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2007年3月21日 (水)

ベトナムから驚愕の通達:サイゴン証券の新規外国人口座の開設について

 ベトナム政府・国家証券委員会は、ベトナム株式市場の動向について神経をとがらせている。「バブル崩壊」となれば、多くのベトナム人個人投資家から批判を受け、政府の無策が批判される。さらに私見だが、政府幹部が自ら株式投資に関係しているとも想像される。これは、日本でも通常のことであり、特に批判されることではない。資産公開や情報公開が求められることは両国に共通した課題だ。いずれにせよ、ともかく株価維持はベトナム政府にとって至上命題だ。

 ベトナムは、先行する中国の株式市場の動向を注意深く研究していると思われる。「バブル崩壊」を回避しながら、いかに順調に株式市場を発展させるか? このように考えても不思議でない。しかし「バブル崩壊」があるからこそ、過度の株高が沈静化し、その後のさらなる株価上昇が期待できる。その時点で「バブル崩壊」という大事件であるが、それが後日に「調整局面」とみなされる小事になる。これが、これまでの株式市場の一般的な歴史である。

 私と親しくしていただいているベトナム株式投資の「スーパースター」の日本人がおられる。これまでに何度かお目にかかり、ホーチミン市で奥様とも食事をご一緒した。本当の成功者は、自分から成功したとは言わないものだ。何億円も儲かったという成功者に対する羨望や嫉妬は、日本社会では今でも根強く残っているからだ。この「スーパースター」から次のような連絡があった。

 取引先のサイゴン証券から連絡があり、新規の外国人個人投資家の口座開設について料金改定があった。
 ・公開株式仲介:0.5%(従来と変わらず)
 ・口座開設:200米ドル
 ・口座管理料:月額100米ドル(従来は15米ドル。既存口座は25米ドルに改訂)
 ・最初の保証金:10,000米ドル
 ・最低保証金:1,000米ドル

 このスーパースターは「なんぼなんでも、ムチャクチャやおまへんか」と大阪弁で言いながらも、その負担増は、毎月の口座管理料が15ドルから25ドルになっただけである。このようなサイゴン証券の料金改定は何を意味するか? 

 この料金改定の背景には、バブル沈静化のための「行政指導」があったと考えられる。不平が強く表明され難い新規の外国人個人投資家の市場参入を抑制する。このような手法は、これまでにもベトナム政府がよく使用してきた。ただし、この価格改定は合理的でもある。これまでの制度的なリスクの高い状態で口座開設した人と、そのリスクが次第に減少する現状での新規の口座開設する人とでは、その負担料金が相違して当然と考えられるからだ。

 それにしても、毎月100米ドル負担しても利益を上げるためには、かなりの大口投資でなければならない。明らかに小口の外国人の個人投資家の締め出しだ。私見では、個人投資家の過剰な短期売買が株価の「バブル」を発生させた。その抑制のために政府当局は、手始めに外国人投資家の参入障壁を高くしたのである。なお、これはサイゴン証券の個別企業の事例なのか、または一般的な傾向なのか。これについては調査が必要だ。

 要するに、ベトナム政府が歓迎する投資家は長期保有を志向する安定株主だ。短期売買を繰り返す個人投資家は市場の攪乱要因とみなされて非歓迎であるように推察される。そうであるとすれば、これからのベトナムは投資信託の時代だ。銀行預金の代わりに投資信託。個人資産の安定的な成長がベトナム経済に貢献する。これが、ベトナム投資信託のセールスポイントとなるであろう。

 所得格差の拡大が進めば、一般国民の不満が高まるのは当然だ。株式の値上がりによる所得(キャピタルゲイン)の成功談は、一般の人々には大きな不満材料になる。日本でもそうだろう。株式で大儲けした話を聞けば、「アホらして働けるかいな」となる。それでも生活のために黙々と働かざるをえない。これが大多数(ベトナムも日本も)の人々の正直な気持ちではないか。

 このようなことに配慮すれば、ベトナムで投資信託が導入されてもよい。「ビール1本からの株式投資」。少数の富裕層を株主とする株式市場ではなく、一般国民を巻き込んだ株式市場の発展がベトナムでは求められていると思う。そのためには、ベトナム国民向けの投資信託の導入が望ましいと私は考えている。

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