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2007年1月 3日 (水)

ベトナムにおける中古車の輸入税制:新入手の資料を公開

 昨年末のベトナム訪問は、その経済・経営環境の最新情報の収集も当然の目的であった。その中でハノイの現地法人「ITソルーションズ社」の後藤社長から、中古車の輸入税制について資料を頂戴した。

 後藤さんは、ITビジネスや輸出入業の他に、ベトナム進出中小企業のためのコンサルティングもされている。したがって中古車輸入のような本業と直接関係ない情報についても、ベトナム人スタッフが常に翻訳・収集しているそうである。

 このような調査・研究の環境は私にとって羨望である。大学教授の場合、研究指導する大学院生に対して、自らが直接研究する時間のない研究テーマを提供し、その指導を通じて最新の情報を自ら収集するという方法が一般的である。

 しかしながら私見では、このような方法は「アカハラ(アカデミック=ハラスメント)」の温床となるし、大学院生の研究に対する自主性・自発性の芽を摘み取ることになる。事実、私の指導教授は、研究テーマについて私の自由に任せてくれた。それは当時、研究の進捗から見れば非効率的であったかもしれないが、今になって思えば、自分で創意工夫する習慣がついた。

 このような意図もあり、また適当な大学院生も不在であるために、私のベトナム研究は、これまで単独で情報を収集してきた。もちろん文部科学省や大学から研究費は支給されるが、ベトナム人の常勤調査スタッフを雇用する余裕はない。親しいベトナム人の皆さんや、後藤さんのようなベトナム在住の日本人の方々に最新情報の収集は依存している。だからこそ、ベトナムの皆さんに感謝しなければならない。

 さて、ベトナムの中古車輸入の税制の全体像は、添付ファイルを参照していただきたい。「tax_system.doc」をダウンロード

 中古車の価格査定は難しい。日本では通常、車体の傷や内装の使用状況まで判断基準になると思われる。しかし添付の表によれば、ベトナムでは、エンジンの排気量によって中古車価格は自動的に決定されてしまう。これは、中古車の課税評価に恣意が含まれないということだ。

 たとえば1,600ccの乗用車なら、車体の中古価格は3,000ドルと評価される。これに輸入税額が10,000ドル。特別消費税50%。この計算は、(3,000+10,000)×0.5=6,500ドル。さらに付加価値税10%。この計算は、(3,000+10,000+6,500)×0.1=1,950ドル。以上、合計税額は18,450ドル。中古車価格3,000ドルに対して615.00%の合計税率となる。

 これは、税務当局が簡便に徴税するための制度である。中古車の価格について輸入企業と税務当局に交渉の余地はない。なお、WTO加盟(2007年1月11日)後の輸入税額は、本来なら廃止されるべきものである。もちろん中古車価格は、市場交渉によって決定される。上記の例では3,000ドルであるが、それが実際の契約は2,000ドルの場合もあれば、5,000ドルの場合もある。

 このような制度は、税金を安くしてもらう目的で、中古車の価格を下げるように輸入業者が税務当局に賄賂を贈るといったことと無縁になる。排気量の大小による単純な徴税制度である。

 なお輸入が可能な中古車は、次の3条件を満たさなければならない。①ハンドルは左側(日本と反対)。②走行距離は1万キロ以上。③工場出荷後5年以内。したがって今年の輸入車は、2002年以降に製造された自動車である。

 以上は、拙著(『乗り遅れるな!ベトナムビジネスがいま熱い』カナリア書房、2006年、pp.29ー31)の補足である。さらに、WTO加盟後の新税制の調査が残された課題である。

 最後に付記すれば、ハノイ市内で日産自動車の販売ショウルームが開設されている。これは、ベトナム人が日産の輸入車を販売する目的だそうである。WTO加盟後に輸入税額が全廃されることを見越しての事業であると想像される。機会があれば、この店主にインタビューしてみたい。

  

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