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2006年12月25日 (月)

ハノイでの仕事

 今回のベトナム出張は、大学の個人研究費による出張である。研究とビジネスは違うだろうという批判は予想される。私は、ビジネスの研究をしているのであって、両者は融合している。また、その研究が教育にも直結している。このブログの副題にあるように、アジアで「実学」を追究しているのだ。

 ハノイの第1日目は、弊社が支援している「ロータス投資管理会社」の従業員採用の面接をした。これは、まったくの偶然だった。今、ちょうど大学3回生は就職活動の開始時期で、私の大学でも教員が学生に対して「模擬面接」を実施している。私も経験があるが、この「模擬面接」が実際の面接に役立った。面接する側の教員にとっても「模擬面接」は役に立ったという事例だが、こういう経験をする教員は、日本でも極めて少数だろう。

 日本人投資家向けの広報や渉外の担当者の採用であるから、日本語ができるベトナム人女性が面接の対象者だ。今日は2名を面接した。いずれも貿易大学の卒業生。ここで女性としたのは、ベトナム人女性の優秀性と信頼性の高さを以前から聞いていたからだ。また顧客対応の場合、やはり女性は、その場を和ませる。こういう採用は、日本では「セクハラ」だが、ベトナムでは許される。また、創業者であるソン会長とタイ社長のベンチャー企業であるから、それに男性社員が加わると、将来に、その社員が「独立したい」とかいう野心をもつ場合もある。女性社員が、そのような野心をもつことは日本でも寡聞である。

 ベトナムにおける面接の場合、ベトナムの特殊性として家族構成を聞くことが重要だ。これなどは日本の面接ではタブーだが、ベトナムでは普通の質問だ。家庭環境によって個人の性格が大きく左右される。ましてや金融証券業なので、お金に執着しすぎる人は困る。事故の原因になる。

 一緒に面接したタイ社長は、独身女性に「恋人はいますか?」と質問していたが、これは日本では「セクハラ質問」の典型だ。これは、タイ社長に指摘しておいた。しかし本当は重要な質問だ。お金の大好きな恋人がいたら、これも事故の原因になる。でも、そんなことを正直に答える人はいないから、質問しても無駄ということだ。無意味な質問をする必要はない。

 公募採用にするか、縁故採用にするかという問題もある。おそらく公募にすれば、人気の証券業だから1名の募集に対して100人は集まると思う。この選考は公平だ。しかし、その面接の時間と手間が大変だ。これに対して縁故採用は、ある程度まで最初から信用できる人が来るが、採用後に「甘え」が生じる可能性もある。

 私は、本人の第一印象が重要だと思った。「良い人」や「できる人」という直感が採用側に自然に働くように思った。そのポイントは、「眼の輝き」とか「眼光の強さ」だ。2人の面接者の中で、どちらも「良い人」だと思ったが、「眼」から受ける印象には優劣があった。

 本ブログで紹介している「21世紀の業界展望」の講義では、実際の採用担当者に採用のポイントを話していただいているが、「第一印象が重要」という指摘が複数回あった。これは確かに当たっている。採用側は、ほとんどの判断を第一印象や直感に依存している。このことが自覚できた。いろいろ質問しても、結局は、本当のことは不明だからだ。

 また「ロータス投資管理会社」は、当面は即戦力を必要としている。日本の法人投資家と直接にやり取りできる能力が必要だ。また早速に証券知識を勉強してもらわなければならない。また日本語のみならず、英語の能力も必要だ。こうなると、新卒者よりも転職者が望ましいということになる。実際の上司はソン会長やタイ社長なので、私は特に口を挟むことはしないが、以上のような意見を伝えた。

 日本企業のベトナム進出が加速している。その結果、以上のように日本語や英語ができる人材が不足していると聞いた。この場合、少なくとも高給料で引き抜くことは避けなければならない。ベトナムの狭い日本社会では、それらの悪評は好ましくない。それではどうするか。魅力ある仕事を提供することだ。

 ベトナム人に権限委譲し、より高度な仕事を次第に提供し、最後は社長や本社取締役にまで昇進させる道を開いてやることだと思う。勉強熱心なベトナム人に対応した仕事を提供することが、これからのベトナム人幹部候補生の採用では重要だ。この意味で、「ロータス投資管理会社」は、いつまでも勉強を継続しなければならない業界だ。証券の知識から始まって、ベトナムの経済・経営・社会、投資家の心理、さらに日本経済や世界経済について勉強してもらう。将来は、MBA取得のために外国留学もある。こんなことを面接に来た2名には伝えた。

 口を挟まないと言いながら、しっかり口を挟んだ面接だった。でも、最終決定はベトナム側に任せるのは当然だと思っている。「ベトナムのことはベトナム人に任せる」。ただし、世界共通のビジネスの要点は、やっぱりベトナム人だけではちょっと不安かな。

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