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2007年3月14日 (水)

ベトナム「ノーロードファンド」に対する疑問:再考

 「民営化ファンド5」について東京で講演した後に、ある知人から次のような質問があった。
 「ユナイテッドワールド証券の募集する「ベトナム民営化ファンド5」と、やはり同じくベトナム株式投資する「ノーロードファンド」の相違は何ですか? 同じような仕組みだと思うのですが---」。
 
 ☆ 民営化ファンド・・・http://www2.uwg.co.jp/vietnam/02_outline.html
 ☆ ノーロードファンド・・・http://www.gladv.co.jp/gli/noload/index.html 

 両者は、同じように「匿名組合」(商法第535条)によって日本で投資資金を集めて、それを主にベトナム株式に投資する。どこが違うのだろうか。

 以前に私は、「ノーロードファンド」が「出資法」違反でないかと疑問をもったが、商法の下での「匿名組合」であるから問題ないということである。しかし今回の知人の質問で、改めて両者を比較してみると、その決定的な相違は投資運用の体制の信頼性である。

 まずユナイテッドワールド証券は、金融庁の認可を受けた証券会社。金融庁の厳しい規制と監査・指導を受けるし、不祥事に対して罰則もある。これに対してノーロードファンドのグローバルリンク社は財務局に登録する投資顧問会社である。認可と登録では、会社としての信用度が違う。

 次に、ユナイテッドワールド社の「民営化ファンド」は、ベトナム国内の投資運用を「インドチャイナキャピタル社グループ」に委託している。このインドチャイナキャピタル社は、投資ファンド運用会社であり、国家証券委員会(SSC)から認可を受けている。したがって運用体制について委員会から検査を受け、違法取引には罰則もある。法定の最低資本金も必要だ。それに今までの運用実績の記録をもっている。

 これに対して「ノーロードファンド」は、現地で認可された運用管理会社と契約していない。新たに設立した英国領ヴァージン諸島の会社(資本金100ドル)に日本で集めた資金を投資し、この会社が投資運用することになっている。この会社に対してベトナムの顧問会社が助言する。しかし投資の実績は皆無だ。本当に投資運用できるのかどうかは不明だ。そういう状況で、資金の公募ができるのであろうか。

 通常は「倒産隔離」といって、もしファンド募集会社が倒産したとしても、投資家の財産は預託(カストーディアン)銀行が保管しているために安全である。ノーロードファンドの仕組みの中に、このような預託銀行が含まれているのだろうか。また、ベトナム株式運用について何ら実績のない会社に対して、預託銀行は責任がもてるのであろうか。預託銀行は、自らの責任を果たすために、運用実績のない会社については最初は「私募」を勧めている。

 以上が、知人からの質問を契機にして考えた私の新たな疑問だ。これについてベトナム証 券法や国家証券委員会の見解などを調査してみようと思う。このような複雑な問題は、あたかもMBAコースのファイナンス関係の「ケースメソッド」で採用されても不思議でない事例だ。まさに「実学」である。

 ベトナムでは一般に、このような証券分野に限らず、法整備が遅延している。以前には「法律の生産性が低い」という日本人専門家の指摘もあった。したがって法的に曖昧な部分が多々ある。それでもベトナム政府はWTO加盟に向けて大量の法律を懸命に制定してきた。この努力は高く評価されなければならない。

 現在のベトナムの法律が未整備だからと言って、外国人が何をしてもよいということにはならない。特に日本は、ベトナムにおけるODA(政府開発支援)資金の最大の投入国であり、法整備も支援の内容に含まれている。法整備を支援している国の企業が、卑しくも法の盲点を突くことは自粛すべきである。何のために日本は国税を使用してベトナムの法整備を支援しているのか? 自らが自己の行動を規制・統制することが、先進国としての日本企業および日本人の矜恃(=社会的責任と言ってもよい)ではないのか? 

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