« ベトナムビジネス研修の講義から:社内に眠る知識を活用する | トップページ | ベトナム株式投資の売り抜けるタイミング:大前研一氏からの重要な教訓 »

2006年11月27日 (月)

トランコム(株):増収増益を牽引する物流情報サービス事業

 流通科学大学の特色となっている「実学」講義の一環である「21世紀の業界展望(B)」が、11月25日(土)に開講された。講師は、トランコム(株)・総務経理グループ・マネージャーの三田村直毅氏である。

 さすがに土曜日の講義となると、写真のように受講生は通常よりも少数である。しかし三田村さんの親しみやすい人柄からか、通常よりも活発な質問が出された。

Dscf0101  トランコム(株)は、名古屋市を本社とする物流サービス企業である。売上高は連結で約500億円。営業種目は、①ロジスティックマネジメント、②物流情報サービス、③貨物輸送。約800台のトラックを所有し、従業員はパートを含めて3800人に達する。東証・名証第2部上場企業である。http://www.trancom.co.jp/

 荷主側からコスト削減を常に迫られ、さらに規制緩和で価格が自由化され競争が激化する物流業界にあって、トランコム(株)は、この5年間に増収増益を続ける好業績企業である。中期ビジョンとして連結売り上げ1000億円を構想し、当面、2008年3月期に売り上げ640億円・営業利益33億円を目標としている。

 この売り上げと収益の柱が、物流情報サービスである。これは同社の独壇場であり、このサービスを大手物流企業も利用している。それは次のような仕組みである。

 往路で積載したトラックが帰路で空車なら当然、輸送効率が悪い。輸送会社はトラックを空車で走らせたくない。他方、荷主やメーカーは、少しでも低コストで輸送したい。この両者のニーズをマッチングもしくはコーディネートするのが物流情報サービスである。

 トランコム社は、多数の輸送会社とネットワークをもち、空車トラックからの要請を受けて、それらに荷物を振り分ける。このようにすれば、自社所有のトラック数より以上のトラックを運行させることができる。このサービスの収益は仲介手数料ではなく、同社自身の運送料である。運送について同社自身が責任をもつためである。

 「このビジネスモデルは模倣されやすいのではないか」という質問に対して、その心配はないとのことである。「先発行動者の利得」が依然として有効である。すでに多数の運送業者と荷主との全国的な関係を20年間に渡って同社は保持しており、業界での知名度もある。なかなか新規参入は困難のようである。

 この情報サービスは主に電話を介して行われている。もちろんインターネットの活用も可能だが、それでは同社の担当者と顧客との人間的な関係が深化しない。他方、電話による「声」でのコミュニケーションは相互の信頼関係を深める。

 これは納得できる。学生に対する連絡に私はインターネットを頻繁に利用するが、それは単なる情報伝達にすぎない。人間関係を親密に深めるためには、対面の対話が最善であろうし、少なくとも電話での会話が望ましい。これは私にとって反省材料だ。

 以上、規制緩和後の競争的な運輸業界において、好業績を達成する企業は、やはり普通でない。

 私見では、新しいコンセプトのサービスに経営資源を集中していることが成功の秘訣である。無事故で、正確に、迅速に、安価に運送する。これは運送業では当然のことであり、このような競争の舞台では他社と差別化することは難しい。トランコム社は、他社に先駆けてこれを認識し、新しい物流情報サービスに着目した。この先見性や決断力が成功をもたらした。おそらく経営者の強いリーダーシップがあったのだと想像される。

 トランコム社が成功した物流情報サービスは「特許」をもっていないそうである。したがって外国に導入は可能である。また往路と帰路の移動をムダにしないという観点からは、この物流情報サービスはトラックのみならず、船舶・航空機・タクシー(特に長距離)にも応用できそうである。

 さらに郵便物や宅配便に活用できるかもしれない。郵便物や荷物の配達を終えて、空車で郵便局や配送センターに帰るのではなく、各配達先から荷物を集めることを考える。昔からの飲食店の出前や、最近のピザのデリバリー、そして生協の宅配サービスも同様に帰路が空車ではもったいない。帰路を空車にしない何か新しいサービスはできないか?

 注:もっとも、このようなサービスを追加すれば、ドライバーの過重な負担を強いることになる。これらの問題にも考慮が必要である。

 三田村さんの講義を通して、このような問題が想起された。それほどに刺激的な内容であった。また、三田村さんは学生と年齢があまり離れておられず、先輩・兄貴というような立場から学生に対して学生生活や就職について助言していただいた。これも学生に好評であった。ここで改めて、ご講義に感謝を申し上げたい。 

|

« ベトナムビジネス研修の講義から:社内に眠る知識を活用する | トップページ | ベトナム株式投資の売り抜けるタイミング:大前研一氏からの重要な教訓 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/4334196

この記事へのトラックバック一覧です: トランコム(株):増収増益を牽引する物流情報サービス事業:

« ベトナムビジネス研修の講義から:社内に眠る知識を活用する | トップページ | ベトナム株式投資の売り抜けるタイミング:大前研一氏からの重要な教訓 »