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2006年8月11日 (金)

ホーチミン市5日目:ともかく偶然とは不思議なものです

 昨日は、カラベルホテル隣の中華レストランでクエ先生から夕食をご馳走になった。クエ先生は62歳。今年1月にマーケティング大学学長を退職されてから、いくつかの大学の学長就任の要請があったそうだが、マーケティング協会が発行する一般向け月刊誌『Marketing』の編集長としての仕事が多忙と言われていた。

 この雑誌に、日本の流通・マーケティングの事情を定期的に寄稿してほしいと頼まれたのだが、顔写真入りというのでやや躊躇してしまう。顔を見せてしまうと恥ずかしい。流通科学大学には「アジア流通研究センター」があるので、そこで相談するという返事をした。しかし当面、先のブログで紹介した「G7マート」については書いてみたいと思う。

 昨日の朝から、JVCC(日本ベトナム人材センター)の伊坂所長に同行していただいて、タイトゥアン繊維縫製会社を訪問した。同社は、JVCCのビジネスコースに多数の研修生を派遣し、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の指導を受けた優等生企業である。5Sの目的は「従業員の意識改革」と副社長のトゥアンさんは明確に述べられた。さらにWTO加盟は、原材料や設備機械の輸入にとって有利になるという指摘をいただいた。

 午後からは、ワコールベトナムの今泉社長にお目にかかり、やはり5SとWTOについて、お話を伺った。同行した大学院生フンさんが、5Sについて、なかなかよく勉強していて、同じ大学の教員として嬉しかった。今泉社長によれば、5Sは、「ベトナム人の意識を変え、企業文化を変える」手段である。これは、前述のトゥアンさんと同様の解答である。5Sが単なるスローガンではなく、その理由や効果を明示することが必要と強調された。

 WTO加盟については、税制優遇を受けている進出企業が、WTOによって優遇がなくなるという懸念を表明された。税制優遇を条件にして進出を決定したのだから、その既得権を手放すことはできないという当然の主張である。私見では、WTOが「大波」であって、これまでの既得権などが、それに呑み込まれて洗い流されるような印象を受ける。

 既進出外国企業、ベトナム国内企業、今後の進出外国企業。これらの利害調整をどうするか。ベトナム政府の対応が注目される。

 今泉社長に私の拙著を謹呈したが、ちょうど8月10日が同書の出版日と重なり、非常に喜んでいただいた。同書で説明しているベトナム株式市場についても、ちょうど関心をお持ちだったようで、初対面とは思えないほど意気投合した。これも偶然がさせることであろう。

 ワコール訪問後に、明治乳業の中嶋さんにお目にかかった。ちょうどハノイご出張前ということで立ち話であったが、やはり、G7マートの動向について注目されていた。9月最初にホーチミン市に私が戻ったときに、ゆっくりお話するということを約束した。通常の小売店が、G7マートのフランチャイズに加盟することで、徐々に変化していることに注目されていた。確かに今は、これが「コンビニ?」と疑問に思うほどにG7マートは洗練されていないが、それが徐々に改善される。この可能性は十分にある。

 お菓子の最大手企業キンドー(漢字では「京都」)が株式上場を果たし、数日前に米国の大手菓子会社キャドベリーと業務提携したと報道されていた。このことが、G7マートの事業展開のイメージと重なる。キンドーのベトナム全土に対する店舗展開は急激であったが、その味や品質管理は当初は必ずしも良くなかった。これは、ハノイのハイハコトブキ社におられた鈴木前社長から何回も聞かされた。生ケーキの品質管理ができていないのである。

 しかし「量は質を凌駕する」と言えるように、キンドーのように多数の小売り店舗網を背景にもてば、世界的な大手企業との提携も可能になる。まさに人海戦術ならぬ「店海戦術」である。今後、同店の品質や品揃えの改善が徐々に進むと予想される。G7マートも、同様に考えられるかもしれない。このような「品質よりも量を優先する」という発想は、少なくとも日本企業からは出てこないように思われる。しかし、それがベトナムの実情に適合していると考えることもできる。

 昨日の昼食時にシェラトンホテルの前を歩いていると、中央大学商学部の高橋由明先生が路上に立っておられて驚いた。やや遠くから「高橋先生~~」と声をおかけした。「ベトナム人の家族と食事をするので待ち合わせている」と言われるので、少し待っていると、何と、そのベトナム人も私の知人であった。こんな2重の偶然は普通では信じられない。

 高橋先生は、大変な篤志家であって、困っている人を見ると何かしてあげないと気がすまないというような方である。偉そうな大学教授は多いが、本当に暖かい気持ちをもった大学教授は寡聞である。高橋先生は、こういった面で、少しでも私も近づこうと思っている教授である。もともとのご専門はドイツ経営学であったと記憶している。ベトナムやラオスに高橋先生を初めてお連れしたのは私であり、今でも「上田さんのおかげでベトナムに来れた」と感謝されているのだが、これは恐縮の極みである。

 このことを「類は類を呼ぶ」と言って良いのかどうか不明だが、この偶然に驚くばかりである。明日に、ベンチェ省からホーチミン市に来られる板東あけみさんを高橋先生にご紹介しようと思う。またまた意気投合の予感がする。こういう出会いは、日本では考えられない。めったに日本でお会いしない高橋先生にホーチミン市の路上で会う。この驚きと感動が、ベトナムの魅力である。

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