« 今日は東京から:ベトナムの想い出 | トップページ | 100%ベトナム人の意義:アジア経営学会から学んだこと »

2006年9月16日 (土)

アジア経営学会でコメンテーターを担当した

 アジア経営学会第13回全国大会が、専修大学神田校舎で開催。前年度の第12回全国大会を流通科学大学で開催したが、もう1年が経過したのかと思うと感慨深い。

 今回の私の仕事は、以下の3先生の統一論題「アジア経済の構造変化」の報告に対するコメンテーターである。川井伸一(愛知大学)「中国経済の台頭と東アジア経済との関係」、吉野文雄(拓殖大学)「東南アジア経済の構造変化」、石上悦朗(福岡大学)「インド経済は離陸できるか?--経済改革以降の産業発展の特徴と課題--」。

 コメンテーターは難しい仕事で、私は苦手である。全面的な批判も賞賛もしてはならず、それらのバランスを考えた評価をして、さらに何か気のきいたことを言わなければならない。今回の難しさは、私の専門外の国々が対象である。ベトナムについては大丈夫。何かコメントできる。かなりラオスも知ってる。今年の夏の訪問でカンボジアも見えてきた。しかし、それ以外の国々となると、ちょっと自信がない。

 こういう時はどうするか。知らないことを今から勉強することは断念。今の知識をフル活用。ベトナム・ラオス・カンボジアからの話をしよう。このように事前に決めていた。それぞれの先生のご報告とご回答から印象に残ったことを以下に紹介する。

 川井先生は、中国ご専門。2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博。それ以降の経済動向はどうなるか。これは吉野先生の質問でもあり、私もコメンテーターとして質問させていただいた。オリンピックなどの国際イベントは中央政府の投資。現在もその後も地方政府の投資は継続すると予想される。したがってオリンピック後の経済停滞の影響は小さいと思われる。学者らしく「将来の予想はできない」と控えめに言われていたが、その内容は説得的であった。中国経済を展望する場合、こういった財政支出の区別が必要であることがわかった。

 吉野先生は、シンガポール・インドネシア・タイ・フィリピン・マレーシアという「アセアン5」を中心に調査研究されている。これは、東南アジア研究の本流。私のようにベトナム・ラオス・カンボジアといった後発アセアン諸国の研究は、経済規模から見れば、「ニッチ」である。最近の潮流として、①中国の台頭、②FTAに見られる地域主義の台頭、③市民社会の台頭という3点を指摘された。またシンガポールと日本のFTA締結は、それほど貿易額に影響を及ぼしていないことが示された。このことは、より大きな経済共同体の構想である「東アジア共同体」の存在意味を問う問題提起である。

 石上先生は、カースト制度を含めた社会学的な知見を経済情報と同様に提供していただいた。特にインドと中国の比較を統計的に提示されたことは有益であった。中国は、農村改革を経験した後の工業化であるが、他方、インドは農村問題を引きずりながら、IT産業や先端医療が発展するという歪んだ経済構造になっている。カースト制は温存され、指定カーストと指定部族は人口の25%に達し、前者の40%、後者の70%が非識字。これにOBC(Other Backward Class:その他の後進諸階級)が52%存在している。そうすると人口の77%が差別された経済的に遅れた人々となる。この社会問題がインド経済に大きな影響を及ぼしていることは間違いない。

 以上のほか、いろいろ勉強させていただいた3時間であった。ひとりの能力や時間には限界がある。やはり学会に出席して多数の先生から知見を吸収する有益性を改めて認識できた。

|

« 今日は東京から:ベトナムの想い出 | トップページ | 100%ベトナム人の意義:アジア経営学会から学んだこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/3467640

この記事へのトラックバック一覧です: アジア経営学会でコメンテーターを担当した:

« 今日は東京から:ベトナムの想い出 | トップページ | 100%ベトナム人の意義:アジア経営学会から学んだこと »