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2007年3月11日 (日)

ベトナム民営化ファンド5セミナー開催:ベトナム株式市場は「バブル」か?

 3月10日(土)に東京・大手町KDDIホールで「ベトナム民営化ファンド5セミナー」が、ユナイテッドワールド証券の主催で開催された。私は特別講師として講演したが、何人かの方々との出会いがあって感激であった。

 このブログを通して知り合った2名の方々。それに今まで電話だけでしかお話したことがなかったお一人。これらの方々がご出席下さり、お互いに名刺交換させていただいた。恐縮と感激であった。これも「ベトナム」というキーワードに基づく「ご縁」である。

 私は、ユナイテッドワールド証券の林会長のバイタリティに敬服しているし、その人柄も好きだ。同じ関西人の空気を感じる。次から次に新興投資市場を開拓する意欲は、まるで探検家を彷彿させる。大学の研究活動でも、果たして成果がでるかどうか不確実な新しい領域に挑戦する冒険的な研究者が必要だ。このような気質をもった研究者がいるからこそ、学問は進歩してきたのだと思う。

 さて、昨日のセミナーのポイントは、ベトナム株式市場が「バブル」かどうかであった。バブル状態なら、今後の高い投資利回りは期待できないことになる。私見では、バブル状態だが、大きなバブル崩壊はありえない。なぜなら株価は需給関係で決定し、まだまだ需要は増加するからだ。

 外国投資ファンドは長期保有の戦略であり、今後の3年~5年は安定株主である。たとえ現状を「バブル」とみなして利益確定しても、その資金は割安株に対して「買い」に向かって、さらに長期保有となる。このような状況下で結局は「浮動株」が少なくなる。

 浮動株が少数であり、その株式に対して個人投資家が売買を繰り返せば、株価が上昇する。ベトナム株式市場の「バブル」は、この状態であると私は思う。株式市場における適正な株価形成の機能を果たしていないとみなされるが、それも全体として市場機構が機能した結果であるからしかたがない。

 このことは、日本の株式市場における「株式持ち合い」の状況と同じである。株式持ち合い株は安定株主として浮動株を減少させる。したがって日本の株価は割高に評価されてきた。株式持ち合いによって、一方の企業の株価が下がっても売らないのだから、株価は下げ止まる。

 ただ株式持ち合いと投資ファンドには、株式所有の目的に相違がある。前者は、「乗っ取り」を防ぐという経営的な判断の結果であるが、後者は、利益最大化が目標である。この意味で、投資ファンドは「安定株主」ではありえない。私は何度が指摘したが、投資ファンドの株式売却が円滑に進むことが重要なのだ。その「受け皿」となるような国内外の企業が存在しなくてはならない。または個人投資家が拡大していなければならない。

 以上の「受け皿」が存在しない場合、まさに「バブル崩壊」である。このような事態を想定して、投資ファンドの「目論見書」には売却期限が延長できる条文が含まれている。これは的確な投資方針だ。また、こういったバブル崩壊を防止するためには、かつての日本のPKO(価格維持操作)政策と同様に、ベトナム政府が株式取得することがあってもよい。この価格は交渉可能だろう。

 日本のPKOは、より自由な市場経済を標榜する限り、批判されて当然であるが、ベトナム政府のPKOは、同国が社会主義を目標としている限り、国民経済における国家所有の増大を意味するから、当然とも考えられる。以前に紹介したSCIC(The State Capital Investment Corporation:国家資本投資会社)が、この役割を担うことが適当であろう。このようなPKO体制ができれば、外国投資ファンドは安泰であるし、さらなる投資資金が増加し、ベトナム経済の順調な発展が期待できる。このための前提条件は、十分なPKO政策を政府が採用できるだけの外貨準備の存在である。

 このような意見も、機会があれば、ベトナム政府に提案してみようと思う。いろいろなことを考えさせてくれるという意味で、こういったセミナーの講演はありがたい。通常の大学の講義で、こういった話をすることは皆無に近い。余りにも専門的・特殊的な話題だからである。 

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