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2006年12月16日 (土)

神戸ポートピアホテル:老舗ホテルのホスピタリティ

 (株)神戸ポートピアホテル・常務取締役・人事部長である木下雅文さんを特別講師にお迎えして、12月9日(土)に「21世紀の業界展望」が開講された。

Dscf1352  日本経済新聞の調査によれば、ホテルに対する宿泊客の評価は、ほんの少しのことで「満足した」と「がっかりした」に区別されるそうである。「ゴミがひとつ落ちている」といった程度のことで、今まで満足していた顧客が、がっかりしてしまうのである。細やかな配慮の有無が、評価を2分することになる。

 これは私も同感だが、そういった「細やかな配慮」に鈍感な宿泊客も多いのではないか。一般に店側が細やかに配慮して、それを顧客も理解して満足する。このような相互関係があってこそ、顧客はリピーターになるのだろう。

 サービス業の中でもホテルでは、ホテルと宿泊客の間での「無言の対話」があると言えるかもしれない。この対話が可能な感性をもった人材を擁するホテルが、顧客の支持が高いホテルであると私は思った。木下さんは、このことを「もてなす側の注意と受け手の感受性のやりとり」と表現された。

 ホテルの顧客満足の要因は、Q:品質、S:サービス、C:清潔感、A:雰囲気、P:価格となる。この中で価格は、ホテル業態や利用目的によって最初から異なっている。これらの変数から生まれる満足度が、事前期待より大きければ、宿泊客は満足する。

 ここで興味深いのは、この満足度を導き出す変数の関数だ。(Q+S+C+A)÷Pではなく、(Q×S×C×A)÷Pでなければならない。QSCAの変数の中で1つでも数値が0(ゼロ)であれば、いくらほかの3変数の数値が高くても、満足度は0(ゼロ)になる。これもサービス業では重要な指摘だ。

 企業側が、ほかの変数で高い数値を出しているから、ある変数が悪くても顧客は許してくれると思っていても、それは企業の論理でしかない。顧客は厳しい。ただし私見では、これは不特定多数の顧客の場合であろう。たとえば価格さえ安ければ、ほかは眼をつぶるという宿泊客もいるはずだ。でも、これは少数派であることは間違いない。

 他方、木下さんは、ホスピタリティ(=おもてなしの心)について「お客の数だけ形とやり方がある」と指摘された。それは「茶道に似ている」そうである。茶道を私は知らないが、この指摘には強く共感する。これは、学生を相手にする教育にも妥当する。また、個々の問題解決を提案する「ソリューション=ビジネス」にも共通する。これからのビジネスは、個々のニーズやウォンツに柔軟に対応する高付加価値サービスの提供ということだろう。

 こういったホテルのサービス提供は、おそらく『マニュアル』では対応できない。それぞれの従業員が、その場で即座に自分で判断できる能力を高めることが必要であろう。

 神戸ポートピアホテルは、映画『ラストサムライ』撮影のためにトム=クルーズが利用。また2004年のワールドカップではベッカム選手、さらに2005年には天皇・皇后両陛下も御宿泊されている。このような事実が、神戸の老舗ホテルとしての高い格式と評価を証明している。同ホテルにおける一層のホスピタリティの向上に期待したい。

 貴重なご講義を賜った木下さんに改めて感謝を申し上げたい。 なお個人的に言えば、映画『有頂天ホテル』を思い浮かべながら、ご講義を承った。少しばかり役所広司に似ておられる木下さんであった。

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