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2007年1月23日 (火)

人材ビジネスの仕組みと展望:(株)毎日コミュニケーションズ・笹田人事部長のご講義

 昨年12月16日(土)、流通科学大学の特色ある「実学」講義の一環である「21世紀の業界展望」は、(株)毎日コミュニケーションズ・管理本部人事部長の笹田大介氏を特別講師として招聘し、ご講義を賜った。このブログでの報告が、年末の私のベトナム出張などもあり、遅くなってしまった。受講生を始め皆さまのご容赦を賜りたい。

Dsc08976  最近のベトナムにおける人材ビジネスは活発だ。特に理工系ベトナム人に対する日本の中小企業の求人が急増している。このためには日本側の人材派遣会社とベトナム側の人材派遣会社が契約することが必要だ。ベトナムの人材情報は、日越経済交流センターに問い合わせていただきたい。http://www.j-veec.jp/ 講師の笹田さんはベトナム訪問の経験があり、講義後にベトナムの話題で1時間も盛り上がった。これが「出会い」というものである。

 さて、ご講義では、いくつかの日本の雇用状況や人材ビジネスの特徴が指摘された。
 (1) 日本の人件費は世界最高水準。
 大学新卒の年収は残業代も入れると、250万円から400万円。アメリカでも2万5千ドル程度。したがって日本で生産すれば、コストが高い。そこで生産が海外移転される。また、日本では付加価値の高い商品が生産される。

 (2) 会社にとって個人報酬の1.5~1.8倍の人件費がかかる。
 したがって企業は正社員を少なくしたい。正社員に期待されるしてもらいたい仕事は、マニュアル化できない仕事、判断が必要な仕事である。したがって正社員以外の多様な雇用形態が生まれる。仕事に応じて雇用形態も変わる。受付は派遣でよい。レジ打ちはアルバイト(=パート)で十分だ。このような区別が実際の企業では行われている。

 (3) 日本の人材ビジネスには次の種類がある。
 ①人材派遣、②人材紹介、③紹介予定派遣、④再就職支援事業。これらは「対面型ビジネスモデル」である。これに対して、①新卒学生向け求人サイト、②転職希望者向け求人サイト、③アルバイト・パート求人サイト、④派遣社員向け求人ポータルサイト、⑤転職者向け求人ポータルサイト。これらは、企業対多数の「情報発信型ビジネスモデル」である。以下、それぞれの特徴は次の通りである。

 ★人材派遣業: これらの人材ビジネスは、15年間で年平均13%の成長を示し、人材派遣業の市場規模は、2005年度には2.5兆円に達している。今後5年間も成長は持続するとみなされている。欧米企業の派遣社員の割合は3%と言われており、その数値に日本は達していないので、まだまだ成長の余地はある。

 ★人材紹介業: 年間の成長率は10%超であり、2005年度の市場規模は1500億円である。紹介業者は、企業側から採用者の年収の35%を報酬として受け取るのが業界の相場である。もちろん一律に80万円といった報酬の場合もある。派遣から正社員に移行する場合は、紹介予定派遣と呼ばれる。この人材紹介業には、再就職支援事業が含まれる。

 ★求人情報業界: 市場規模は、未上場企業が多いので正確には把握できないが、2004年度に600億円、2007年度には1000億円超になると推定される。この求人情報の大手2社がリクルート社と毎日コミュニケーション社である。前者の「リクナビ」が8000社、そして後者の「マイナビ」が6000社の求人情報を掲載している。これらの情報業界は、大手2~3社に集約される傾向がある。

 ★転職者向け求人情報: 市場規模は不明。転職情報の提供だけで1000社ある。現代の世相では転職に抵抗感がなくなっている。転職者情報は、パートやアルバイト求人情報と重複する場合も多い。ただしパートやアルバイト(注:この両者の用語に厳密な区別はない)は、求人の回転が早く、広告掲載の単価は数万円であるが、転職者向け求人は、数10万円から数100万円になる。この広告主は、派遣者向けの求人をする派遣会社である。

 以上が人材ビジネスの概要である。業界は、総合人材サービスを提供する大手企業と、ある人材に特化・専門化した企業とに二極分化する傾向がある。後者には、たとえば情報技術(IT)技術者や障害者の求人などがあり、きめ細かい対応が特徴である。

 おそらく私見では、これから将来、より多くの外国人が日本の人材ビジネスの主役になることは間違いない。実際、たとえば今日でもベトナム人のエンジニアや数学専門家の採用を希望する企業がある。このような場合、そもそも外国人としてのベトナム人を受け入れるような寛容性が日本社会にあるのだろうか。これは、「人材ビジネス」といった企業レベルの話ではなく、日本政府や日本社会の問題である。さらに言えば、われわれひとりひとりの個々人の問題である。

 このように人材ビジネスは、今後ますます国際的な展開を見せると予想される。また企業の経営資源の中で、やはり最重要な要素は「ヒト」である。これに異論はないだろう。それだけに、人材ビジネスは、さらなる成長が期待される業界とみなされる。

 貴重なご講義を賜った笹田大介さんに、心から御礼を申し上げます。御礼が遅くなり、恐縮でした。さらに近い将来に、共通のベトナムの話題で再び盛り上がることを楽しみにいたしております。

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