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2006年11月20日 (月)

ベトナム証券法の概要(下):(補論)ベトナム個人投資家の特徴

 以下、昨日に続いて「証券法」の概要を紹介する(出所:Vietnam Economic Times, Issue 152, October 2006, pp.50-51)。その後、ベトナム個人投資家の動向について私見を述べる。

 (7) 証券市場の活動形態に関して:政令第144/2003と同様に証券法は、証券市場における次の2つの活動形態を規制する。①証券売買センター、②証券取引所。しかしながら法は、これらの組織を運営する仕組みだけでなく、国家証券委員会によって認可された後の証券上場・証券取引・情報開示・取引成員に関する規制を発行する組織の権利と義務を補填する仕組みもより十分に規定している。つまり、投資家保護などの目的のために必要であれば、証券取引所・証券売買センターの証券取引規制に従って、証券取引を臨時に停止・中断そして取り消しすることである。

 (8) 証券の登録・預託・清算・決済に関して:公開会社発行のすべての証券は登録が必要であり、証券預託センター(SCC)で保管されなければならない。SCCは、有限責任会社や株式会社の形態で首相決定によって組織される。SCCの成員には、証券預託サービスの提供を許可された証券会社と商業銀行が含まれる。証券の決済は、SCCで開設された証券口座システムを通して実行される。証券取引の金銭決済は、決済指定(諸)銀行で開設された金銭口座システムを通して実行される。

 (9) 情報開示に関して:法の下に、発行組織・上場組織・公開会社・証券会社・資金管理会社・証券投資会社・証券売買センター・証券取引所は、定期的な情報開示・不定期な情報開示・要求に応じた情報開示の方法によって、関係当局と投資家に対して完全・迅速・正確に情報公開しなければならない。

 これらの条文の目的は、証券市場の活動における安全性・透明性・公正性・効率性を保証することだけでなく、投資家の正当な権利と利益を保護することである。(以上、引用終了)

 なお、以上の「公開会社」とは必ずしも「上場会社」ではない。その逆に「上場会社」は必ず「公開会社」である。すると「未公開株式」とは、たとえば株式会社化する時点で非公開で取得した株式である。または従業員持株を個人的に譲渡してもらうことを意味する。

 このような定義に従えば、ベトナムの店頭市場で売買される株式は「未公開株式」ではなく、「未上場株式」である。ベトナムにおいて株式上場までの過程は、次のようである。① 国有企業または有限責任会社が、株式会社化する。ここでは国有株式・従業員持株そして個人縁故株主が中心となる。② 入札によって一般に株式を売り出す。ここで公開会社となり、その後は店頭市場で売買できる。③ そして株式上場を果たして、上場会社として証券売買センターで自由な売買が可能となる。

 ベトナム人の個人投資家の多数は、②の段階であるにもかかわらず、高価格で入札する傾向がある。その結果、②の段階で十分に株価が上昇しているために、③の段階での株価の急上昇が期待できない。このことは、個人投資家が少数ということである。日本では③の段階で参加するような投資家が、②の段階で市場参加してしまう。そして③で参加する投資家がその後に続かない。

 上場前の評判が高かった「サコムバンク株」が、上場後に予想外に株価が上昇しなかった理由は、すでに②の段階で株価が十分に上がっていたからである。今後の方針は長期持続である。

 このような過程で最も儲かるタイミングは、①の段階で株式取得することである。つまり、しっかりベトナム未公開会社と縁故を作っておく。換言すれば、良好な取引関係や人間関係を維持しておく。これは外国人では難しいかもしれないが、できないこともない。取引先を紹介したり、融資をしたりして、その見返りとして無償の株式を要求すればよい。この株式を②や③の段階で売却する。もちろん長期持続してもよい。これからのベトナムビジネスには、通常の取引のみならず、このような楽しみが加わる。

 今後、外国人も含めて投資家は個人・法人ともに確実に増加する。そうなれば、③の段階での投資家の増大が期待できるから、上場時の株価急上昇というシナリオが現実になる。また当然、上場後の株価上昇に寄与することになる。 

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