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2006年11月 9日 (木)

ハウス食品株式会社のSCM戦略:プロならではの「オーラ」を感じた!

 ハウス食品株式会社・上級執行役員・早川哲志SCM部長が、昨日の実学講義「21世紀の業界展望(B)」の特別講師であった。早川さんの講義から、私は「プロ」の迫力を感じた。もちろん、これまでの講師の方々が「ノンプロ」という意味ではない。管理職として当然プロであるが、それらの方々と早川さんの雰囲気はどこか違う。Dscf0774

 ハウス食品株式会社は、1913年11月11日に東大阪市で薬種問屋として創業。そして1955年に大ヒット商品「バーモントカレー」が発売された。その後に「ジャワカレー」も大ヒット。これらのカレー粉は、実は漢方薬の一種なのである。

 私見では、「カレー粉」という場合、たとえば「カレーの木」とか「カレーの実」は存在しない。各種のスパイスの混合物を「カレー粉」と呼ぶ。また、インドに旅行するとき、毎日カレーを食べることが健康の秘訣と言われた。カレーの漢方薬成分が解毒作用をもつのだと思う。カレーの成分が漢方薬ということは、ハウス食品の歴史と対応している。

 同社では、1959年に物流部が設置され、2000年に東京と大阪に受注センターが稼働。2003年に物流部が解散し、SCM(サプライ=チェーン=マネジメント)部に改組された。このように同社は物流問題に早くから取り組んできた。物流は常にコスト削減を要求され、また商品開発や営業と比較して地味な印象を与える。しかし物流は企業活動の基礎である。

 SCMは「供給連鎖管理」と翻訳される。メーカーとして、原材料の購入から生産そして販売までの仕組みを管理することである。たとえば財務管理が、企業の資金の流れを管理するのに対して、SCMはモノの流れを管理する。また物流が運送と同義に解釈される場合があるが、SCMは運送を含めた「物流の仕組み」を管理する。製造・販売・在庫というモノの流れの全体を最適化することである。

 早川さんは、営業職から仕事を始められ、物流からSCMの導入までを担当。この分野を自ら開拓されてきた。具体的には、5億円をかけてSCMのコンピュータソフトを導入し、この投資が3年間で回収された。このような改革には、常に抵抗があるものだが、同社では製造・営業を含め全社的な協力があった。SCMの導入は、結果として組織改革・企業活性化の手段であった。このほかに、実際の導入経緯が詳細に紹介された。

 早川さんのご講義は、学生向けというよりも実務家向けであり、あたかも「SCM実践セミナー」の雰囲気があった。さらに早川さんからは、通常の管理職ではなく、SCMの「プロ」もしくは「職人」としての自信や自負を感じられた。SCMという新しい分野の改革をご自分で推進・成功させてきた実績の裏付けが、そのような「オーラ」を発信するのであろう。この「オーラ」は、やはり「プロ」ならではと思われる。

 なお最後に、SCMを離れて、ご講義いただいたビジネス上の共通の要点を列挙しておく。
(1) 業務全体を調整・管理するためには、各業務の責任の所在を明確化しなければならない。
(2) 新しいことを導入・開始する場合、名称を変更することが効果的である。
(3) 「見本」はあっても「手本」はない。ぞれぞれの会社に応じた方法がある。そのために創造性を発揮する必要がある。
(4) 品質改善・コスト削減・時間短縮=生産性向上。これらはすべて数値で明示する。かけ声だけでは実現しない。
(5) P(計画)⇒D(実行)⇒C(検証)⇒A(行動)は改善活動の基本。この中のP(計画)の時点で、C(検証)するためのデータを予め決めておく。何をC(検証)するのかを計画しておく。
(6)山より大きな獅子はいない。海より大きな鯨はいない。大きいと思われる悩みも、本人が思っているほど大きくない。悩みは薬。悩みは一時的である。悩みは達成感を大きくする。こういった前向きのプラス志向が仕事を楽しくする。

 近い将来、ベトナム企業がSCMを導入するというような場合、ぜひお招きしたい講師である。また上記の6点は、来週から始まるJICAベトナム人研修で、早速ベトナム人経営者に話してみたい。以上、早川さんに感謝を申し上げたい。

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