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2006年10月12日 (木)

脱ダイエーで過去最高益を達成:(株)オーエムシーカードの経営戦略

 昨日、私が担当する「21世紀の業界展望」では、(株)オーエムシーカード執行役員の山下政和さんから講義を賜った。山下さんはダイエー店長を経て、同社に1994年に移籍。当時の同社の負債は3千億円に達していたが、現在は完済し、2005年度の経常利益は356億円。過去最高を達成した。

 講義前の雑談では、中国に次ぐ投資先としてインド・ベトナムが有望といった話になった。すでにクレジットカードは、ベトナムでビザとマスターが都市部で普及しつつある。最近はベトナム航空がアメックスと提携カードを発行し始めた。私見では、これからカード決済の普及が見込まれ、さらに流通小売企業の発展が予想されるベトナムでは、同社の流通系カードP1010074 ビジネスのノウハウが、さまざまなビジネスチャンスを生むと思われる。

 さて、このビジネスのノウハウの内容は、簡単に言えば、DATA BASE MARKETING(データベースマーケティング)である。カードの会員情報に基づいた何種類もの顧客セグメントに対して、より精度の高い的確なマーケティングが実施できる。つまり換言すれば、OMCカードを導入した店舗・商店街・ショッピングセンターなどの取引企業は、客数と客単価を上昇させることができる。ここが、銀行系カードにはない流通系カードの優位性=強みである。

 2005年現在、親会社ダイエー(52.54%所有)の取り扱い金額は全体の23%程度。ダイエーの業績悪化に伴って脱ダイエーを迫られ、まず中核業務であるカードビジネスに専念し、さらに新しいビジネスモデルに挑戦してきた。そのことが最高益の達成という結果となった。私見では、親会社の業績悪化が、子会社である同社の改革スピードを上げたと指摘できるかもしれない。

 ただし、オーエムシーの経営理念は、かつてのダイエーの「For the Customers」を継承している。山下さんは、ダイエー出身者らしく、「ダイエーのDNAを引き継いでいるのは当社だ」と胸を張られた。このような意味では、ダイエー創業者・中内功のDNAを受け継ぐ人材を育成するのは、流通科学大学でなければならない。そのためにこそ、ご子息である中内潤氏が理事長を務めている。

 山下さんのご講義で興味深かった話題は、最近の消費者金融業における金利見直し問題である。これは、金融問題と社会問題を混同した不毛の議論になっていると明確に指摘された。「上限金利の高低」と「自己破産件数」は無関係である。

 現在の20%~29.2%の金利は、一般には高いように思われるが、貸し倒れのリスクが含まれており、消費者金融会社の利益率は3%程度。金利が高いほどに消費者金融会社は儲かっていない。この上限金利を下げる法案が通過すれば、全国の消費者金融会社1万4千社の中で、存続できる会社は10%程度になると予想される。

 他方、借り手側については、これまで融資をしてくれた会社が消滅するのだから、法規制の及ばない「ヤミ金融」に手を出す人が増えることが懸念される。この金利は、1000%~2000%である。当然、こういった違法な金融に手を出さないように、公的な融資を充実させるという主張が考えられる。しかし実際、多重債務者となり自己破産する人々の中で、本当に「生活苦」で借金する人は15%程度。残りの85%は「遊興費」が目的だそうである。

 これが社会問題だ。多重債務者を救うという大義名分があっても、たとえば競馬やパチンコに使う目的のために公的融資を充実させるわけにはいかない。遊興費のために多額の借金をするような社会それ自体が問題とされなければならない。

 消費者金融の上限金利の引き下げは、業界のみならず利用者にも混乱を招く。当然、そこには新しいビジネスチャンスが生まれる。成熟した社会における健全な業界発展が望ましい将来像であると私は思う。それを先取りするように同社は、企業の社会的責任(CSR)および社会貢献に1991年から取り組んでいる。すでに環境保護などのための寄付金は4億2700万円に達している。

 なお、おそらく最も関心が高い問題は、ダイエーが子会社であるオーエムシー株式を売却するかどうかである。これは、ダイエーの大株主である丸紅の意向に従う問題だ。オーエムシーカード自体は、高い収益性を誇る企業価値の高い企業であるから、株式取得を希望する企業があって当然。株式売却となれば、ダイエーのDNAも消滅する。(株)オーエムシーカードの今後に注目したい。

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