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2006年12月12日 (火)

社団法人・日本旅行業協会・田端事務局長のご講義:21世紀の新たなるツーリズム創造へ

 12月6日(水)、私が担当する「21世紀の業界展望」では、(社)日本旅行業協会関西支部・事務局長の田端俊文氏をお招きして、ご講義を賜った。

 日本の旅行総消費額は24.5兆円。付加価値は12.3兆円。この付加価値は食料品業界に匹敵する。旅行=観光は、経済における重要な位置を占めている。

P1010037  しかし日本には、観光省・観光大臣が設置されていない。田端さんは、ウズベキスタンにJICA専門家として短期で赴任されて、この印象を強くもたれたそうである。すでに私も、直接投資・貿易・ODA・海外送金に並んで国際観光が経済発展にとって不可欠なことをラオスについて指摘したことがある。

 日本でも、すでに北海道では夏でもスキーをしたいオーストラリア人が長期滞在する事例がある。こういう国際観光に重点をおけば、それが最大の平和政策になるように思われる。日本観光を通して親日家・知日家が世界で増加すればよい。このように考えれば、防衛省の昇格よりも観光省の創設が優先されてもよかった。

 田端さんによれば、日本の旅行業に課題は多い。①全日空のように航空会社が直接チケットを販売する。②楽天トラベルなどを通してインターネットで直接ホテルを予約する。③高速道路での日帰り旅行が増加する。④旅行代金の安売り競争が激化する。これらの中で①~③は、旅行会社を通さないので旅行業に含まれない。これらのことが近年、旅行業者数が横ばいになり、旅行業者の旅行取扱額が減少している理由である。

 日本の海外旅行者数は1740万人。これに対して訪日外国人旅行者数は673万人。この数字は2005年だが、前年2004年の614万人に比べて増加している。まだまだ外国人の訪日数は少ない。政府は2003年から「VISIT JAPAN」キャンペーンを継続している。外国人の国内旅行がより容易になるような体制整備がさらに望まれる。

 私見では、留学生支援を兼ねて、留学生に自国の観光客やビジネス人のガイドや交流の機会を提供する体制を公的に整備すればよいと思う。このコーディネートを私は個人的にしているが、もっと情報と人材が集まれば、留学生も観光客・ビジネス人も喜ぶだろう。

 さらに人口比率で見れば、海外渡航(出国)率の国別順位は次のようである。①シンガポール:119.7%、②英国:107.0%、③ドイツ:90.5%、④香港:70.3%、⑤カナダ:61.7%。それ以下、台湾:34.5%、米国:19.1%、韓国:18.4%。これらの国々に対して、日本は13.3%である。

 この数字が100%を超えると言うことは、平均して国民が1年に1回以上外国旅行しているということだ。さらに日本の極端に低い数字には驚かされる。田端さんによれば、それだからこそ、まだまだ海外旅行は伸びる余地があるということだ。

 しかしながら私見では、私は今年4回の海外出張している。これは重複計算されている。そうすると外国訪問しない日本人の実態は、この数字よりも低い。経済の外国依存が高いにもかかわらず、日本人の外国旅行は少なすぎる。

 田端さんは、最後に21世紀の観光を変える要因として、次の4点を指摘された。

 (1)2009年問題:この年に羽田空港の拡張工事が終了。関西空港の2期工事も完了。つまり空港の離発着数は、現状から見て過剰供給になるということだ。この対応をどうするか?
 (2)LOW COST CARRIERの出現:たとえば現状でも香港からロンドンまで100ドルの航空券が発売されている。ただし空港は地方空港を使い、機内サービスは有料化され、インターネットで航空券は直接販売される。これらによってコストが削減されている。このような形態の航空会社が増加するかもしれない。
 (3)OPEN SKY政策:これは、認可なしに申請だけで自由に離発着できるようにする国の政策を意味する。ハブ空港としての地位を確立するために必要な政策だ。旅行会社が自前でチャーター便を飛ばすことも可能になる。日本も採用せざるをえないだろう。
 (4)国内着地型旅行の開発:遠洋漁業型から養殖型への脱皮と特徴づけられる。これまでのような団体旅行で遠方に海外旅行するタイプは減少する。その帰国便に外国人が乗っているようにしたい。そこで日本の地域の人々と連携して外国人を受け入れる体制を整備する。双方向の旅行を育てていることが、今後の旅行業の展望だ。

 以上、最後の4点は田端さんの見解だが、もっともに思われる。人口減少の傾向にある日本にとって、外国人観光客の増加は経済活性化の決め手だ。さらに考えれば、外国人労働者の受入体制を整備すれば、それに伴って家族を呼び寄せる観光旅行も増加するだろう。このように考えれば、旅行を取り巻く問題は幅広い。

 旅行業界の全体的な動向が、田端さんの講義によって理解できた。貴重な時間を頂戴したことに感謝を申し上げたい。

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