« 脱ダイエーで過去最高益を達成:(株)オーエムシーカードの経営戦略 | トップページ | ベトナム政府は本気だ!!:WTO加盟直前に知的所有権保護に取り組む »

2006年10月13日 (金)

イオンとダイエーの業務提携をめぐる問題

 昨日、(株)オーエムシーカードについて、山下さんのご講義の紹介と私見を述べた。その日にダイエーの大株主・丸紅が、所有株式の15%をイオンに売却するという報道があった。ダイエーとイオンの業務提携は間違いない。その結果、より強力な購買力によって、より低価格の商品提供が顧客に対して実現できると予想される。

 そうなれば、ダイエー創業者・中内功の夢は、故・中内自身は愉快でないかもしれないが、その実現に近づいたことになる。それでは、それぞれの傘下にあるクレジットカード会社(OMCカードとイオンカード)も統合されるのか?

 消費者金融の上限金利の見直しに伴って、業界の再編成は必至である。それに伴ってクレジットカード業界の動向も注目される。その中でもイオンとダイエーの提携から波及する上記2社から目が離せない。

 しかし、昨日の山下さんが指摘されたように、この業界は、多額のコンピュータ投資を毎年のように必要とする装置産業である。コンピュータシステムの統合コストが、両社の協力・統合にとって重要な検討課題になる。さらに重要な問題は、両社のビジネスモデルが相互補完できるかどうかである。換言すれば、カード利用者にとって、より以上のサービス向上が期待できるかどうかである。そうでなければ、統合・提携のメリットはない。

 阪急と阪神が経営統合されても、阪急百貨店と阪神百貨店は当面は現状維持される。フランスのカルフールが撤退してイオンの傘下に入ったが、カルフールの名称は存続している。同じくイオン傘下のマイカルやサティも名前は存続している。これらと同様に、イオンとダイエーが業務提携しても、両社が存続すると考えるのが妥当であろう。それぞれには古くからの固定客をもっている。

 それでは、それぞれの傘下のカード会社も別個に存在するかと言えば、必ずしもそうではないと思う。利用者にとって、所有するカード枚数は少ないほど便利だからである。

 私見では、両社のカード会社が協力するとすれば、新たな事業分野である。たとえば、すでに存在している「SUICA」・「ICOCA」・「PITAPA」などのキャッシュレスのICカードが、イオンやダイエーの商品購買にも使用できるようになれば、確かに便利だ。しかし果たして実現可能なのか? 両カード会社にとって、こういった新規事業分野における協力が当面の現実的な課題であると思われる。巨額の設備投資を分担できるからである。

 以上、なかなか先が読めない。これが日本の現状だ。しばらくは複数のカードを所有して、それぞれを使い分けなければならないようだ。

 なお、ここで注意するべきは、クレジットカード利用者の特性である。たとえば「アメックス」や「ダイナーズ」を所有して優越感を感じたい。「ビザ」の「ゴールドカード」よりも「プラチナカード」を支払い時に出してみたい。こういったニーズを持った利用者が存在する。おそらく自分が富裕層に所属して、自らの地位や社会的評価が高いことを顕示したい人々である。

 流通系カードは、こういった利用者層に浸透していないかといえば、そうでもないと想像される。こういった人々は、おそらく複数のカードを時と場所に応じて使い分けている。銀座・北新地そして伊勢丹や三越では「ダイナーズ」や「プラチナカード」を使うが、同じ人がダイエーに行けば、「OMC」を使う。要するに日本の消費者は単純でない。単純でないというよりも、消費嗜好の幅が広い。少なくとも従来の日本人は、そうであった。広範な中流階級が、多様な消費活動を実践してきた。

 こういった日本が、「勝ち組」と「負け組」の区分が明確な米国型「格差社会」に変化するのかどうか。これは不透明である。こういった社会動態の動向に、クレジットカード会社も依存する。

|

« 脱ダイエーで過去最高益を達成:(株)オーエムシーカードの経営戦略 | トップページ | ベトナム政府は本気だ!!:WTO加盟直前に知的所有権保護に取り組む »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/3787903

この記事へのトラックバック一覧です: イオンとダイエーの業務提携をめぐる問題:

« 脱ダイエーで過去最高益を達成:(株)オーエムシーカードの経営戦略 | トップページ | ベトナム政府は本気だ!!:WTO加盟直前に知的所有権保護に取り組む »