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2006年9月30日 (土)

ベトナム人と日本人の戦争意識:その両極端の意味は何か?

 これまでベトナム人と日本人は似ていると何度も本ブログや拙著で強調してきたが、国家もしくは戦争に対する意識は大きく異なっている。

Dsc08823  左の表は、朝日新聞(2006年8月6日)の記事から引用である。(クリックすると大きく鮮明に見えます。)

 60カ国で国民の価値観を聞いた「世界価値観調査2000」によれば、「もし戦争が起きたら国のために戦うか」の設問に、「はい」と答えた率は、日本が15.5%で最低。これに対してベトナムは94.4%で最高となっている。朝日新聞の解説(坪谷英紀氏)は、「第2次世界大戦で負けた日独が際だって低く、概して侵略を退けた国や戦争をし続けている国が高いことが目立つ。日本は敗戦で不戦を誓った。この結果を「情けない」という必要はないと思う」と指摘している。

 ベトナムは最高。日本は最低。この好対照をどのように考えるべきか? 「戦争が起きたら」という設問の「戦争」の意味が、ベトナム人と日本人で異なるのではないか。ベトナム人は侵略される戦争、日本人は侵略する戦争を体験してきた。自分の国を侵略されて戦わない国民は少数だろうし、侵略する戦争のために進んで戦う国民も少数であろう。前者がベトナム人、後者が日本人とみなされる。

 「ベトナムはカンボジアに侵略したではないか?」という批判もあるだろう。しかし、カンボジアを訪問し、ポルポト政権の虐殺の記録を見れば、ベトナムの「侵攻」がなければ、さらにカンボジアの悲劇は大きくなっていただろう。カンボジアでベトナム人が多数殺害されていた事実もある。当時のベトナム政府は、カンボジア侵攻を国際的に賞賛されるべきことと思っていたという指摘がある。その政府の意図に反して、ベトナムのカンボジア侵略は国際的な批判を浴びて、日本を含めた戦後復興の経済支援が中断された。これで、ベトナムの経済成長の速度は10年以上も遅延したと思われる。

 侵略される経験を日本人は余り持っていない。鎌倉時代の「元寇」。敗戦後の「GHQの占領」。さらに最近では北朝鮮の日本人拉致が、日本に対する部分的な侵略とみなすことができる。

 侵略する戦争は悪であるが、侵略される側の戦争は正当化されるべきなのだ。日本人は、侵略戦争について真剣に反省しないで、すべての戦争が悪いと思っている。だから北朝鮮の拉致事件についても、厳格に対応できないと思う。侵略する戦争を反省してこそ、侵略される戦争について断固として国民は立ち上がることができる。

 戦争のすべてが悪ではない。どの国にも自衛権はある。ベトナムは自衛権を行使して戦争を行った。他国に対して爆撃する権利がアメリカにあるのか。自分の国のために誇りを持って戦ったのがベトナム人だ。上記の調査結果を見て、ベトナム人が好戦的な国民性もっているという判断は誤りだ。

 以上のように考えれば、かつての第2次世界大戦における日本が侵略戦争をしたと真摯に反省することが、まず重要だ。侵略戦争はしない。しかし侵略された場合は、何としても全力で戦う。こういう論理の順序、こういう教育が必要ではないか。

 何よりもまず、侵略戦争をしないという深い共通の認識が日本人に必要だ。第2次世界大戦における日本の戦争が「自衛の戦争」と言っているようでは反省とはほど遠い。中国東北部(旧満州)が日本の「生命線」であると言っても、それは中国人の国土である。中国人が自らの国土を取り戻す戦争をすることは当然である。これを当然と思うことが、日本は侵略しないし、侵略されたら戦うという意識の基礎となる。

 繰り返すが、かつての侵略戦争の反省があってこそ、侵略する側の国に反対もするし、その逆に侵略される国に自国も含めて支援するのだと思う。すべての戦争が悪ではない。ベトナム戦争(ベトナム人は「アメリカ戦争」と呼ぶ)は、民族の独立と自由と統一のための正義の戦いであった。こういう歴史をもつ国民が「国のために戦う」のは当然であろう。

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