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2007年1月 2日 (火)

映画『硫黄島からの手紙』:相手を知ること

 元旦は、映画『硫黄島からの手紙』を長男と見に行った。毎月1日は「映画の日」だから、入場料は1000円均一。正月早々にもかかわらず、なかなかの人出であった。

 この映画、第1部の『父親たちの星条旗』も長男と見た。両作品を比べてみて、この第2部がより感動的だ。アカデミー賞のノミネートも可能だろう。戦場の場面のみならず、戦中の日本の大本営や社会の実態がよく描かれている。このように書くと、いかにも私が戦中派の人間ように思われるが、私は、中学生時代に『戦争を知らない子ども達』がヒットした世代だ。私の戦争知識は主に映画や小説に依存している。五味川純平の『戦争と人間』・『人間の条件』シリーズは、私の青春の映画だ。全作品一挙上映のために、朝から弁当をもって映画館に行った。また市川雷蔵の『陸軍中野学校』シリーズ、勝新太郎・田村高広の『兵隊やくざ』シリーズはテレビで何回も見た。

 これら日本の戦争映画の古典的名作と比較して、アメリカ映画である『硫黄島からの手紙』は、まったく違和感がなかった。良くできた脚本だ。ただし当時の日本軍は、小銃を「ライフル」とは呼ばないだろう。英語は敵性語のはずだ。やはり「三八式歩兵銃」ではないのか。これは、少しばかり疑問に思った。また、英語の字幕がなかった。在日の外国人にも見てほしいのに、どうして英語字幕がないのだろうか? また日本人であっても、日本語のセリフを、どのように英語で表現しているのか知りたい人もいるだろう。

 私は、洞窟内で死んだ米兵捕虜の手紙が読まれる場面が特に印象的だった。当時の日本人は敵国アメリカのこと、さらにアメリカ人のことに一部を除いて無知だった。当然、これは想像できることだが、この場面から改めて強いメッセージとして受け止めることができた。現在のわれわれは、当面の問題となっている北朝鮮やイラクの国民の心情や生活をどれほど知っているのであろうか。こういった国々に親しい友達がいれば、また違った意見や考えが出てくるのだろうが、知らないのだから、政府やマスコミの発表や報道を信じざるをえない。

 渡辺謙を始めとして日本軍将兵が家族に向けて何度も書く手紙に匹敵して、この米軍兵士の1通の手紙は重い。まず相手を知ることが重要なのだ。相手の立場を理解する。そうなれば、戦争の抑止力が働く。しかし、いくら理解したからと言って、戦争となれば殺し合わなければならない。相手の国に親近感をもっていても、友人がいても、両国が戦争となれば、相手を殺すか、または自らが「非国民」として監獄行きだ。そういう悲劇的な状況にならないように、戦争を事前に防ぐことが何よりも必要だ。この映画は反戦映画として秀逸だ。

 イラク戦争を開始したアメリカや、それを支持した日本にとって、この映画は深い意味を持っている。大量破壊兵器をもつ危険な国家イラクという情報に基づいた戦争であったのに、それは誤りというよりも嘘だった。そういった情報操作に惑わされた反省を国民はするべきなのだ。アメリカでは、先の中間選挙でそのような結果が出たが、日本では、次の参議院選挙の結果はどうなるのか。

 この映画の第1部ではアメリカの世論操作、第2部では日本人のアメリカについての無知が描かれた。そして共通して戦争の悲惨さや理不尽さが強調された。これらのことで、イラク戦争におけるアメリカの反省を監督・制作者のクリント=イーストウッドは促しているように思われる。

 私の叔父はレイテ島で戦死・玉砕したと母から聞かされた。叔父は、満州(現在の中国東北部)で一旗揚げると言ったり、京都の先斗町で遊んだりしていたようだ。また医者になりたかったそうだ。母から私は叔父の隔世遺伝ではないかと言われていた。このような戦死した叔父のことも、この映画で想起できた。叔父の写真は、昨年1月に亡くなった母のアルバムの中に残されている。

 この映画は、第1部と第2部を合わせてDVDを購入することに決めた。じっくり何度も、そのメッセージの意味をかみしめたいと思う。

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