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2006年12月31日 (日)

哀れ!「正月用品」が空港で没収に

 30日に通訳のTHAMさんに買ってもらったお土産の「正月用品」が、タンソンニャット空港で没収になった。せっかく楽しく家族で盛り上がろうと思っていたのに---。

 さて、この「正月用品」とは何でしょうか? 次の3つから正解の1つを選択してください。

(1)爆竹
 かつてのベトナムのテト(旧正月)の思い出を日本で再現しようとして、アホな大学教授が日本に持って帰ろうとした。
(2)クワ(CUA)=子持ちカニ
 本人が大好物のカニを家族に食べさせようと、愛情深く家族思いのアホな大学教授が日本に持ち帰ろうとした。
(3)ニュクマム(魚醤、タイではナンプラー)
 多数の種類があるベトナム独自の調味料ニュクマムの中から最高級品をアホな大学教授が日本に持ち帰ろうとした。

 正解は明日。お正月に。皆さま、よりよいお年をお迎えください。

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2006年12月30日 (土)

ホーチミン市の仕事3:「シンカモン・ザオスー」

 本日の深夜便で帰国する。大晦日は日本だ。最後のホーチミン市は、朝からベトナム民間会社・日系企業・日本語学校を訪問。その後に「正月用品」を買い物した。通訳のThamさんには非常にお世話になった。

 今日は各方面の方々から、いろいろなアイデアを頂戴した。ベトナム民間企業では、株式公開・株式上場の関心は十分だった。機械部品や木工品の会社だ。私は、この社長を好きだ。物作りの職人的な感じがする。それに質素だ。派手好きの社長でないところが、真面目な堅実さを証明している。そうは言っても現在、事務所兼自宅を建て替え中だから、お金はもっているようだ。こういう企業の株式会社化に当たって株式投資する。10%以上の株主は、戦略的パートナーとなって、経営にも関与できる。具体的には、上場までの技術指導や販路拡大に協力する。そして上場した後に投資資金を回収する。

 私は、正直言って、こういう仕事をしたい。これが本当のベトナム経済に貢献するからだ。多額の資金を集めて、マネーゲームで儲けるだけの欧米資本とは異なった投資ファンドを目標にしたい。こういう姿勢を一貫すれば、ベトナム企業から信頼され、優良企業が先方から出資を求めてくると私は思う。ベトナムは日本の投資ファンドにそれを求めている。

 ベトナムにないモノにベトナム人はあこがれる。こういう指摘が別にあった。ベトナムにないモノと言えば、お金? そんなことはない。お金は日本でも、ないところにはないし、ベトナムにも、あるところにはある。では、それは何かと言えば、信頼・信用だという。この意味で、日本政府やベトナム進出の日本企業は、信頼関係を維持することを重視してきたように思う。それだからこそ「日本ブランド」が最も愛好されるのだ。「ロータス投資管理会社」はベトナム人の会社だが、投資ファンドの出所は日本である。このことを強調すれば、ベトナム人からも資金が集まるだろう。安心して任せられる日本人の投資ファンドなのだ。

 ベトナムの大学経営は、株式会社でも可能だそうだ。これから大学倒産というような時期を迎える大学教授の再就職先はベトナム。このブログで紹介したように、カンボジア・プノンペンには、すべて英語で教える大学があった。これだけアジアそしてベトナムに日本は貢献しているのだから、日本語で教える日本の大学があっても悪くない。人材不足に悩む日本企業に対する有力な人材供給基地として、ベトナム人を重点的に活用すればよい。どうして、こういう発想が今までになかったのだろうか。ベトナムの大学は必ずと言っていいほどに利益は出ると私は思う。

 ハノイのソン会長・タイ社長から連絡があった。私の面接した会計主任の採用が決まったそうである。彼女の退室時に握手したが、女性にもかかわらず、驚くほど強い力であった。チュングエン=コーヒーのヴゥ社長の強い握手も忘れられない。これから私も、初対面の人に対する握手は強くしよう。必ず印象に残る。私のゼミ学生にも教えてやろうかと思うが、残念ながら、ほとんどの日本の面接で握手する習慣はない。

 日本語と英語ができる渉外・広報・調査担当者については、ベトナムのインターネットで採用募集しているので、そのサイトからパスワードを入力して、応募者を書類選考してほしいという依頼があった。ベトナム恐るべし。こんな採用方法が存在していたのだ。

 私のハノイ留学中の1998年には、職業紹介所に求人依頼して、そこから紹介してもらう人材をできるだけ優先しなければならないという制度があったが、その後に自由化された。それが今や、インターネットでの国際的な採用が行われている。このシステムを使えば、この求人サイトに日本企業が求人票を掲載し、ベトナム人が応募するということが可能だろう。「ロータス社」のような国際的な投資ビジネスは、インターネットが不可欠だから、こういう採用方法からの求職者が好ましい。この制度の詳細は、もう少し調査する価値がある。

 なお数日前に、ベトナム株式のインサイダー取引規制について書いた。これについて皆無ではない。「ロータス社」の社長に就任したタイ氏の妻は、勤務している銀行の勤務部署を変更させられたそうである。インサイダー情報の流出防止のためである。また、新しく採用した会計主任は、今まで勤務していた銀行を24時間以内に退社しなければならない。顧客の秘密保持のためだ。これらは外資系企業の事例だが、ビジネス金融情報の不正防止のための規制は次第に進行するとみなされる。

 では、これから、ホテル近くの馴染みの「フットマッサージ」に出発だ。その後に空港である。以上、今回の出張も有意義であった。吸収情報は満載だ。現場の生の情報は、やはり話して聞くことだ。さらに現場の臭いや体感がある。これに加えて、こちらで仕入れた新しい本や雑誌を日本で読むと、これで「五感」でベトナムを研究することになる。これが理想の「実学」の研究方法ではないか。

 買い物の帰りのタクシーで、ハノイ出身の運転手が最後に「シンカモン・ザオスー」と声をかけてくれた。「どうも、ありがとう。教授」。けっして運転手は冷やかしで言ったのではなかった。通訳のThamさんに買い物を依頼していて、その間にタクシーの中で運転手と話していたのだ。少しのチップで、ちょっと親しみと尊敬を込めた挨拶が返ってくる。こんな経験は新鮮だ。この言葉によって、新たな気持ちで、新年を迎えることができるような気がした。ベトナムに感謝である。

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2006年12月29日 (金)

ホーチミン市の仕事2:今日は大阪弁でいったろか

 このブログ、ベトナムでも読んでいただいている日本人やベトナム人がいて、嬉しいやら当惑するやらである。クリスマスイブに日本を出発して、その日に「サンタクロース」のようだと書いた。そうなると、「俺の所にサンタクロースは来ないのか」と思われてしまうことに気がついた。サンタクロースは忙しいので、ご期待に添えない場合は、どうぞご容赦ください。

 何人かの日本人読者の感想を聞くと、共通して大阪弁のブログが好評だ。同じ関西出身で懐かしい思いがするという人もいる。こういう期待には応えなければ、大阪人としては、あかんやんか。そこで今日は、大阪弁やで。これ、シリーズ化したろ。期待してや。

 今日は朝から、ベトナム人3名に会うた。やっぱし、ベトナムのことはベトナム人に聞かなあかん。こっちからは「ロータス投資管理会社」の設立挨拶という感じや。ベトナム人とベトナム人の会話は、やっぱし、年齢の上下関係とかで気を遣うこともあるんや。外国人やと、あんまり気にせんと、いろいろ話ができるやろ。ベトナム人も「まあ外国人やから、しょうないな」と思ってくれてるんや。

 元マーケティング大学学長のクエ先生とは久しぶりに会わせてもろた。先生が「日本の友達がいて嬉しい」と言いはんねん。年上の立派な先生から、こんなん言われたら、ワテまた感激や。最近、涙もろなってあかんわ。このときも、いろいろ先生に失礼なこと言うたかも知らんけど、ホンマに穏和な先生や。来月に、ご長男が結婚しはるねんて。やっぱり、何かお祝いしとこ。こういうの、ベトナムでは常識やで。

 ほかの場所で「ベトナムのビジネスで大事なんはノウハウよりもノウフーや」と言う話を聞いたで。これ、ホンマのことや。日本でも、同じこと聞いたことあるけど、ベトナムは日本以上やろな。だいぶ前に、ちょっと会っただけで「友達になる」日本人っておったわ。そんなんやったら、ワテも、この夏にラオスで当時の武部自民党幹事長と飛行機の中でちょっと話したけど、それだけで「武部さんと友達や」。「ダレダレを知ってる」と言うてる人がおったら、そのダレダレと、どの程度の関係か確かめなあかん。確かめ方は簡単や。「今度、紹介して」って言うたらエエねん。こっちの日程も具体的に言うんやで。

 今日の晩メシは、子持ちのカニ(CUA)や。日本人と一緒や。このカニは、やめられんわ。この日本人から、大学の同僚から「ひがみ」がありませんかと言われたわ。そんなこともあるやろけど、そんなん気にしてたら、会社なんかできへんで。でもな。日本社会は「出る釘は打たれる」やからな。目立ったら、あかんねん。村上ファンドもホリエモンも同じやな。でもな。そもそもワテら何にも出てへんわ。腹は出てるけどな。

 これから、あんまり出んようにしよ。そんなんやったら、このブログも止めなあかん。もうちょっと様子見るわ。でも最初に日本帰ったら、キャベツ食べて、腹へこまそ。早よキャベツ、腹一杯、食いたいな---。

 

 

 

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2006年12月28日 (木)

ホーチミン市の仕事

 「ロータス投資管理会社」の設立に伴って、ここに私の行動の詳細に書きにくくなった。投資ファンド数千万ドルが動く仕事の話を世界に公開するアホはいないだろう。いくら「世間知らず」の大学教授でも、そう思う。

 たとえばホーチミン市で私が訪問した会社名をここで書けば、その会社に投資ファンドが投資する可能性があるのだから、今の間にその会社の株式を買っておけば、その後の株価上昇が期待できる。こんなことが冗談ではなく、現実になった。

 なお、現在のベトナムでは「インサイダー取引規制」は未整備である。ともかく株式市場の黎明期であり、大衆投資家が株式市場を理解して、市場に参加することが最優先だ。したがって個人投資家の株式売買は無税だ。インサイダー取引にも当面は眼をつぶる。これがベトナムの現状だ。

 たとえば自動車やバイクの走っていない道路のために、道路交通法や交通警察官は不要だろう。先進国から見れば、まず最初に交通ルールを決めて、警察官や信号を配置して、その後に自動車やバイクが走る。これは理想だ。また最初に公共交通機関を整備して、その間は自動車やバイクの通行を規制することもありうる。

 しかし、このような規制優先政策が採用されていれば、おそらくトヨタやホンダはベトナム投資を決めなかったであろう。そうであれば、今日のような経済発展はありえなかった。

 これまでの進出企業からは、ベトナムの法規制が厳しいとか、または甘いとか未整備だとか批判があった。さらに、その適用について外資系企業と国内企業で差別があると指摘されてきた。しかし、これらは次第に改善に向かっている。事実、統一企業法や共通投資法では、国内外の差別は解消している。

 先進国から途上国ベトナムを見て、あれこれ批判することは簡単だが、それは評論家の仕事だ。もし国内企業が優先されているなら、自分の信頼できるベトナム人に国内企業を作らせればよい。信頼できるベトナム人が見つからないというなら、それを見つける努力をすればよい。「ベトナムだから」という特殊性でビジネスを否定的に語るのではなく、「ベトナムだから」という特殊性を肯定的・積極的に活用する。この考え方は、国際ビジネス一般に共通した成功要因であろう。

 以上、結局、何が言いたいか。ここで明記するのは避ける。それを言っちゃ、おしまいなのよ。

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2006年12月27日 (水)

先入観や思い込みを捨てる:夢が実現する国ベトナム

 本日27日の午後、ベトナム財務省・国家証券委員会は「ロータス投資管理会社」の設立を正式に認可した。旧証券法下で最後の最小の投資管理会社の誕生だ。

 ちょうど1年前の今頃、会長のソン氏と私が証券管理会社の設立を考えた。日本からベトナムに株式投資した資金を日本に正規に持ち帰るには、ベトナムの証券会社か証券投資管理会社を通さなければならない。それなら会社を設立しよう。どちらの会社の設立資金が安いか。今年から来年が株式上場のラッシュ。早く設立しないと間に合わない。こんな会話が「ロータス投資管理会社」の設立の発端だ。

 自分だけで内緒にベトナム投資して、自分だけが儲けてもよかったのだろうが、それができないのが私の性格だ。最初にソン氏に株式投資の話をしたら、彼は「私は決めました。先生に付いて行く」と述べた。その後に彼は、国家証券委員会が主催する証券業務の資格取得のための勉強を始めた。「先生に付いて行く」なんて言われたことは、これまでに私は経験がなかった。このセリフを言われて、感動しない先生はいないだろう。「何とかしてやろう」と思うではないか。

 このブログを読んだ日本人学生にとって、これからは「先生に付いて行く」が単位取得のための「決めゼリフ」になるかもしれない。しかし順序を間違えてはいけない。このセリフを言ってから本気で勉強するのであって、今まで勉強しないで、このセリフを言っても無意味である。他方、このブログを読んだベトナム人が、「先生に付いて行く」と集まってきたらどうしよう? 新興宗教の教祖になれるかもしれないと思うが、こういう主体性のないベトナム人には「どこに行くの?」と質問しなければならない。

 さて、これから私はソン氏に付いていこうと思う。ベトナムのことはベトナム人が一番だ。日本のやり方をベトナムに持ち込んでも、おそらく失敗するだろう。コンピュータによる株式トレーディングがあるが、それが今のベトナムに適用できるか。日本の常識や先入観を捨てた方がよいと思う。ベトナムの現状認識に基づいた活動が望ましい。創意工夫。これはベトナム人が得意とする能力だ。この点は日本人に似ている。

 日本では想像もできない証券会社をベトナムで設立してしまった。私の率直な気持ちだ。不可能なことが可能になるベトナム。夢が実現するベトナム。このようなことを実感する。これは私だけでなく、私の身近な在ベトナムの日本人も実証している。雪国の認知症の母親をベトナムで介護する。技術職人が社長になる。単品メーカーが総合メーカーに変身する。普通の人が日本語教師になる。

 以上、日本でダメと思っても、日本で無理と思っても、それがベトナムで可能になるかもしれない。ただし、どのような場合でもベトナム人の支援や助力がなければ実現しない。ベトナムに感謝するべきなのだ。ベトナムで仕事をしていて、ベトナムが嫌なら、日本に戻ればよい。ベトナムで仕事をするなら、少なくともベトナムを理解し、ベトナムに敬意を払うことを忘れてはならない。ベトナム人は、その姿勢や態度を見つめている。

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2006年12月26日 (火)

ハノイの仕事2:「ロータス投資管理会社」の戦略会議から

 午前中は、会計担当者の採用面接をした。会計の仕事は、ベトナム企業では重要で高給だ。月額1000ドル以上は当たり前だそうだ。履歴書や面接の印象は非常に優秀そうに見えた。タイ社長も「強い候補者だ」と本人に伝えていた。本人は現在は外資系銀行に勤務しているが、やはり現状の仕事が面白くないそうである。優秀なベトナム人は、もちろん給料も大切だが、その仕事の「やり甲斐」を重視する。このことは、2001年の科学研究費補助金の研究成果と一致する。この研究は、労働者を対象にしたアンケート調査であったが、それは大卒スタッフのレベルでも妥当すると思われる。

 今後のベトナム進出企業は、従業員の「やり甲斐」に留意しないと転職が発生する可能性は高い。今回の私が体験した面接の使用言語は英語だったが、どの候補者も流暢だったし、コンピュータ使用の経験も豊富だ。優秀なベトナム人を実感できた。もしベトナム人が優秀でないというなら、それは、ただ知らないことが多いだけだ。このようなギャップは、すぐに埋まるだろう。優秀なベトナム人を活用する日本企業が、ベトナムだけでなく日本でも成功の要因となる時代が来ると思われる。

 さて、弊社が設立支援した「ロータス投資管理会社」は、ベトナムにおける投資管理会社の中では11番目の会社だ。今年認可された5社の中の1社である。すでに大筋での認可はあったが、正式認可が27日の予定だ。本年の最も遅くに認可された最低資本金(50億ドン)の会社だ。まさに時間も資金もギリギリの状態だったが、いくつかの障害を乗り越えたという満足感は大きい。新年から、新しい証券法が適用され、最低資本金は5倍になる。

 日本の証券業界は、最近のことは知らないが、(財)日本証券経済研究所に私が勤務していた20年前は、業界内に家族的な雰囲気があった。市場商品を扱うのだから、株価が上昇すれば、どの会社も潤うし、その反対はどの会社も苦しい。この意味で、連帯感や同族感があったように思う。ソン会長の話を聞いていると、ベトナムでもそのように思われる。国家証券委員会の実質的なトップであるブーバン副委員長が、「これからは家族の一員として一緒に仕事をしましょう」と述べたそうである。私見では、ソン会長の誠実な人柄が、いくつかの障害の克服に寄与したのだと思う。

 新年から、証券業務について証券会社と証券管理会社の区分が明確になる。「ロータス投資管理会社」は、一任勘定の口座管理が可能である。これは大口投資家向けである。今日の「ロータス社」の戦略会議では、日本の大口投資家の対応が問題になった。その金額は100万米ドル以上とすることになった。

 次の問題は、日本から弊社に直接に口座開設を受け付けるか、証券会社など金融機関を通して受け付けるかである。後者の場合、金融機関に仲介手数料が支払われる。ロータス社は日本人向けの投資運用会社であるから、直接の口座開設を認めることが望ましい。いわば高額所得者層向けのプライベイトなベトナムファンドとなる。ただし、これに伴う日本の税制の問題などの調査や顧客管理ノウハウを学ぶことが必要だ。そこで当面は、日本の金融機関との契約に基づく口座管理になる予定だ。

 100万ドルなんて金は、どこにあるんだ!! ふざけるな!! こういう場合は証券会社などが募集する投資ファンドを購入してもらう。たとえばユナイテッドワールド証券が募集するベトナムファンドは10万円から投資できる。ただし同社のファンドは、既存のインドチャイナキャピタル社に運用を任せている。わが「ロータス社」に任せたいという投資家は、「ロータス社」と契約している証券会社や金融機関の投資ファンドを購入しなければならない。これは現在、商談中である。

 投資運用会社の成績に相違があるのは明白である。これからは、運用成績を見て、ベトナム投資ファンドを選択する時代だ。私見では、この1年間のベトナム株式市場で約2倍の株価上昇は普通だが、それが30%前後というのは、その運用会社が、優良株式を優良顧客に振り分けているからだ。

 「ロータス投資管理会社」は、日本人の投資家向けに当面は特化した営業をする方針だが、それ以外の投資管理会社は、たとえば欧米の大口投資家に優先的に優良株を回して、日本の投資家には、それ以外の株式を所有させているのではないか。タイ社長は、このことに同意し、「ロータスは公平にやる」と言明した。それは当然だ。透明性のある運用は当然だが、日本人向けの投資管理会社が存在しなかったのだから、窓口の証券会社から先の運用会社の段階で何となくウヤムヤになるのだ。日本人に理解できるように説明してくれるベトナムに精通した担当者がいないのだから、しかたがない。

 この日の午後は、何人かのベトナム在住の日本人の方にお目にかかり、いろいろお話を伺った。その後の夕食は、会社設立記念の小さなパーティをした。初対面のベトナム人を私が紹介することになったが、みんながハッピーだった。この様子は、次の機会に紹介しよう。この夕食のバーバー(スッポン)料理で私は元気を回復した。

 なおベトナム人は、「みんながハッピー」戦略、つまりWIN・WIN戦略の意味を即座に理解する。そういう社会風土や社会背景がある。そういう発想のビジネスは必ず成功する。ベトナムを利用して儲けようとするだけの戦略は、ベトナム人が必ず見抜く。そもそも外国人を信用しない国なのだから、そういう国を相手にする場合、こちらが信用してみせないと、相手の心は開かないだろう。もともとベトナムは悪い国ではないのだから、まず、こちらが信用してみせることだ。もちろん手順を踏んで慎重にだ。

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2006年12月25日 (月)

ハノイでの仕事

 今回のベトナム出張は、大学の個人研究費による出張である。研究とビジネスは違うだろうという批判は予想される。私は、ビジネスの研究をしているのであって、両者は融合している。また、その研究が教育にも直結している。このブログの副題にあるように、アジアで「実学」を追究しているのだ。

 ハノイの第1日目は、弊社が支援している「ロータス投資管理会社」の従業員採用の面接をした。これは、まったくの偶然だった。今、ちょうど大学3回生は就職活動の開始時期で、私の大学でも教員が学生に対して「模擬面接」を実施している。私も経験があるが、この「模擬面接」が実際の面接に役立った。面接する側の教員にとっても「模擬面接」は役に立ったという事例だが、こういう経験をする教員は、日本でも極めて少数だろう。

 日本人投資家向けの広報や渉外の担当者の採用であるから、日本語ができるベトナム人女性が面接の対象者だ。今日は2名を面接した。いずれも貿易大学の卒業生。ここで女性としたのは、ベトナム人女性の優秀性と信頼性の高さを以前から聞いていたからだ。また顧客対応の場合、やはり女性は、その場を和ませる。こういう採用は、日本では「セクハラ」だが、ベトナムでは許される。また、創業者であるソン会長とタイ社長のベンチャー企業であるから、それに男性社員が加わると、将来に、その社員が「独立したい」とかいう野心をもつ場合もある。女性社員が、そのような野心をもつことは日本でも寡聞である。

 ベトナムにおける面接の場合、ベトナムの特殊性として家族構成を聞くことが重要だ。これなどは日本の面接ではタブーだが、ベトナムでは普通の質問だ。家庭環境によって個人の性格が大きく左右される。ましてや金融証券業なので、お金に執着しすぎる人は困る。事故の原因になる。

 一緒に面接したタイ社長は、独身女性に「恋人はいますか?」と質問していたが、これは日本では「セクハラ質問」の典型だ。これは、タイ社長に指摘しておいた。しかし本当は重要な質問だ。お金の大好きな恋人がいたら、これも事故の原因になる。でも、そんなことを正直に答える人はいないから、質問しても無駄ということだ。無意味な質問をする必要はない。

 公募採用にするか、縁故採用にするかという問題もある。おそらく公募にすれば、人気の証券業だから1名の募集に対して100人は集まると思う。この選考は公平だ。しかし、その面接の時間と手間が大変だ。これに対して縁故採用は、ある程度まで最初から信用できる人が来るが、採用後に「甘え」が生じる可能性もある。

 私は、本人の第一印象が重要だと思った。「良い人」や「できる人」という直感が採用側に自然に働くように思った。そのポイントは、「眼の輝き」とか「眼光の強さ」だ。2人の面接者の中で、どちらも「良い人」だと思ったが、「眼」から受ける印象には優劣があった。

 本ブログで紹介している「21世紀の業界展望」の講義では、実際の採用担当者に採用のポイントを話していただいているが、「第一印象が重要」という指摘が複数回あった。これは確かに当たっている。採用側は、ほとんどの判断を第一印象や直感に依存している。このことが自覚できた。いろいろ質問しても、結局は、本当のことは不明だからだ。

 また「ロータス投資管理会社」は、当面は即戦力を必要としている。日本の法人投資家と直接にやり取りできる能力が必要だ。また早速に証券知識を勉強してもらわなければならない。また日本語のみならず、英語の能力も必要だ。こうなると、新卒者よりも転職者が望ましいということになる。実際の上司はソン会長やタイ社長なので、私は特に口を挟むことはしないが、以上のような意見を伝えた。

 日本企業のベトナム進出が加速している。その結果、以上のように日本語や英語ができる人材が不足していると聞いた。この場合、少なくとも高給料で引き抜くことは避けなければならない。ベトナムの狭い日本社会では、それらの悪評は好ましくない。それではどうするか。魅力ある仕事を提供することだ。

 ベトナム人に権限委譲し、より高度な仕事を次第に提供し、最後は社長や本社取締役にまで昇進させる道を開いてやることだと思う。勉強熱心なベトナム人に対応した仕事を提供することが、これからのベトナム人幹部候補生の採用では重要だ。この意味で、「ロータス投資管理会社」は、いつまでも勉強を継続しなければならない業界だ。証券の知識から始まって、ベトナムの経済・経営・社会、投資家の心理、さらに日本経済や世界経済について勉強してもらう。将来は、MBA取得のために外国留学もある。こんなことを面接に来た2名には伝えた。

 口を挟まないと言いながら、しっかり口を挟んだ面接だった。でも、最終決定はベトナム側に任せるのは当然だと思っている。「ベトナムのことはベトナム人に任せる」。ただし、世界共通のビジネスの要点は、やっぱりベトナム人だけではちょっと不安かな。

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2006年12月24日 (日)

クリスマスイブに関空からハノイへ:少しばかり幸福の時

 今、関空。今夜はハノイでクリスマスイブ。ベトナム出発の直前にブログを書くことは、私にとって幸福を感じるひとときだ。まるで故郷に帰るようなワクワク感と少しの不安感。これが、たまらない魅力だ。

 今回の訪問でも、いろいろな人々に会う予定だ。まるでサンタクロースのようにカバンは満杯だ。在越の日本人はお正月前なのだから、お正月らしいお土産。子煩悩なベトナム人には子ども向けのお土産。

 こういうプレゼントの習慣は、日本では消滅しつつあるように思う。仕事の上では、お世話になったり、お世話したりという関係なのだから、お互い様だ。また長期的・継続的な人間関係を前提とすれば、何かプレゼントするのは変な感じだ。また次の機会に、今度は私が何かしましょうということで十分だ。基本的に贈答品は不要だ。贈答品が「贈収賄」とみなされる場合もあるのだから、贈答品は、贈る側も受け取る側も自粛することが日本では当然とみなされる時代になっている。

 これに対して、ベトナムはプレゼント社会だ。ちょっとお土産。少しのお土産があれば、「お前はベトナムのことをよく理解している」と歓迎される。これは、贈収賄事件に発展するような問題ではなく、単なる気配りや心遣いの有無の問題だ。ベトナム政府の汚職追放の運動は当然であるが、「ちょっとお土産」の習慣は今後も継続するだろう。日本でさえも、これは続いているのだから。

 以上のような全体的な状況に加えて、個人的な性格も「お土産」問題には関係する。具体的には、プレゼントするのが好きな性格の人がいる。人にモノを贈って、それで満足したい人間だ。韓国人は一般に食事などで「割り勘」を嫌う。その理由は「プレゼントするという満足感や優越感を感じたい」ということだ。「割り勘」にすれば、その感情が奪われてしまう。

 私は、満足感や優越感を持ちたいとは思わないが、お世話になった人に対する感謝の気持ちの表現として何かしてあげたいという気持ちは強い。ベトナムで研究やビジネスをさせてもらっていて、そのおかげで私は生活している。何か恩返しがしたい。この気持ちは当然ではないか。こんな理由で、今回のベトナム訪問は、すっかりサンタクロースの気分である。しかし、それが「おせっかい」とか「大きなお世話」として受け取られるのかもしれない。

 でも、それでいいと思っている。ベトナムで儲けたお金はベトナムに還元したい。これは正直な気持ちだ。みんなに喜んでもらえるというのは、本当に幸せな気分だ。明日から、ベトナム現地報告を開始する。このブログの真骨頂が年末に大公開される。

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2006年12月23日 (土)

「げんこつラーメン」池田店で活躍:ラーメンと教育

 今日の昼食は、近くの「げんこつラーメン」池田店で豚骨ラーメンを家族で食べに行った。ここは博多ラーメン。豚骨スープと焼き豚が美味しい。お土産に餃子を買った。

 私の住む大阪の北摂地方はラーメン店の激戦区だ。何と言っても、世界初のインスタントラーメン(=日清チキンラーメン)の発祥地が池田市にあり、そこが発明記念館になっている。http://www.nissin-noodles.com/ 

 ラーメンについては、個人的に「来来亭」の「ネギラーメン」が好きだが、表題の「げんこつラーメン」や「天下一品」・「九州ラーメン亀王」も捨てがたい。

 さて、このラーメン店で私がなぜ「活躍」したのか? 私がラーメンの「早食い」で優勝したのかと想像する人は、私の体型を思い出しているのだろうが、それは大きな誤解だ。最近は、キャベツ=ダイエットに挑戦中である。活躍の主体は私ではなく、私のゼミ学生の2回生・松田くんだ。彼のバイト先が「げんこつラーメン」である。

 突然の来店であるにもかかわらず、笑顔で迎えてくれて嬉しかったし、調理場での手際のよい仕事ぶりも感心した。松田くんは、大学のゼミの時間には、どちらかというと恥ずかしげで自信のないような応答をするのだが、それは彼に限ったことではない。先生の質問や指導はビシビシと厳しいのだ。

 その彼のバイト先での生き生きした様子を見ていると、学生を多方面から見なければと思う。私は「来年の春休みにゼミで海外スタディツアーをする」と宣言している。そのために「しっかりバイトしてお金を貯めるように」と指示した。そんなことを想起すると、彼の熱心な仕事ぶりが健気に思えてくる。

 一生懸命にバイトした貴重なお金を学生が使うのだから、ゼミ旅行の内容を充実させなければと思う。ベトナム、ラオス、カンボジア、インド、ネパール、香港=マカオ、ブルネイ、シアトル、韓国? まだ何も決まっていない。

 これらの行き先も含めて学生に計画立案の「権限委譲」することが、より教育的だ。しかし海外旅行が初めてという学生も多いし、観光旅行とスタディツアーの目的は相違する。やはり指導も必要となる。松田くんの働く様子を見ていて、いろいろ考えさせられた。好ましいゼミ学生をもって、教員として幸福を感じることができた。

 ラーメンの味も奥深いが、教育の実践も同様に奥深い。松田くんに対して感謝と激励を贈りたい。

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2006年12月22日 (金)

ベトナム投資ファンドの選択:ロータス投資管理会社に期待する

 今日は、昨日のフランス料理店「グーテ」に続いて、鳥料理専門店「とりひめ」でベトナム商談会だった。この店、鶏肉の刺身を出すのだが、早く食べないと、お皿を下げられてしまう。鮮度・衛生管理のためだ。鳥インフルエンザ? 何のこと? そんな雰囲気の盛況な店だった。

 商談会といっても、要するにベトナム株式投資は儲かる。こんな話で盛り上がった。ベトナム投資は、まさに「早く食べないと、お皿を下げられてしまう」状況に似ている。そうは言っても、具体的にどうすればよいか。一般の個人投資家にとって最も簡単な方法は、投資信託=投資ファンドの購入である。

 すでに日本では、次のようなベトナム投資ファンドを一般に購入できる。
 ①キャピタルパートナーズ証券:募集中http://www.capital.co.jp/index.html
 ②ユナイテッドワールド証券:年内27日まで募集中
http://www.uwg.co.jp/vietnam/
 ③アイザワ証券:募集中
http://www.aizawabtc.com/ 
 ④東洋証券:募集終了
http://www.toyo-sec.co.jp/contents/fund/html/vietnam0611.html
 ⑤ベトナム株ノーロードファンド:募集中
http://www.gladv.co.jp/gli/

 これらの中で①~④は証券会社が募集しており、金融庁の監督下にある。これに対して⑤は投資顧問会社が資金管理しており、資金の公募は事業組合が主体である。この⑤だけは経済産業省の管轄となる。この意味で、これまでの投資信託とは異質である。

 ①~③の投資ファンドに共通するのは、投資管理会社が外国企業ということだ。①はイギリス系のドラゴンキャピタル社、②は米国系のインドチャイナキャピタル社。これに対して③はシンガポールの会社を利用している。ベトナムとシンガポールは金融証券市場について提携協定を締結しているから、それを利用したビジネスモデルであると思われる。

 ④は、三井住友アセットマネジメントが運用会社である。あのディープなベトナム世界でベトナム株式の運用が可能なのだろうか。同社の香港会社からの助言を受けるそうだ。

 これに対して⑤は、投資管理会社の介在を省略して、手数料を無料(ノーロード)化したことが「売り」だ。しかし実際問題として日本の投資顧問会社が、ベトナムで投資運用や管理ができるのであろうか。こういった不透明性がある。私のベトナムとの関わりは10年以上になり、60%ベトナム人とかいう評価をベトナム人から頂戴しているが、それでもなかなかベトナム社会の理解は難しい。

 これらに対して、すでに本ブログで紹介した世界初の日本人投資家向け「ロータス投資管理会社」がベトナムに登場した。同社は、ベトナム財務省・国家証券委員会が正式認可した日本語が通用するベトナムで唯一の投資管理会社だ。

 一般の個人投資家は、大口投資家でないと取引できないのが残念だが、同社は、日本の証券会社・金融機関や投資事業組合とベトナム株式投資を急接近させる役割を果たすことは確かだ。

 たとえば私のような個人でも、広く組合員を公募して有限責任事業組合を結成し、その資金をロータス投資管理会社に預けることができる。これでベトナム株式投資ができてしまう。利益は組合員で山分けする。⑤と同じ方法だが、資金の運用や管理はベトナム政府公認のロータス投資管理会社に任せる。最低コスト・最低リスクのベトナム投資だと私は思うが、どうだろうか。

 もっとも「公募」となれば、弁護士に依頼して法律的に問題ない『目論見書』の作成が必要だ。公募では、どんな投資家が現れるか不明だからだ。知人の弁護士によれば、この費用が数百万円と聞いた。そういう理由もあり、私は、拙著『乗り遅れるな!ベトナムビジネスがいま熱い』(カナリア書房、2006年)で「私募」を提案したのだ。

 ロータス投資管理会社には、日本人取締役も就任予定ということだし、ベトナム在住ビジネス経験者を中心とした日本人専門家で構成された投資諮問委員会も併設される。同社の始動は来年からだ。さらに会長ソン氏は、来年早々にも「お披露目」のために来日予定である。おそらく、彼の流暢な日本語に多くの日本人は驚愕するだろう。ベトナムの若きベンチャー起業家に注目だ。

 以上、①~⑤の投資ファンドのいずれにせよ、これらの投資判断は投資家の自己責任だ。今は、ベトナム市場が過熱気味であり、株式さえ取得できれば上昇する状況もある。しかし将来、これらのファンドの実績が問われる時代が来る。運用成績・手数料・成功報酬・顧客サービスなどの全体で、それぞれが評価される。

 今後ベトナムでは、おそらくバブルの発生と崩壊など、さまざまな株価変動があるだろう。しかし長期的に見て、ベトナム株式が成長しないはずがない。それは日本・韓国・タイ・中国などの株価成長の歴史が証明している。

 新年からのベトナム投資ファンドの一層の活況が予感される。ベトナム株式市場の夜明けだ。

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2006年12月21日 (木)

フランス料理レストラン:グーテは最高!!

 今日の夜は、親しくしていただいているAご夫妻、そして私たち夫婦の合計4名で大阪南の「レストラン・グーテ」で美味しいフランス料理の夕食の一時を過ごした。

 ご一緒したご夫妻、ご主人は「気」を自由に操ることができる武道の達人であり、奥様は日経新聞を常に携帯されている株式投資の達人。この達人ご夫妻、共通のご趣味が「グルメ」と旅行なのだ。

 この武道の達人から、「25年来のつきあいの杉下シェフと美人マダムのあっさりしたフランス料理の店がある」と聞いて、これをお断りするのはもったいないと思った。

 その結果、期待を裏切らない雰囲気と美味だった。この日は「栗のスープ」が特に印象深かったし、柔らかいヒレステーキのソースは絶品だった。前菜のシーフードの野菜巻きは、プリプリしたエビの食感と甘い香りが今も思い出になるほどだ。

 フランス料理と言えば、ワインがつきもの。全席で20名ほどの小さな店にしてはその種類は豊富である。当然ナプキンもパリッとした布製である。

 午後10時を過ぎて、われわれ4名だけになって、杉下シェフからお話を伺った。フランス大使館の職員も来店され、絶賛されて帰られるそうである。そもそもフランス料理は、食器・ワイン・材料・下準備にお金と時間がかかり、フランス宮廷料理が起源だ。それだからこそ、本物のフランス料理はコストがかかり、あまり儲からないということだった。

 杉下シェフの温厚な人柄が味にも反映しているような気がしたし、美人の奥様の笑顔が店内を華やかにしている。このフランス料理店は本物だ。隠れ家的な店なので、あまり多くの人に教えたくないという気がする。

 グーテは、「○●ホテルの××フランス料理」といった名前と格式を喜ぶ人ではなく、本当に美味しいものリーズナブルな価格で食べたい人のための店だ。こういう店を内緒にしておきたいという気持ちは理解できる。だからこそ、インターネット検索してもコメントは書かれていないのだと思う。

 予算は、そこそこの値段のワインを1本飲んでコース料理で1人で1万5千円まで。もちろんメニューはいろいろ。フランス家庭料理のような雰囲気であるが、その味は本物というフランス料理が食べられる。小さな店なので、ぜひ事前に予約の電話をされると良い。

 レストラン・グーテ(goutez):大阪市中央区西心斎橋2丁目4-7 電話:06-6211-5955
 大阪市営地下鉄・御堂筋線「難波駅」から御堂筋西側沿いを北(大阪方面)に100メートル。「スポーツタカハシ」ビルを左折。15メートルほど歩き右側。新福二ビル2階。
 営業時間:11時30分~15時 17時00分~22時30分
 定休日:毎週日曜日、第1・第3月曜日。 

 ホンマにうまかったわ。料理の世界も奥は深いな。

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2006年12月20日 (水)

ベトナム紹介:日本経済新聞大阪版「スモールBIZ」連載始まる

 日本経済新聞大阪版は、「中国への一極集中リスクを避ける「チャイナ・プラス・ワン」で注目を集める東南アジア」という書き出しで、「スモールBIZ」第4部の連載を開始した。東南アジアの中小・ベンチャー企業集積の実態を探るという趣旨だ。

 この問題意識が興味深い。東南アジアが「外資誘致や新産業育成でライバルの中国を追いかける姿は、東京に差を付けられた関西と重なる」というのだ。なるほどそうだ。世界の生産基地であり、同時に巨大な国内市場でもある中国に対して、東南アジア10カ国がASEAN(東南アジア諸国連合)という形態で追いかける。この図式は、情報と人材が集積する「世界の東京」に対して、大阪・京都・神戸といった「関西連合」が対抗するという構図に類似している。

 これは、12月6日に紹介した大阪成蹊大学シンポジュウム「大阪復権」という趣旨にも通じる。関西企業の創意工夫を世界に発信する。この姿勢と意欲は関西人として忘れてはならない。そこで今日は、関西バージョンでいったろか。

 この日経記事の連載、次はベトナム・ホーチミン市のG7マート(チュングエン・コーヒー)とフォー24が紹介される予定なんやで。どんな風に紹介されるか楽しみや。この2社については、ワイ(注:ワテかな?)がもう大学で講義したわ。スゴイやろ。新聞に出る前のことを講義で聴ける大学なんて、そんなにあらへんで。まあ、こんな自慢話をちょっとだけ学生にしたわけや。こんなコト、標準語で書いたら、さすがのワイも恥ずかしいで。こんな関西弁やから書けるんや。ほんま。

 関西人はベトナム人に似てるとワイだけでなく、ほかの人も言ってるで。関西人は、もっともっとベトナムで活躍できるはずやし、しなければもったいない。この「もったいない」という感覚も関西が起源なんやろか。滋賀県知事は「もったいない」で当選したもんな。ほんまにそうなら、財政赤字の削減、財政再建は関西人やで。大阪の「もったいない」パワーは本気になったら凄いんやで。ワイら、いっつも「もったいない」って言うとるわ。

 石原東京都知事に「もったいない」は似合わんわな。豪華視察旅行やもんな。大阪大学の本間教授は、やっぱり関西人やったんやろか。せっかくの部屋空いてるんやから、もったいない。愛人と住んでもええやんか。そやけど、関西人は庶民感覚がないとアカンで。本間教授、なんで、こんなこと考えはったんかな。エライ人の考えることは、ようわからんわ。「実るほど頭の垂れる稲穂かな」で行かなアカンで。ワイは未だ実ってへんけど、これは大事やで。ほんまに。

 まあ、今日は、ここまでにしとこか。なんぼでも書けるわな。こんなん与太ばなしやもんな。それにしても、ベトナムのこと、新聞に出たら嬉しいわ。そやから今日は、朝から機嫌がええねん。そやけど、首は回らんな。あー痛。こんな関西弁で買いとったら、何かボクシングの亀田選手みたいやな。もう、やめとこ。ほんまの関西人は、あんなんとちゃうで。かっこ悪。

 関西人は「エ・ゲ・ツ・ナー」言うて、あんまりギラギラしたのも嫌いやねん。故・岡八郎の名台詞なんやけど、最近の若いもんは知らんわな。また気が向いたら、大阪バージョンで行てみよか。ほな、さいなら。

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2006年12月19日 (火)

ベトナムドン建て投資ファンド組成:その意義と実現可能性は?

 これまで「ベトナム投資ファンド」について、いろいろ書いてきた。この中には誤解や誤謬もあると思われる。ベトナム人の友人・知人や日本の弁護士に確認しなければならないことは多々ある。確かに、それは研究者としては重要な作業だが、このブログは必ずしも常時、そういった立場を一貫しているわけではない。

 ある時は、映画好きのおっさん、ある時は、偉そうな先生、ある時は、変人のおじさん、ある時は、ちょい悪の教授、ある時は、新米の会社経営者なのだ。このようにご理解いただけると助かる。

 さて、かねてよりの親しくしていただいているベトナム在住の日本人社長の方からメールを頂戴した。「ベトナムドン建て投資ファンド」はできないのかという要望であった。確かに、ベトナム在住者なら「ベトナムドン建て」はメリットがある。為替リスクから自由になるからだ。また、在ベトナム会社の余剰資金の運用先として投資ファンドは有効だ。また、何度もベトナム訪問する観光客も「ドン建てファンド」は悪くない。

 ベトナム投資ファンドの場合、通常、次の4つの組み合わせの為替変動の影響を受ける。いずれも対USドルの仮説例である。
     投資開始時     ⇒⇒⇒   投資回収時
 ① 120円 ☆ 16000ドン    100円 ☆ 18000ドン  = 円高・ドン安
 ② 120円 ☆ 16000ドン    140円 ☆ 18000ドン  = 円安・ドン安
 ③ 120円 ☆ 16000ドン    100円 ☆ 12000ドン  = 円高・ドン高
 ④ 120円 ☆ 16000ドン    140円 ☆ 12000ドン  = 円安・ドン高

 ベトナム投資ファンドの資産価値の上昇が同じであると仮定すれば、日本円で最も利益が大きい最善の組み合わせは、④円安・ドン高。最悪は、①円高・ドン安。②と③は、それぞれの円高とドン安の程度に依存しており、その有利と不利は判断できない。

 現状では、ベトナムは傾向的に「ドン安」である。したがって、①よりも②が望ましい。しかしWTO加盟に前後してベトナムは対米輸出が好調である。これが持続すれば、中国の「人民元の切り上げ」というような事態が生まれる可能性もある。つまり、傾向的な「ドン安」から反転して「ドン高」になることは否定できない。そうなれば、③と④の組み合わせになり、最善の④が実現するかもしれない。

 どのようにしても為替変動のリスクは伴う。これに対して「ドン建て」であれば、為替変動は無関係になる。現状の多くの投資家は「ドン建て」には無関心であるかもしれないが、たとえば期間が10年間のファンドを考えた場合、おそらく間違いなくベトナムの生活環境は改善しているだろう。そうなれば、ドン建て投資ファンドを基礎にしてベトナムで悠々自適の生活を楽しむことができる。

 また仮に「オープン型ドン建て投資ファンド」が設定されれば、次第に所得が向上するベトナム人が購入するようになる。そうなれば、円安・ドン高という最善のタイミングを判断して、所有するドン建てファンドを解約してドルにしても良いし、さらに円にも交換できる。

 以上、USドル建て投資なら返金もUSドル建てとなる。また円建て投資なら返金も円建てになる。これらには為替リスクが伴う。これに対して「ドン建て投資ファンド」にすれば、返金もドン建て。このドンを投資時よりも円安・ドン高のタイミングで、ドルまたは円に交換する。こういうことがベトナムで可能か? また可能であっても、実現するのか? もう少し商品化のために検討する必要はあるだろう。

 

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2006年12月18日 (月)

首が回らん!!

 今日は、首が回らない。寝違えたらしい。

 振り返ってみれば、飲み過ぎた日はあっても、体調が悪い日は1年間でなかったように思う。そこで今日は、ブログはお休み。

 「首が回らん」というと、心配してくれる同僚や友人がいるのだが、それは私の健康よりも、私の事業のことだと想像している。それでも中には、温湿布の貼り薬を渡してくれる人もいる。私の勤務先、なかなか居心地の良い大学なのだ。

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2006年12月17日 (日)

投資顧問会社が投資資金を公募できるか?

 「ベトナム株ノーロードファンド」が投資資金の募集を開始した。この投資ファンドについて、私の疑問は「出資法」違反ではないのかということだった。しかし、それは問題ないそうだ。

 その根拠は、今回のファンド募集は「出資法」に関係する従来のファンドではなく、商法に基づく「匿名事業組合」という形で募集するので、「出資法違反」にはならなないということである。

 このようなベトナム投資のアイデアは、すでに私の拙著で次のように指摘している。「小規模投資事業組合やLLP(注:有限責任事業組合)など私募の投資ファンドやベンチャーファンドに参加する。---ただし、ベトナム人の信頼できる窓口となる人物が必要であろう」(上田義朗・ブレインワークス『乗り遅れるなベトナムビジネスがいま熱い』カナリア書房、2006年8月、p.110)。

 ここで私は「私募」と述べている。もし「公募」になれば、冒頭の「ノーロードファンド」と同じだ。本当に公募できるのか?最初の疑問である。

 さて第2の疑問は、投資顧問会社が投資資金を公募できるのかということだ。この「ノーロードファンド」は、日本の投資顧問会社が資金を集めてベトナム株式に投資する。その投資資金の受け皿に「事業組合」を結成し、実際の売買はベトナム証券会社が行うというビジネスモデルだ。

 この投資顧問会社には2つの業務がある。第1は、投資家と「投資一任契約」を結び、投資判断と実際の売買まで行う。第2は、投資家に投資助言だけを行う。投資顧問会社は、内閣総理大臣の登録が必要だが、前者の「投資一任業務」の場合は、それに加えて「一任許可番号」を取得しなければならない。

 組合員の資金を一任で運用するのだから、当然、「ノーロードファンド」の場合、その投資顧問会社は「一任許可番号」を取得しているはずである。

 不特定多数の投資家を募集する場合、その中に極端な投資家が含まれることを資金募集側は想定しておかなければならない。たとえば損失の場合のみならず、利益が出ていても、より多くの利益が出るはずだと要求する投資家がいる。また「訴訟マニア」のような投資家がいるかもしれない。資金を公募する企業側は、こういった投資家にも対抗できるだけの法的な準備をしなければならない。

 そのためには、投資資金の募集会社・運用会社・顧問会社・資金預託銀行などが実際の株式売買までに介在する。また詳細で大部な目論見書が用意される。これは、それぞれの会社の責任の分散を意味する。換言すれば、訴訟リスクの分散である。

 これは投資家のためというよりも、会社側の都合であるにもかかわらず、投資家自身が、これらの会社に手数料を支払っている。これに対して手数料の軽減を投資家が期待するのは当然だ。

 「ノーロードファンド」の「ノーロード」とは、「手数料無料」という意味だ。このような低コストの株式運用は投資家にとって歓迎される。しかし他方、それがリスク増大を伴うなら投資家は困る。今こそ、手数料負担とリスク軽減の適当なバランスが検討されるべきだし、それが投資家に説明され、投資家は納得しなければならない。

 このような説明責任と透明性の確保は、その投資家が不特定多数の場合は、最重要な課題であると思う。それが、企業側にも投資家側にもリスク軽減をもたらす。

 以上、投資家の立場に立った合理的な証券・金融の新しいビジネスモデルが、日本で求められていると指摘できる。2006年は、ホリエモンや村上ファンドの事件が発生したように、こういった問題を考える出発点になるのではないか。  

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2006年12月16日 (土)

神戸ポートピアホテル:老舗ホテルのホスピタリティ

 (株)神戸ポートピアホテル・常務取締役・人事部長である木下雅文さんを特別講師にお迎えして、12月9日(土)に「21世紀の業界展望」が開講された。

Dscf1352  日本経済新聞の調査によれば、ホテルに対する宿泊客の評価は、ほんの少しのことで「満足した」と「がっかりした」に区別されるそうである。「ゴミがひとつ落ちている」といった程度のことで、今まで満足していた顧客が、がっかりしてしまうのである。細やかな配慮の有無が、評価を2分することになる。

 これは私も同感だが、そういった「細やかな配慮」に鈍感な宿泊客も多いのではないか。一般に店側が細やかに配慮して、それを顧客も理解して満足する。このような相互関係があってこそ、顧客はリピーターになるのだろう。

 サービス業の中でもホテルでは、ホテルと宿泊客の間での「無言の対話」があると言えるかもしれない。この対話が可能な感性をもった人材を擁するホテルが、顧客の支持が高いホテルであると私は思った。木下さんは、このことを「もてなす側の注意と受け手の感受性のやりとり」と表現された。

 ホテルの顧客満足の要因は、Q:品質、S:サービス、C:清潔感、A:雰囲気、P:価格となる。この中で価格は、ホテル業態や利用目的によって最初から異なっている。これらの変数から生まれる満足度が、事前期待より大きければ、宿泊客は満足する。

 ここで興味深いのは、この満足度を導き出す変数の関数だ。(Q+S+C+A)÷Pではなく、(Q×S×C×A)÷Pでなければならない。QSCAの変数の中で1つでも数値が0(ゼロ)であれば、いくらほかの3変数の数値が高くても、満足度は0(ゼロ)になる。これもサービス業では重要な指摘だ。

 企業側が、ほかの変数で高い数値を出しているから、ある変数が悪くても顧客は許してくれると思っていても、それは企業の論理でしかない。顧客は厳しい。ただし私見では、これは不特定多数の顧客の場合であろう。たとえば価格さえ安ければ、ほかは眼をつぶるという宿泊客もいるはずだ。でも、これは少数派であることは間違いない。

 他方、木下さんは、ホスピタリティ(=おもてなしの心)について「お客の数だけ形とやり方がある」と指摘された。それは「茶道に似ている」そうである。茶道を私は知らないが、この指摘には強く共感する。これは、学生を相手にする教育にも妥当する。また、個々の問題解決を提案する「ソリューション=ビジネス」にも共通する。これからのビジネスは、個々のニーズやウォンツに柔軟に対応する高付加価値サービスの提供ということだろう。

 こういったホテルのサービス提供は、おそらく『マニュアル』では対応できない。それぞれの従業員が、その場で即座に自分で判断できる能力を高めることが必要であろう。

 神戸ポートピアホテルは、映画『ラストサムライ』撮影のためにトム=クルーズが利用。また2004年のワールドカップではベッカム選手、さらに2005年には天皇・皇后両陛下も御宿泊されている。このような事実が、神戸の老舗ホテルとしての高い格式と評価を証明している。同ホテルにおける一層のホスピタリティの向上に期待したい。

 貴重なご講義を賜った木下さんに改めて感謝を申し上げたい。 なお個人的に言えば、映画『有頂天ホテル』を思い浮かべながら、ご講義を承った。少しばかり役所広司に似ておられる木下さんであった。

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2006年12月15日 (金)

被害者妄想と加害者妄想:「インテリ」の条件は?

 私は大学院を卒業してから5年間、財団法人・日本証券経済研究所・大阪研究所に研究員として勤務した。

 当時、主任研究員として奥村宏先生がおられた。「法人資本主義」論を展開された奥村先生は、その後に龍谷大学・中央大学の教授を務められ、現在も経済評論家として活躍されている。同じく主任研究員であった故・田辺昭二先生からは、証券業界の生々しさや奥深さを教えていただいた。

 故・松井和夫先生には、個人的に最も親しくしていただいたように思う。その後に大阪経済大学教授になられたが、体調を悪くされて、数年前に亡くなられた。アメリカ金融資本の研究について日本で第一人者であったと私は思う。

 その松井さんから、「インテリ」は加害者妄想をもつものだと教えられた。この「インテリ」とは、特にエリート意識をもった人を示す言葉ではなく、 教養の高い人または人間的に立派な人という意味である。

 常に控えめで自省的な人間。だれかに迷惑をかけていないかを常に気にする人間。周囲の人間の態度や気持ちに十分に配慮する人間。このような人間は「インテリ」というだけでなく、企業経営者にも必要な気質であるかもしれない。

 企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)に対して十分に目配りして、それぞれの利害を最適に調整できる能力が、企業経営者に必要と考えられるからだ。

 これに対して被害者妄想というか、被害者意識の強い人間がいる。自分は被害者だ。自分は悪くない。悪いのは他者だ。被害者=弱者として、その権利や優遇を要求する。こういう責任転嫁の人間が社会人として信用されるはずがない。

 これより大きな問題は、自分が被害者なのに、それに気がつかない人間だ。大きな不利益を自分が受けているのに、それに鈍感な人間がいる。しかたがない。やむをえない。どうでもよい。このような人間が多いと、この場合の加害者には好都合だ。

 自分が加害者にならないように十分配慮しながら、同時に被害者にもならないように抗議・抵抗することが必要であろう。最近は何でも協力だ。協力や協調が好ましくて、抗議や抵抗が悪いことのように思われる傾向がある。しかし被害者にならないためには事前の抗議と抵抗しか手段がない。被害者になってから抗議・抵抗しても手遅れという場合も多いのではないか。

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2006年12月14日 (木)

ブログ1周年記念

 1周年を記念して、本日はお休み。

 ちょっと別の仕事で多忙です。

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2006年12月13日 (水)

364回目の感想

 今日は、流通科学大学・情報学部の忘年会だ。大学の先生も忘年会くらいはする。忘れたいことは、人並み以上に山のようにある。

 なお、このブログは364回目になる。ほぼ1年前からブログを開始して毎日連載してきた。最初のブログ読者は、1日30名ほどであったが、今は通算平均90名台。直近では1日150名から200名となっている。

 このブログ連載の趣旨は、やはり学生に対するメッセージだ。故・中内功ダイエー創業者が「理事長からのハガキ」として週1回の割合で学生にメッセージを送っていた。これに対応して、私もやってみようと思った。当時の多忙な理事長が週に1回なら、私のように暇な大学教授なら毎日でも書けると思った。

 これまでのブログの中で、読者数が増える日は、やはり海外現地報告だ。外国のホテルやインターネットカフェから、その場の様子を直接に報告する。これは臨場感があり、読者も興味深いだろうが、私にとっても訪問の記録になる。ビールを飲みながら、1日を振り返ってブログを書く。これは私にとって、新しい楽しみのひとつになった。

 今後さらに、できるだけ新鮮でオリジナルな話題や見解を提供したいと思う。偏見や誤解もあるが、それは時間をかけて検証する課題だ。ご指摘をいただければ幸いである。故・中内理事長が以前に指摘していた。「教授はプロフェッサー。それは、自分の意見を主張する人という意味だ」。以上、ブログ生活1年間の感想である。

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2006年12月12日 (火)

社団法人・日本旅行業協会・田端事務局長のご講義:21世紀の新たなるツーリズム創造へ

 12月6日(水)、私が担当する「21世紀の業界展望」では、(社)日本旅行業協会関西支部・事務局長の田端俊文氏をお招きして、ご講義を賜った。

 日本の旅行総消費額は24.5兆円。付加価値は12.3兆円。この付加価値は食料品業界に匹敵する。旅行=観光は、経済における重要な位置を占めている。

P1010037  しかし日本には、観光省・観光大臣が設置されていない。田端さんは、ウズベキスタンにJICA専門家として短期で赴任されて、この印象を強くもたれたそうである。すでに私も、直接投資・貿易・ODA・海外送金に並んで国際観光が経済発展にとって不可欠なことをラオスについて指摘したことがある。

 日本でも、すでに北海道では夏でもスキーをしたいオーストラリア人が長期滞在する事例がある。こういう国際観光に重点をおけば、それが最大の平和政策になるように思われる。日本観光を通して親日家・知日家が世界で増加すればよい。このように考えれば、防衛省の昇格よりも観光省の創設が優先されてもよかった。

 田端さんによれば、日本の旅行業に課題は多い。①全日空のように航空会社が直接チケットを販売する。②楽天トラベルなどを通してインターネットで直接ホテルを予約する。③高速道路での日帰り旅行が増加する。④旅行代金の安売り競争が激化する。これらの中で①~③は、旅行会社を通さないので旅行業に含まれない。これらのことが近年、旅行業者数が横ばいになり、旅行業者の旅行取扱額が減少している理由である。

 日本の海外旅行者数は1740万人。これに対して訪日外国人旅行者数は673万人。この数字は2005年だが、前年2004年の614万人に比べて増加している。まだまだ外国人の訪日数は少ない。政府は2003年から「VISIT JAPAN」キャンペーンを継続している。外国人の国内旅行がより容易になるような体制整備がさらに望まれる。

 私見では、留学生支援を兼ねて、留学生に自国の観光客やビジネス人のガイドや交流の機会を提供する体制を公的に整備すればよいと思う。このコーディネートを私は個人的にしているが、もっと情報と人材が集まれば、留学生も観光客・ビジネス人も喜ぶだろう。

 さらに人口比率で見れば、海外渡航(出国)率の国別順位は次のようである。①シンガポール:119.7%、②英国:107.0%、③ドイツ:90.5%、④香港:70.3%、⑤カナダ:61.7%。それ以下、台湾:34.5%、米国:19.1%、韓国:18.4%。これらの国々に対して、日本は13.3%である。

 この数字が100%を超えると言うことは、平均して国民が1年に1回以上外国旅行しているということだ。さらに日本の極端に低い数字には驚かされる。田端さんによれば、それだからこそ、まだまだ海外旅行は伸びる余地があるということだ。

 しかしながら私見では、私は今年4回の海外出張している。これは重複計算されている。そうすると外国訪問しない日本人の実態は、この数字よりも低い。経済の外国依存が高いにもかかわらず、日本人の外国旅行は少なすぎる。

 田端さんは、最後に21世紀の観光を変える要因として、次の4点を指摘された。

 (1)2009年問題:この年に羽田空港の拡張工事が終了。関西空港の2期工事も完了。つまり空港の離発着数は、現状から見て過剰供給になるということだ。この対応をどうするか?
 (2)LOW COST CARRIERの出現:たとえば現状でも香港からロンドンまで100ドルの航空券が発売されている。ただし空港は地方空港を使い、機内サービスは有料化され、インターネットで航空券は直接販売される。これらによってコストが削減されている。このような形態の航空会社が増加するかもしれない。
 (3)OPEN SKY政策:これは、認可なしに申請だけで自由に離発着できるようにする国の政策を意味する。ハブ空港としての地位を確立するために必要な政策だ。旅行会社が自前でチャーター便を飛ばすことも可能になる。日本も採用せざるをえないだろう。
 (4)国内着地型旅行の開発:遠洋漁業型から養殖型への脱皮と特徴づけられる。これまでのような団体旅行で遠方に海外旅行するタイプは減少する。その帰国便に外国人が乗っているようにしたい。そこで日本の地域の人々と連携して外国人を受け入れる体制を整備する。双方向の旅行を育てていることが、今後の旅行業の展望だ。

 以上、最後の4点は田端さんの見解だが、もっともに思われる。人口減少の傾向にある日本にとって、外国人観光客の増加は経済活性化の決め手だ。さらに考えれば、外国人労働者の受入体制を整備すれば、それに伴って家族を呼び寄せる観光旅行も増加するだろう。このように考えれば、旅行を取り巻く問題は幅広い。

 旅行業界の全体的な動向が、田端さんの講義によって理解できた。貴重な時間を頂戴したことに感謝を申し上げたい。

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2006年12月11日 (月)

ベトナム「ロータス投資管理会社」の裏話:起業の秘訣は何か?

 私は大学で「ベンチャー起業論」を担当している。この講義は、学生が考えた新しいビジネスモデルを材料にして、学生相互で議論しながら、その内容を改善するという対話型の教育手法を基本にしている。

 こういう講義を担当していると、単純な人間である私は、自分でも会社を設立したくなってくる。そこで今年8月4日に合同会社TETを設立した。ここでの起業の要点は、単純な思考ということだ。複雑に考えると、否定的なことばかりが頭に浮かび、結局は、何もしないという結論になる。ただし単純といっても、考えが浅いという意味ではない。「単純に考えて儲かる」と思うビジネスを実行することである。利益を生み出すビジネスは、複雑ではなく意外と単純な発想から生まれると思う。起業するからには、利益がなければ意味がない。

 会社を設立となると、ええカッコしたくなるのが人情だ。立派な事務所を好立地に構えるといったことの前に、当面は資本金=出資金をいくらにするかが問題だ。せめて100万円とか、無理して1000万円とか考えるのだが、TET社の場合は10万円である。資本金の多寡が企業の信用度を表さないということが、新しい会社法の趣旨である。さらに創立したばかりの会社に信用が伴うはずもない。弊社TETは、産業分類から言えば、サービス業だ。多額の資本は必要ない。「小さく始める」ことは、小さいリスクを意味する。これも起業の基本原則だ。この資本金は、会社印と登記費用と電話機に使って終わりだ。

 このTET社は、主にベトナムとの投資貿易促進を事業内容とする会社である。そのためには、ベトナム側のパートナーが必要だ。そこで昨日紹介した「ロータス投資管理会社」の設立に協力することにした。この時期は、ちょうど昨年の今頃だ。同社のソン会長とは、数年前からのつき合い。彼の人柄は理解しており、変な日本人よりも信頼できると私は思った。しかし、ロータス会社設立の支援について相談した日本人の多数からは、絶対に騙されるとか、ベトナム人は信頼できないという否定的な話だった。こういう話は冷静に承るし、大いに参考にしてきたつもりだが、その反面、そういった人々を見返すという反発もあった。これは私の「意地」だ。

 今までを振り返って、「ロータス投資管理会社」の設立は簡単ではなかった。いくつかのハードルがあった。それは当然だ。弊社TETは単なる投資サービス会社だが、ロータス社はベトナム政府が認可する正式の証券運用会社だ。生成期のベトナム証券市場において、その順調な発展を政府は期待している。そのために審査も慎重かつ厳格であった。また国家証券委員会は、外資系大手の証券会社の進出を優先的に歓迎していた。さらに大量の投資ファンド資金を委員会は求めてきた。

 これらのハードルを超えることができたのは、私の「意地」であったし、それに応えてくれたソン会長の熱意だった。さらに彼が弱気になったときに励ましたのは私だったし、私が不安なときに励ましてくれたのは彼だった。このように考えれば、2人は確かに名コンビだと思う。どのような起業においても、ビジネスのパートナーが重要なことは共通している。

 もちろん「ロータス投資管理会社」の設立に当たって、それを支援する弊社および私を日本の支援・協力してくださった方々がおられた。特に日越経済交流センターの皆さんにはお世話になった。ロータス社のソン会長が、同センターのハノイ代表という関係もあったが、それにしても多大の貢献を賜った。深く感謝を申し上げたい。

 これまでに「意地」を強調したが、それには次のような意味も含まれている。ベトナムの直接投資で世界をリードしてきた日本が、その間接投資では、なぜ欧米の後塵を拝さなければならないかということだ。

 そもそも日本の金融業において「ビッグバン」(=規制緩和)が推進されたのは、欧米の圧力とみなされる。バブル崩壊の時期に、金融ビッグバンが進行したので、金融機関は「貸し渋り」を長期化させた。これが景気回復を遅延させた。その反面、欧米の金融機関や投資ファンドが日本の不良債権を取得・転売して大儲けしてきた。これは今も続いている。このように日本を「食い物」にしてきた欧米金融会社に対する反発が私にはあった。

 同様のことがベトナムでも行われる。これは私にとって許されなかった。日本で私は無力だが、ベトナムでは微力ながら、一矢を報いることぐらいはできると思った。なぜなら、少なくともベトナムのビジネス研究について私は10年を超えた。そして何よりもソン会長という絶好のパートナーがいた。

 「ベトナムのことはベトナム人に聞く」。現地の信頼できる優秀なパートナーの存在は、国際ビジネスにおける成功の秘訣だ。「ロータス投資管理会社」と合同会社TETは、そういう関係だ。日本人が偉そうに指図しても、それは日本で通用するかもしれないが、ベトナムで通用しないことが多々ある。弊社TETは、「ロータス投資管理会社」を指示でなく、支持する。応援する。これが弊社の役割であり、それが誇りでもある。弊社の利益は、その後に自然に付いてくると考えている。

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2006年12月10日 (日)

ベトナム投資ファンドの運用成績:日本向け「ロータス投資管理会社」誕生

 ベトナム投資ファンドの運用成績はどうなっているか? 投資家にとって最も重要な点だ。この成績を考えるとき、注目される新しい「投資管理会社」がベトナムで正式認可される見通しだ。

 それは、ベトナムで初めての「日本人向け」の「ロータス投資管理会社」だ。同社は、ベトナム国家証券委員会から11月に大筋で認可を受けた。資本金50億ドン(約3500万円)。この会社の会長であるソン氏によれば、すでに試験的に運用を始めている私募ファンドの運用実績は、11ヶ月で1.75倍に達するそうである。この数字は凄い。

 ベトナム投資ファンドの老舗であるキャピタルパートナーズ証券が募集する「ドラゴンファンド」の詳細については、次を参照してほしい。組成以来、25%の資産増加。しかし最近6ヶ月間で見れば、マイナス成長となったりしている。この報告だけを見れば、ベトナム投資ファンドは高利回りとは言い難い。
http://www.capital.jp/invest/vdf-report.pdf 

 また、モーニングスター社の評価によれば、たとえば中国株の投資信託は1年間で60%を超える成果を上げている(参照:朝日新聞、2006年12月9日)。さらに以下で詳細を見れば、70%以上の値上がりは、やはり中国株ファンドである。
http://www.morningstar.co.jp/fund/menu/

 このように見れば、上記の「ロータス投資管理会社」の「試験ファンド」の実績は世界のファンドの中でもトップクラスである。同社の会長ソン氏は、「日本ベトナム経済交流センター」のハノイ代表も兼務。日本とベトナムの経済交流を促進するために、日本人の投資家向けの投資ファンド会社を自らで設立したいと考えたそうである。(注:日越経済交流センターについては、次を参照。http://www.j-veec.jp/

 これまでの「ドラゴンファンド」は、イギリス系の投資管理会社。それ以外の日本からのベトナム投資についても、「日本人向け」を目的にした投資管理会社はベトナムに存在しなかった。

 これまでの日本とベトナムの友好な経済関係を考えれば、このような日本人向け投資ファンド会社が、もっと早くに設立されても不思議ではなかった。しかし日本では、やはり「モノづくり」が優先されてしまうのだ。野村證券ですら、ベトナムでは証券会社でなく、「野村ハイフォン工業団地」を最初に建設した。

 このことは、けっして悪いことではない。しかし欧米系の投資管理会社に日本が先を越される必然性はなかった。欧米企業に手数料や管理費を食い物にされる必要がなくなった。直接投資・ODA・貿易・観光に加えて日本人の間接投資=証券投資がベトナムの経済発展に直接貢献する「橋頭堡」が、ロータス投資管理会社によって築かれたのだ。

 新たに設立された「ロータス投資管理会社」は、日本人ではなく、ベトナム人自身の手によって設立されたことに価値がある。ベトナム民間企業の発展が製造業だけではなく、金融証券業にまで拡大していることを象徴しているからだ。

 なお「統一企業法」によって、会社設立は容易になっているが、それは製造業についてである。証券業界は、財務省管轄の下に国家証券委員会が厳しい審査と監督をしている。同社は、その認可を受けた会社であるから、通常の製造業に比べて信用度は抜群である。投資家の多額の資金の受託業務であるから、厳格な審査は当然といえば当然である。

 日本とベトナムの経済交流を促進すると言っても、それが単なる理念やスローガンでは実質的・継続的な交流にならない。その活動によって十分な利益が生まれなければならない。日本もベトナムも双方が得する「ビジネスモデル」が必要だ。これこそが真の経済交流だ。この意味で、すでに高い運用実績をもっている「ロータス投資管理会社」の投資ファンドは、今後の発展が大いに期待される。日本の投資が、ベトナム経済発展に貢献し、そのリターンで日本の投資家も利益を享受する。これほど理想的な経済交流が可能となるのは、世界でベトナムだけ、そして今の時期だけしかないと思われる。

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2006年12月 9日 (土)

ベトナムWTO加盟は「明治維新」か「GHQ改革」か

 昨日、ハノイJETROセンター・投資アドバイザーの荒川研さんに国際電話した。中国・華南から陸路でハノイを訪問した調査ミッションの対応で大変だったと言われていた。私も以前に陸路で東興からモンカイのコースを2回ほど試したが、おそらく商用ルートはランソンからの入国だろう。ランソンからハノイは高速道路も完備しており、約2時間ほどの距離ではなかったかと思う。

 さて、荒川さんとの会話の中で印象に残ったのは、「最近のベトナムは、まるで明治維新のようだ。今までは江戸幕府の下での勤王や佐幕といった話だったが、今やビジネスのスピードや規模が違う」。荒川さんは、これがWTO加盟後のベトナムの現状という意味のことを指摘されたのだと思う。

 これに対して私は、ベトナムのWTO加盟が、戦後日本の「GHQ改革」や韓国の通貨危機後の「IMF改革」に匹敵すると指摘したことがある(本ブログやIBPCセミナーなど)。ベトナムのWTO加盟が「明治維新」に近いか、または「GHQ改革」に近いか? このような問題設定は、ベトナムのWTO加盟の意義や方向性を日本人が考える場合のひとつの分析視点である。

 いずれの改革に近いにしても、大きな外圧がベトナムを襲うことは共通している。GHQ改革は、占領軍としての米国の絶対的な命令に基づく改革であったが、現代のベトナムは、そのような状況ではない。国家主権はベトナムに存する。他方、明治維新は、欧米列強が日本の開国を迫る背景があり、その後の明治政府は「富国強兵」政策を推進して、欧米に対抗しようとした。

 このうように考えれば、ベトナムのWTO改革は、明治維新に近いと言えるのかもしれない。たとえば、このブログで紹介したG7マートのVU社長は、列強の流通企業のベトナム進出に対抗して、ベトナム国内の小売店舗は団結しようと訴えた。この主張に共感して、500店舗を超える小売店がフランチャイズチェーンに加盟してきた。

 他方、明治政府は、富国強兵の路線を突き進み、領土拡大のための戦争に至る。そして太平洋戦争に続く。ベトナムの場合、これは当てはまらない。今まで以上に民主化や市場経済の開放が進展するだろう。この観点からは、ベトナムのWTO改革は、GHQ改革に相当する。日本の政治的・経済的な民主化がGHQによって進展したことは歴史的な事実だ。

 日本の歴史上で大きな改革である「明治維新」と「GHQ改革」。この両者を想起しながら、WTO加盟後のベトナムを観察することから、何か新しい指摘ができるかもしれない。ハノイで荒川さんにお目にかかり、いろいろお話しするのが楽しみである。

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2006年12月 8日 (金)

ここまで許されるのか?投資ファンド:投資家保護の観点から

 先日来、ベトナム投資ファンドの検討をしてきた。その後に信頼できる関係者からご意見を賜り、「ベトナム株ノーロードファンド」に違法性はないとのことである。このファンドに法的な不安はないので、もし誤解を与えたとすれば、ここでお詫びを申し上げたい。

 しかし、それはそれとして、ここまで規制緩和は進んできたのかという印象は免れない。たとえば私のような個人でも、少し工夫をすれば、不特定多数の投資家を相手にした投資ファンドを募集できるという結論になるからだ。

 結局、投資家による自己責任の原則が、政府による投資家保護の施策よりも優先されるということなのだろう。これは必ずしも悪いことではないが、それならば、それを周知徹底することが重要だと思う。

 ところで毎年のように「金融詐欺」事件が後を絶たない。お金に対する欲望は多くの人々の中で普遍だ。そうではない人々も存在するが、それは不自然だと思う。

 よく指摘されるのは、中小企業における熟練工に対する評価だ。こういった人々の職人気質は、自らの技術と経験に対する誇りが基礎になっている。しかし、彼らが金銭的に報われているかどうかというとそうではない。「仕事は金ばかりじゃない」。この自負心があるからこそ「職人」と呼ばれるのだ。

 しかしそれでは、後継者が育たない。長い年月をかけて苦労して技術を習得して、その報酬が「職人」と呼ばれる賞賛だけでは、広く一般に魅力ある仕事とは思われない。その結果、後継者不足ということになる。これは結果として、日本の「ものづくり」の伝統が途絶えることを意味する。

 仕事の成果に応じた報酬は不可欠だ。さらに不労所得に対する日本人の偏見も解消されるべきだと思う。自己責任と政府保護の領域を確定しなければならない。自己責任を言うなら、それを普及・養成するためには、教育改革の議論にまで踏み込まなければならない。

 このように、日本におけるお金に関わる問題は、単なる金融制度の規制緩和というような領域に限らず、より大きな社会問題として総合的に議論される時期だと思う。ホリエモンや村上ファンドの事件が、その発端とみなされてよい。

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2006年12月 7日 (木)

愚者は体験から学び、賢者は歴史から学ぶ

 このタイトルは、初代ドイツ帝国首相の「鉄血宰相」と言われたビスマルクの名言だそうである。「21世紀の業界展望」の講義の中で某講師の先生から紹介された。

 「体験」と「歴史」は異なる。体験は、個人的な「歴史」であるが、それが普遍的な内容をもっているとは限らない。体験は歴史から逸脱したり、特種な事例であったりする。人類の歴史に法則性はあるが、個人の体験は偶然の連続と言えるかもしれない。その集積が歴史を作る。このようなことを自覚しなければならない。

 私は、この短い文章に触れて、ベトナム戦争のことを想起した。南ベトナムに駐在経験のある人は、当時の北ベトナムに反感をもち、さらに現在の政府にもその反感を持ち続けることがあるかもしれない。親しい南ベトナムの人が弾圧されたという事実があることは想像できる。自らの「体験」に基づく感情だ。

 しかし「歴史」からみれば、民族の統一や独立といった普遍的な価値観の実現を目標とした闘争がベトナム戦争であった。自らの「体験」は、その「歴史」の中の一場面だったのだ。その自らの体験から、すべてを評価することは誤りだ。より大きな歴史的な客観的な評価を考慮しなければならない。

 タイトルにある「賢者」と「愚者」は、どのような文脈で使用されたのかは不明だが、一般化するには過激な表現だ。しかし、「体験」と「歴史」を区別することは重要である。現代のベトナム人が、必ずしも反米でないこと。戦後の日本人が反米から親米に転換したこと。これらは、この「体験」と「歴史」を多くの国民が区別して認識した結果なのかもしれない。

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2006年12月 6日 (水)

大阪らしさとは何か?:大阪成蹊大学・開学記念企画から

 12月2日(土)に大阪成蹊大学・開学記念企画・第2回公開シンポジュウム「地域と知恵の連携」が開催された。主催は同大学の現代経営情報学部である。

 同大学の庄村長教授のお招きであった。庄村先生は、私の大学院時代の1年先輩であり、夜遅くまで真面目に語り合ったこともある懐かしい畏友である。

 このシンポジュウムの基調は「大阪」。大阪を愛する人々が大阪を語るという趣旨である。その中で加藤英雄教授の話が私には興味深かった。40年前に大阪に初めて来たとき、「大阪は日本でない。外国だ」と感動されたそうである。それ以来、大阪が大好きになったが、今はもう大阪らしさはなくなったと先生は嘆かれる。

 この大阪らしさは、次のような内容である。①言葉が違う。柔らかい敬語を使う。②関東人は見栄を張るが、大阪は合理性がある。回転寿司は大阪が発祥の地だ。③本音を言う。優しい。偏見がない。④批判精神がある。反中央。⑤大阪人のプライドをもっている。「大阪の凄み」を感じる。

 さらに山本憲司教授は、大阪の遺伝子(伝統・原点)に目覚めることを訴える。この遺伝子とは、合理性と情緒性の融合ということだ。合理的な設計図だけで行動するのではなく、それにサービス精神(人を大切にする。やんちゃ。遊び心。面白さ。乗り)が織り込まれている。

 悲壮感でなく、大阪のやんちゃくれ精神、お笑い精神で大阪の危機を乗り切ろうと山本先生は主張された。

 私は大阪生まれで大阪育ち。大阪在住。大阪を大好きな人間と思っている。このシンポジュウムは、そういった人々が集まっていた。久しぶりに面白かった。これからもっとコテコテの大阪弁を使ってみたろ。大阪の凄みを出したろか。こんなんで大阪が再生するんやったら、そらオモロイで。やっぱり、開き直りが大事とちゃうか?

 私は、ベトナム人は関西人に似ていると指摘した。大阪人とベトナム人は意気投合する可能性は高い。でもベトナム人は見栄を張ってエエカッコすることも多い。それに大阪人が突っ込みを入れて、ベトナム人がなるほどと思う。こういう掛け合い漫才的な楽しさをベトナムビジネスで享受できればと思う。

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2006年12月 5日 (火)

人よりも少し知っていること

 今日の講義での質疑応答。「日本で一番高い山は?」。「富士山」。「では2番目は?」。「ーーーー」。

 もし2番目を知っていれば、その学生は、すごく地理に詳しいように思い込まれてしまう。たった1つの追加的な知識によって、そのようなプラスの誤解が生じることがある。

 これは何でもそうである。一般の常識よりも、少しだけ詳しい知識をもっておく。そうすれば、さらなる専門家とのコミュニケーションが円滑に進む。新しい出会いで好印象をもってもらえる。これは、コミュニケーション能力を向上させるためのポイントだ。こんなことを学生に話した。

 最近の就職では、コミュニケーション能力が必ず問われる。柔軟に的確に双方向の会話ができる。学生にとって難しいかもしれないが、できないことはない。それができる学生がいないわけではない。就職の面接でも、自分の希望する会社について、人よりも少し知っておくこと。自分なりの調査をして自分の意見を言えること。これが重要だろう。

 そのためにはインターネット情報では不十分だ。だれでも知っている情報だからだ。自分の足で得た情報が最善だ。実際に商品を使う。会社の前で「ストーカー」する。本当に就職を希望するなら、そのくらいの熱意が必要だろう。それが、その会社について人よりも自分は少し知っているという自信にもなる。その熱意は、採用担当者にも伝わる。

 最初の富士山の話は、私の恩師であった神戸大学名誉教授・故・松田和久教授からの受け売りだ。学生にも松田先生の名前を出して、知的所有権を明確にしておかなければならない。

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2006年12月 4日 (月)

少し不安なベトナム投資ファンド

 先日、「ベトナム株ノーロードファンド」について紹介した。その後、投資後の日本送金は問題ないというコメントを頂戴した。これは、現地の証券会社の口座を使用するという方法で、確かに可能であると思われる。しかし、私が指摘した「出資法」違反についての疑問が残っている。

 もし私が、ベトナム株式投資ファンドを募集するとして、インターネット経由で不特定多数の人々に投資を募集したらどうなるか。また、新聞に広告を出したらどうなるか。それなりの資金が集まり、実際、ベトナム人の友人を通して株式を売買すれば、この投資ファンドのビジネスは問題なく可能である。未公開株や未上場株の取得も無理ではない。日本送金も何とか手段を考える。

 しかしこれは、明らかに「出資法」に違反する行為だ。不特定多数の人々を相手にする場合、その人々の保護が優先されるからだ。このためには、厳密な契約書が求められ、その作成費用だけでも弁護士に数百万円を支払うことになる。さらに監督官庁の認可も必要だ。

 冒頭の投資ファンドの場合、これと同じ問題点があるように思われる。ただし同ファンドの募集会社は、投資顧問業の認可は受けている。投資顧問業の認可があれば、投資ファンドの公募が可能なのであろうか。これが私の疑問である。

 最近になって「近未来通信」の詐欺に近いような事件が報道されている。ベトナムについて、否定的な事件が報道されることは、私にとって愉快なことではない。この意味で、冒頭のファンドには個人的に不安を感じる。あらゆる投資は自己責任である。それでよいのだが、「命の次に大事なお金」を投資するには、事前の情報収集が必要なことは言うまでもない。

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2006年12月 3日 (日)

ASEANとWTO加盟に向けたカンボジアとラオス(2)

 1.ASEANとWTOにおける経済統合

 ASEAN(東南アジア諸国連合)は、1967年8月8日に「バンコク宣言」で結成され、現在の加盟国は10カ国である。1997年12月のクアラルンプールの首脳会議では、緊密な経済統合が展望された。明示的な「経済共同体」は言及されなかったが、「アセアン=ビジョン2020」は、欧州経済共同体に類似した公式の経済統合の成立のためのロードマップを提示した。

 第9回首脳会議では、ASEAN経済共同体(AEC)に向けた具体的な枠組みが採用され、2004年11月30日にラオス・ビエンチャンで開催された第10回首脳会議では、AECに向けた行動計画が再確認された。

 すべてのアセアン加盟国は、WTOに承認されるように統合政策を着実に採用してきたが、その政策や統合の水準や段階はさまざまである。たとえばタイはWTO創設国であり、ラオスは1997年7月16日に加盟申請した。他方、カンボジアは2004年10月13日に148番目のWTO加盟国となった。

 概して言えば、アセアン諸国の経済統合には2つの政策がある。第1は、アセアン経済共同体の成立に向けた戦略を策定・実施することである。第2は、WTO加盟国に提供される広範な利点を利用するために地球規模の世界貿易体制に統合することである。なお、この利点とは、MFN(最恵国)やNT(内国)条項のことである。

 お互いに矛盾しているように思われる2つの政策は、どのように各国で表明されているか。各国の法的な基盤は、どのようになっているか。私見では、これらは有意義な問題提起である。

 WTO協定の実施については、人権活動家や、人権および特に健康権に対して潜在的に有害な影響を懸念する人々が関心をもつ。たとえばサービスにおける一般貿易協定の実施は、最も弱い母集団の健康障害に対して格差ある2重の健康サービスを提供することになる。同様に、知的所有権に関連の貿易協定は、医薬品やワクチンを貧困者がますます入手し難くする。

 私見では、以上の指摘は重要である。WTO加盟が社会的な弱者や貧困層に悪影響を及ぼさないかどうか政府は検討が必要だし、場合によってこれらの国民に対する「救済ネット」を用意しなければならないだろう。 以下、つづく。

 

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2006年12月 2日 (土)

ベトナム株式投資ファンドの2形態:昨日のコメントに関連して

 昨日、「ベトナム株ノーロードファンド」について紹介したが、それについて、ペンネームMATSUさんから次の趣旨のコメントを頂戴した。

 このファンドは、ベトナム現地のBSC証券会社を通して売買され、未公開株などの売買利益も含めて問題なく日本送金できるそうである。ただし問題点は、未公開株や未上場株を的確に取得できるかどうかだと指摘されている。私も同感である。

 これまでの私の見聞でも、未公開株の公開入札において機関投資家が入札に失敗することがある。いわゆる素人の個人投資家が高値で入札してしまうからである。機関投資家が合理的な入札価格を提示しても、個人投資家が「買えば儲かる」と早合点して高値で入札する。このような状況で、なかなか的確な価格での未公開株や未上場株の取得は難しい。これがベトナム株式市場のひとつの特徴である。

 なおベトナムには、証券会社と投資管理会社という2つの証券業態がある。それぞれの業務は次の通りである。証券会社は、①自己売買、②株式発行、③売買仲介、④財務アドバイス。これに対して投資管理会社の業務は、①投資ファンドの運用・管理、②投資口座管理(投資家の受託者として投資すること)である。

 そうすると冒頭の「ベトナム株ノーロードファンド」は、証券会社の業務③売買仲介のルートでベトナムに投資し、他方、昨日に紹介したユナイテッド=ワールド証券の「ベトナム民営化ファンド4」は、投資管理会社の業務①投資ファンドの運用・管理による投資である。日本からの同じベトナム投資ファンドであるが、この両者の相違点、またはメリットとデメリットは何であろうか。

 この問題については、少し検討する時間を頂戴したい。ただし投資管理会社に対する日本からのベトナム投資には、次の3方法がある。

 (1)日本の法律に従って日本で投資ファンドを設立し、ベトナム投資管理会社に管理・運用を委任する。この場合は委任契約書を作成する。この投資ファンド設立は、節税を考えれば、ケイマン諸島などでも可能である。これは、前述のユナイテッド=ワールド証券の方法である。

 (2)投資ファンドに参加したくない日本の個人投資家または法人投資家は、ベトナム投資管理会社に投資委任できる。これは、投資管理会社の業務②に該当する。通常、一定の金額以上の大口投資家に制限される。

 (3)日本の投資者が、ベトナム投資管理会社が設定した投資ファンドに参加する。この場合は2007年中は外国投資家の出資比率は最大49%に制限される。

 以上を考えれば、「売買一任勘定」をもった投資管理会社に投資することが、自己責任で証券会社を通して投資するよりも、ベトナム投資ファンドについては安全・簡単であるように思われる。当然それに応じて費用も必要ということになる。

 要するに「ベトナム株ノーロードファンド」は、この費用を節約して手数料無料を実現したということなのだろう。なお実際の運用成績の相違を考えれば、おそらく大きく変わらないと予想される。ベトナム株式市場の全体が右肩上がりだからである。そうすると相違点は、投資先に対する信頼感の大小ということになる。結局、手数料無料の評価は、投資家の心理に依存するということだ。

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2006年12月 1日 (金)

ベトナム投資ファンドの新たな登場:「ノーロードファンド」の特徴

 新たに設定されたベトナム投資ファンドが、募集を始めている。グローバル=リンク=インベストメント株式会社が販売する「ベトナム株ノーロードファンド」である。同ファンドについては、先々週の『週刊現代』で紹介されていた。

 このファンドの最大の特徴は、手数料が無料ということである。また成功報酬は15%と低めに設定している。また、インターネットを通した「匿名組合」の形式でファンドを販売・募集している。

 これは、ユナイテッド=ワールド(UW)証券と同様のビジネスモデルである。同社も現在、「ベトナム民営化ファンド4」を募集中であり、これまでにベトナム投資ファンドの募集・運用の実績をもっている(http://www.uwg.co.jp/)。このUW社については、本ブログでも何度か紹介した。UW社に比較して、この「ノーロードファンド」は、すべてに割安な費用となっている。それが最大の「売り」だ。(注:ただし、販売手数料は無料だが、管理手数料1.5%や助言報酬料0.25%が必要である。)

 このファンド組み入れ株式は、グローバル=リンク=インベスト(GLI)社の戸松信博社長がベトナムで企業訪問されて選定されるそうである。これは確かに賢明だ。ベトナム企業の公表される会計情報が必ずしも信用できないというリスクは、本ブログでも指摘した。ベトナム投資ファンドの先駆的な役割をしてきた「ドラゴンファンド」も、この企業訪問の重要性を指摘していた。

 なお、このGLI社のHPを見ると(http://www.gladv.co.jp/gli/noload/index.html)、現地の投資管理会社が明示されていない。通常は、証券会社の口座を通して、または投資管理会社を通してベトナム株式を購入する。そうすると日本に対する売買利益の正規の送金が可能だ。これらの証券会社・投資管理会社は、ベトナム財務省傘下の国家証券委員会(SSC)の厳しい審査を経た会社であり、それだからこそ信用できるし、それだからこそ外国送金も可能である。

 たとえば先に紹介したUW社は、インドチャイナ=キャピタルという投資管理会社を通してベトナム投資している。これに相当する投資管理会社は、「ノーロードファンド」の場合、どこの会社であろうか。これが不明である。ただし、たとえば私が証券会社に口座を開設し、その口座を通しての投資や日本送金は可能だ。しかし未公開株や未上場株の売買について、その利益を日本送金する場合、その利益の出所を証明することが必要であると思われる。これが煩雑だ。実際、このようなことを経験していないので、どのように煩雑かは想像もできないが---。

 また私の理解では、匿名投資事業組合の場合、公募での資金募集はできない。「ライブドア」や「村上ファンド」の投資ファンドも、匿名投資事業組合を利用したが、これらの資金募集は私募である。たとえば日銀総裁と同じように私も「村上ファンド」で儲けたいと思ったとしも、何らかの紹介や縁故がなければ投資できない。前述のUW社の場合は、金融庁の承認を受けており、インターネット経由の資金募集は、まったく問題ない。

 公募のファンドは、不特定多数の一般の投資家を相手にする。したがって、それらの投資家の中には金融知識のない人々も含まれていると想定される。したがって、一般の投資家を保護するための制度的な要件が求められる。「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(通称:出資法)において、次のように規定されている。

 (出資金の受入の制限) 第一条  何人も、不特定且つ多数の者に対し、後日出資の払いもどしとして出資金の全額若しくはこれをこえる金額に相当する金銭を支払うべき旨を明示し、又は暗黙のうちに示して、出資金の受入をしてはならない。

 以上の「出資法」に照らして、この「ノーロードファンド」は問題ないのであろうか。商法における「匿名組合」の公募とHPに明示されているから、おそらく問題ないのであろう。以上、日本送金と出資法に関する2点が、私の素朴な質問である。ベトナム投資の一般的な私見は、すでに拙著でも表明しているし、このブログでも紹介した。その要点は、ベトナムのことは信頼できるベトナム人に聞くということである。あのディープなベトナムの世界を外国人が理解するのは、そう簡単ではないからだ。

 どのような場合でも株式投資は自己責任である。リスクとリターンの見極めは自分ですることが原則だ。このことを前提にして、ベトナム株式投資に資金が流入することは大歓迎である。この意味で、新進の「ノーロードファンド」の今後の発展が期待される。

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