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2006年9月27日 (水)

「逆張り」発想で独自の戦略を創造する:播州信用金庫・和田理事長の講義から

 流通科学大学の「実学」講義の1つである「21世紀の業界展望B」が始まった。受講生は前期よりも若干少なくなって50名。講義担当者としてレポートを読む側からすれば、受講生は少ない方がよいが、他方、せっかくの貴重な講義を多くの学生に聞いてほしいという気持ちも強い。少数精鋭。中身の濃い講義が展開できればと思う。

Dsc08824  さて初回の講義には、播州信用金庫の和田長平・理事長をお招きした。テーマは「現在の金融事情」。

 戦後の経済成長の基礎となった「土地神話」の終焉がバブル崩壊を生んだ。その後、金融業界は不良債権処理が迫られ、最近では郵貯が競争相手として参入。和田理事長は、これらの経緯を説明され、さらに播州信用金庫の独自の経営戦略の成功経験を紹介された。

 バブル崩壊後、不良債権処理とデフレ対策のために2つの選択肢があった。コスト削減と収益拡大である。多くの金融機関は「コスト削減」を採用した。確かに人員と給与の削減が、コスト削減に最も効果的な方法だが、それに伴って従業員の士気が低下する。

 播州信用金庫は、上記2つの選択を役職者に問うた。そして「デフレ下における収益増大策」に挑戦することになった。貸出金残高を増加させるために、融資渉外と融資研修を強化。業容拡大のために、新天地に支店を出す。

 これは「沼地(=貸し剥がし・貸し渋り)に吸い取り紙を置くがごとし」。借り入れを求める顧客は自然に集まった。顧客に感謝されて顧客が増える。これこそが金融機関の社会的使命・社会的責任(CSR)である。

 以上のように業容は拡大したが、コスト上昇を避けるために総人員は増やさなかった。1人あたりの仕事量は増えるのだが、「リストラ」をしないという方針によって、従業員のやる気を引き出すことができた。

 今後は、郵貯がライバルとなる。また都銀のサービスも強化されるだろうが、地域密着の木目の細かいサービスを都銀以上に提供できれば、十分に競争可能だ。新しい発想や知識や研究開発が、今後の戦略の要である。その一つとして、顧客を店舗に誘致する仕組みを考えることが必要である。「外回り」の渉外は、アパートのオートロックの普及など社会環境の変化に合わなくなっている。

 ほとんどの都銀が「コスト削減」を追求していたときに、播州信用金庫は「収益拡大」を選択した。この「逆張り」の発想が、全国の信用金庫の中で有数の高収益と好待遇を可能にした。このような「逆張り」発想は、和田理事長の歴史観または人生観に起因しているように思われる。

 「目指すべきは昨年より楽をして、昨年より高い成果を上げること」。これは人類の歴史でもある。このように和田理事長は述べられる。

 この意味は深い。普通は「昨年より頑張って」と言うのだが、ここでは「昨年より楽をして」と指摘される。「頑張って」ばかりだと人類は長続きしなかった。楽をしたいから、いろいろな新しい工夫を考案する。

 私見では、勤勉と努力は、今よりも楽をするために使用されるべきである。苦しいだけの勤勉と努力は長続きしない。今よりも楽をするために改善・改革・進歩・創造を考える。これはベンチャービジネスの発想法でもある。今よりも楽をするためには、今が楽であってはならない。今が楽なら、それ以上の楽は望めない。

 ただ「頑張ろう」と言うのではなく、「より以上に楽をするために頑張ろう」。この呼びかけは広く共感されるのではないか。これを換言すれば、「自分の夢」の実現にも通じる。ただし「自分の夢のために頑張ろう」と言うと、その夢は何かという問題になる。これは即決が難しい問題だ。

 そういった難問よりも、もっと気楽に考えて「今よりも楽なこと、楽しいことのために頑張ろう。無理しない」。これは企業経営のみならず、今後の混迷の時代に前向きに楽しく人生を過ごすための処世訓でもあると思われた。多くのことを和田理事長から学ばせていただいた。心から感謝を申し上げたい。

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