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2006年10月23日 (月)

ベトナムと日本の階層意識:「学農官商」と「士農工商」

 週末から昨日にかけて、ベトナムのチュン=グエン=コーヒーのグループ企業・G7マートのダン氏とドゥック氏と話していて、いろいろ勉強させてもらった。

 彼らによれば、ベトナムには「学農官商」という社会階層の意識がある。G7マートは、その意識を改革したい。これは初耳だった。この指摘で、今までの謎が解けた。

 そうだからこそ、ベトナム人は勉強熱心。そして教育熱心。先生は尊敬され、大学教員の中には「嫌み」にプライドが高い人もいる。仕事を終えた後に従業員が夜間大学に通学。結婚準備として数学を勉強し始める意味不明の若い女性もいる。企業経営者は何年かかっても博士号を欲しがる。

 このような「学農官商」の階層意識が、日本の「士農工商」と共通しているのは、「農」と「商」である。そのなかで「商」が最下層ということは、ベトナムと日本の共通点として注目してよい。「商」がもつ怨念ともいえるエネルギーが、地下水脈のようにベトナムと日本で結びついている。

 このエネルギーが、流通システムの改革に向かう。その実行者は、日本ではダイエー創業者・中内氏であったろうし、ベトナムではG7マート創業者・ヴゥ社長であろう。

 これは、私の思い込みかもしれない。しかし、こういった思い込みのない仕事は空疎である。思い込みが伴った仕事は情熱を生むが、そうでない仕事は、自らの労働力の単なる販売でしかない。このような場合、仕事以外の別のところで情熱をかけうる何かを探さなければ、その人の日々の生活は楽しくないだろう。

 佐野眞一編『戦後戦記:中内ダイエーと高度経済成長の時代』平凡社、2006年6月によれば、中内ダイエーがなければ、今のコンビニもユニクロも百円ショップも存在しなかった(p.53)。しかし「中内ダイエーの歴史は、いまや『カリスマ』のなかにしか残っていない」(p.44)と指摘されている(注:『カリスマ』は佐野氏の著書)。

 確かに中内ダイエーは、もはや歴史のなかに残るのみである。しかし、その精神は伝承されうる。日本と同じ「商」の怨念をもったベトナムで、その精神が具現化しても不思議ではない。中内功が総隊長、私が実行委員長としてベトナムを初めて訪問したのは1994年。このときは、小池百合子衆議院議員(現職)がハロン湾の観光に合流した。この当時の中内が「夜明け前」と称したベトナムは、今やWTO加盟を迎え、煌煌とした朝日に照らされている。

 日本は、戦後のGHQ改革によって混沌とした自由経済=「闇市」が生まれた。その中からダイエー・ソニー・トヨタ・松下が育ち、戦後経済を牽引した。けっして旧財閥系企業が活躍したのではなかった。

 他方、ベトナムはWTO改革によって、その市場経済は、伝統と慣行の「闇の世界」から解き放されようとしている。この時期こそ、国営企業よりも過去のしがらみのない民間企業の出番である。

 G7マートは、その期待に応えてくれるに違いない。「日本で不可能であっても、ベトナムで可能なことは何か。ベトナムには、このような夢を実現する成長力が存在する」。これは、私の講演で最近強調する文言だ。ヴゥ社長を通して、中内の精神をベトナムに伝承する。これほどの楽しい夢があるのだろうか。私は、「ちょい悪」の教授を自認しているが、思い込みの激しい人間でもあるのだ。

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