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2006年12月11日 (月)

ベトナム「ロータス投資管理会社」の裏話:起業の秘訣は何か?

 私は大学で「ベンチャー起業論」を担当している。この講義は、学生が考えた新しいビジネスモデルを材料にして、学生相互で議論しながら、その内容を改善するという対話型の教育手法を基本にしている。

 こういう講義を担当していると、単純な人間である私は、自分でも会社を設立したくなってくる。そこで今年8月4日に合同会社TETを設立した。ここでの起業の要点は、単純な思考ということだ。複雑に考えると、否定的なことばかりが頭に浮かび、結局は、何もしないという結論になる。ただし単純といっても、考えが浅いという意味ではない。「単純に考えて儲かる」と思うビジネスを実行することである。利益を生み出すビジネスは、複雑ではなく意外と単純な発想から生まれると思う。起業するからには、利益がなければ意味がない。

 会社を設立となると、ええカッコしたくなるのが人情だ。立派な事務所を好立地に構えるといったことの前に、当面は資本金=出資金をいくらにするかが問題だ。せめて100万円とか、無理して1000万円とか考えるのだが、TET社の場合は10万円である。資本金の多寡が企業の信用度を表さないということが、新しい会社法の趣旨である。さらに創立したばかりの会社に信用が伴うはずもない。弊社TETは、産業分類から言えば、サービス業だ。多額の資本は必要ない。「小さく始める」ことは、小さいリスクを意味する。これも起業の基本原則だ。この資本金は、会社印と登記費用と電話機に使って終わりだ。

 このTET社は、主にベトナムとの投資貿易促進を事業内容とする会社である。そのためには、ベトナム側のパートナーが必要だ。そこで昨日紹介した「ロータス投資管理会社」の設立に協力することにした。この時期は、ちょうど昨年の今頃だ。同社のソン会長とは、数年前からのつき合い。彼の人柄は理解しており、変な日本人よりも信頼できると私は思った。しかし、ロータス会社設立の支援について相談した日本人の多数からは、絶対に騙されるとか、ベトナム人は信頼できないという否定的な話だった。こういう話は冷静に承るし、大いに参考にしてきたつもりだが、その反面、そういった人々を見返すという反発もあった。これは私の「意地」だ。

 今までを振り返って、「ロータス投資管理会社」の設立は簡単ではなかった。いくつかのハードルがあった。それは当然だ。弊社TETは単なる投資サービス会社だが、ロータス社はベトナム政府が認可する正式の証券運用会社だ。生成期のベトナム証券市場において、その順調な発展を政府は期待している。そのために審査も慎重かつ厳格であった。また国家証券委員会は、外資系大手の証券会社の進出を優先的に歓迎していた。さらに大量の投資ファンド資金を委員会は求めてきた。

 これらのハードルを超えることができたのは、私の「意地」であったし、それに応えてくれたソン会長の熱意だった。さらに彼が弱気になったときに励ましたのは私だったし、私が不安なときに励ましてくれたのは彼だった。このように考えれば、2人は確かに名コンビだと思う。どのような起業においても、ビジネスのパートナーが重要なことは共通している。

 もちろん「ロータス投資管理会社」の設立に当たって、それを支援する弊社および私を日本の支援・協力してくださった方々がおられた。特に日越経済交流センターの皆さんにはお世話になった。ロータス社のソン会長が、同センターのハノイ代表という関係もあったが、それにしても多大の貢献を賜った。深く感謝を申し上げたい。

 これまでに「意地」を強調したが、それには次のような意味も含まれている。ベトナムの直接投資で世界をリードしてきた日本が、その間接投資では、なぜ欧米の後塵を拝さなければならないかということだ。

 そもそも日本の金融業において「ビッグバン」(=規制緩和)が推進されたのは、欧米の圧力とみなされる。バブル崩壊の時期に、金融ビッグバンが進行したので、金融機関は「貸し渋り」を長期化させた。これが景気回復を遅延させた。その反面、欧米の金融機関や投資ファンドが日本の不良債権を取得・転売して大儲けしてきた。これは今も続いている。このように日本を「食い物」にしてきた欧米金融会社に対する反発が私にはあった。

 同様のことがベトナムでも行われる。これは私にとって許されなかった。日本で私は無力だが、ベトナムでは微力ながら、一矢を報いることぐらいはできると思った。なぜなら、少なくともベトナムのビジネス研究について私は10年を超えた。そして何よりもソン会長という絶好のパートナーがいた。

 「ベトナムのことはベトナム人に聞く」。現地の信頼できる優秀なパートナーの存在は、国際ビジネスにおける成功の秘訣だ。「ロータス投資管理会社」と合同会社TETは、そういう関係だ。日本人が偉そうに指図しても、それは日本で通用するかもしれないが、ベトナムで通用しないことが多々ある。弊社TETは、「ロータス投資管理会社」を指示でなく、支持する。応援する。これが弊社の役割であり、それが誇りでもある。弊社の利益は、その後に自然に付いてくると考えている。

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