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2006年11月25日 (土)

ベトナムビジネスの「見栄」の意味は?

 昨日の研修で、受講生と私の間で次のようなやり取りがあった。弊社が出資・融資して設立予定の「ロータス投資管理会社」の事務所開設の場所が、ハノイの「ホリソンホテル」のビジネスセンターということについてである。注:この会社の詳細は、近日中に公開します。

 私は、まだ利益が上がらないのに、最初から「5☆ホテル」のオフィスは不要だと指摘した。もちろん収益に応じて事務所がグレードアップすることに反対ではない。しかし当初は「小さく始める」のが、少なくとも私のビジネスの「成功の基本原則」だ。これは、昨年の日本経済新聞のインタビューでも答えたことだ。ビジネスの成功に見栄や自己満足は無関係である。

 このような「見栄」があるので、ベトナムのビジネスは総じてコスト高になるのだ。経営者・管理者がコスト削減を従業員に自ら率先して示さなければ、全社的なコスト意識は高まらない。まず経営者の高級乗用車や接待費の節約からコスト削減を始めなさい。私の発言の趣旨は、こんなことであった。その具体的な実例として、以上の「ホリソンホテル」の話題を提供した。

 これに対して受講生から、立派なオフィスで働くと言うことで従業員の勤労意欲が向上するという指摘があった。こういうベトナム人の気持ちを理解してほしいという意見だった。なるほど。私は、この投資管理会社の顧客は一般の個人投資家ではなく、主に機関投資家や法人なので、もっと安いオフィスで十分と考えていた。しかし従業員の満足度や忠誠心を考えていなかった。

 新会社は、これから人材募集の段階にはいる。給与のみならず、将来のストックオプションや人材育成策を提示することで、優秀なファンドマネージャーを募集することになる。この場合、オフィスが高級でないと、優秀な人材は集まらないであろう。この研修で、CS(顧客満足)・CVC(顧客価値創造)だけでなく、ES(従業員満足)にも配慮することが重要だと話したばかりであった。この意味で、以上のことは受講生に教えられた事柄であった。

 もちろん以上に加えて、安全・防犯上の問題もある。比較的古いビルにもガードマンがいたりすることが多いが、やはり安全・防犯の観点からは高級オフィスがよいに決まっている。もっとも投資管理会社に集まった投資ファンドのお金は、預託銀行が保管することになっている。投資家保護が制度的に決められている。

 「ベトナムのことはベトナム人に聞く」。これも私の「成功の基本原則」のひとつだった。もちろんコスト削減に常に留意してもらわなくては出資者として困る。「資本の論理」の原則を堅持しながら、ベトナムに適応するビジネスのスタイルを考える。この応用問題には、すぐに解答できない。これから具体的な問題が徐々に出題される段階だからである。私の「実学」を追究する旅は、いよいよ海洋に乗り出すことになる。 

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