないで株式市場の規模が拡大することを意味する。さらに民間企業の上場が続けば、「バブル」を肥大化させずに膨大な投資資金を吸収できる。その間に、既存の上場企業の利益が上昇・好転すれば、株価収益率も下落し、「バブル」状態か沈静化される。

 このようにベトナム株式市場のバブル崩壊は、いずれ到来すると予想されるが、その時期は先延ばしされると考えられる。

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