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2007年3月24日 (土)

就職活動中の学生に贈る:自分を高く「売る」こと

 ビジネスは単純ではない。その要点は価格交渉だ。ビジネスの醍醐味でもある。いくら欲しいか。いくら払うか。売買交渉は熾烈だが、普通のことだ。ストレスもある。遠慮もある。でも仕事だからと割り切る。

 大学教授は、こういうことに苦手だ。そういう経験がないからだ。また社会からも、そのように見られている。お金を欲しがる教授は、軽蔑されたりする。大学教授は清廉でなければならない。学問=研究のために全身全霊を注ぐ。お金儲けなどは考えてはいけない。他方、お金儲けの経験がないから大学教授は、国税である「科研費」の不正流用などという犯罪を犯す。

 「お金儲け」についての大学教授の対応は、研究対象に依存することだ。経営学の場合、研究対象は企業だ。営利目的の企業を研究するための方法として、書籍・論文を読むだけでよいのかどうか。立派な経営学者は、「経営学」学者ではないか。これは私の大学院生時代に聞かされた名言だ。さすがに最近は、文献学者は減少して、実証分析の学者が増えてきた。しかし後講釈の結果論だ。解剖学。評論家。本当の臨床学になっていないのではないか。

 私の勤務する流通科学大学の建学理念は、「実学」である。実学を追究するために企業経営に自らが関与することに何の遠慮や躊躇がいるものか。そこで最近の私のビジネス経験から、就職活動中の学生にメッセージを贈ろう。こういうことを言えるのも、私の「実学」の成果なのだ。

 冒頭の価格交渉の話に戻れば、就職活動も価格交渉と同じだ。自分の実力に対応した適正価格を80点として、それを300点として企業にアピールする。そのようにすれば、企業は300点を基準にして面接して150点にまで価格を下げてくる。この商談は学生の勝ちだ。これに対して正直に80点という学生がいる。企業は、80点を基準にしてさらに価格を下げようとする。70点と評価されるかもしれない。正直な学生は、実力相応の80点すら評価してもらえない。学生の負けだ。

 80点の学生が300点のアピールをする。これが無謀であると直ちに見破られると、最初から企業は見向きもしない。「不当価格表示」が直ちに分かる店では、だれも買い物しない。店の信用がなくなる。せめて80点の学生は約3倍の240点が上限だろう。そうしておけば、企業は240点から低い価格を考えて評価してくれる。その結果が80点なら、企業の人事担当者の「見る眼」は確かだ。それが100点であれば、それは学生の勝ちだ。

 さらに学生が80点と正直に言って、それを80点と適正評価してくれて、さらに潜在的な能力まで考慮して100点にしてくれる人事担当者もいる。この人事担当は優秀だ。こういう会社は成長するし、成長していると思う。

 「ありのままの自分を見てもらえばよい」というのは、きれい事だ。学生は、できるだけ自分を高く売ればよいのだ。そのような高い志をもつことで、80点の実力が100点に向上することもある。学生は若いから、どんどん成長する。自分は80点と思っても、就職活動が終われば、実力が100点になっていることもある。

 このようなことができるためには、自分の実力を知らなければならない。自分の実力が80点と思っても、客観的には40点かもしれない。それなら120点という価格設定が適当だ。それを250点というのは「不当価格表示」だ。このような意味で、自己分析は重要だ。

 さらに昨日のブログで紹介したように、採用担当者は「能力」を重視している。しかし「能力」なんて見えるはずがない。だから実力80点でも250点という価格を主張できるのだが、他方、能力は見えないので、自分の能力も自分で見えない学生が増えている。

 このような場合、私は学生に多くの人々に自分のことを聞いてみなさいと言っている。親兄弟・親戚・友人・先生・バイト先など多様な人々に対して、「自分はどんな人間か」を質問すればよい。それで自分を判断すればよい。

 成績は目で見える。しかし能力は目で見えない。大学生活では、この能力を上げることを考えればよい。成績向上から能力向上へ。この評価基準の切り替えを理解させることが、大学教員の役割だと思う。大学の成績=偏差値だけ上げればよいというほど単純ではない。

 今日から「ベトナム=スタディツアー」に出発だ。学生達は、何らかの能力を必ず向上させてくれるだろう。これは「遊び」ではない。これは「勉強」だと宣言した旅行だ。このように学生に納得してもらった。今は半信半疑であろうが、帰国後の反応が楽しみだ。明日から時間のある限り、ベトナム現地報告を続けよう。

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