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2006年8月15日 (火)

プノンペンは涼しい:面白い調査が連続

 私の携帯電話に日本からつながらないという連絡がメールで来た。カンボジア国内でもつながらないことがあるので、通信事情が悪いということだと思う。国際電話が受けられないということは、常識では考えられないのだが、もう少し調べてみる。

 昨日の午後には、商業省とカンボジア日本センター(CJCC)を訪問した。商業省は輸出入を管理しているためにカンボジア国内で有力な省である。JICA研修生であったティダさんは親切に調査協力を約束してくれた。同室のイエンチャイさんは会計学を勉強していて海外留学でMBA取得が希望という。またCJCCでは、ラヴィ所長・インレンさん・矢追さん・小室さんにお目にかかった。インレンさんには昨年末に研究調査の協力を依頼しており、最近のカンボジアの全般的な状況が理解できた。

 本日の午前は、GMAC(カンボジア縫製協会)事務局長ケンローさんから話を聞いた。彼はシンガポール人であり、金融を勉強してフランスの大学から博士号を取得している。前職は、シンガポールのシティバンクだったそうである。GMACに勤務して3年になる。この協会の設立以来、今年が10周年となり、10月に記念事業が開催されるそうである。加盟企業は279社。協会の入り口には、それらの会社用のメールボックスが設置されていた。

 彼の説明は明確である。カンボジアの賃金・生産性を考えれば、それに比べてベトナムは高賃金・高生産性。ラオスは低賃金・低生産性。ベトナムのWTO加盟はカンボジアにとって最大の脅威となる。ベトナムの対アメリカの輸出割り当てが解除されるからである。カンボジア進出企業がベトナムに移転する可能性がある。またラオスは港湾がなく、物流コストを高めていたが、バンコック~サバナケット~ダナンを結ぶ「東西経済回廊」が来年に完成すれば、ラオス企業も成長するだろう。

 このようにカンボジアの周辺国は、すべて縫製業にとって強力な競争相手となっている。カンボジアの優位性は、政府の外国投資優遇策があることや、最大の輸出産業である縫製業と商業省が友好的な関係にあることである。また「縫製訓練センター」も今年10月から再開され、日本の専門家が来て指導に当たるそうである。他方、企業成長の障害として労働組合問題がある。1つの会社に4~5の組合が活動している事例もある。かつて指摘された汚職の問題は次第に減少している。

 労働組合の活動は、経済的・政治的な民主化の証左である。政治体制としても、カンボジアは多党制を採用している。これらの民主主義の進展は、一党独裁体制のベトナムやラオスに比べてカンボジアは先進的である。しかしそれが、経済成長の障害になっているとみなされる。この克服には、どのような方法があるのだろうか。

 午後は、カンボジア商業会議所(CCC)の執行委員会第一書記を務めるテイさんを訪問した。テイさんの本業は、自動車部品の販売などであるが、当面の最大のビジネスはリゾート開発だそうである。カンボジア経済の発展を現状では縫製業が牽引しているが、より将来性があるのはリゾート開発とテイさんは言明した。

 世界屈指の観光地であるアンコールワットの観光は、これまでベトナム観光やタイのリゾート地の滞在との組み合わせであった。そういった観光客をシハヌークビル近郊に開発されるリゾート地帯に誘致できれば、カンボジア観光業の将来発展が約束できるという。テイさんの開発プロジェクトの敷地は150ヘクタール。18ホールのゴルフ場も備えている。

 なお、彼の会社は、その名刺を見ると自動車ハンドルを左右入れ替えるという仕事もしているらしい。運転手トーチさんの自動車は1980年代のトヨタカムリであるが、ハンドルは日本と反対である。日本の中古車をカンボジアでハンドル交換して、ベトナムを始めとする周辺国に輸出する。テイ社長に、このビジネスの可能性を次回に質問してみよう。でもこういう仕事、ベトナムの「フォー24」のように、すでに誰かが考えたに違いない。

 カンボジア商業会議所の公式訪問ではなかったが、その有力な幹部と面会できたことは収穫であった。大阪のPREX((財)太平洋人材交流センター)から「特命全権大使」として依頼された仕事も無事に済ませた。

 今日はその後に旧知のプイキアさんを訪問した。今年38歳。若手ジャーナリストとして彼は最近有名になった。たとえば日本センターのインレンさんは彼の名前を知っていた。その理由は、赤いクメール(ポルポト)派のキューサンファンに関する著書を英語で刊行しているからである。この本は「ベストセラー」になったそうである。彼からサイン付きの著書をもらった。正直に嬉しかった。彼とは、いろいろ話をした。汚職の減少のために、彼も健筆をふるって政府批判をしている。

 プイキアさんと話していると、批判的精神があってこそ、ジャーナリストと言えるのだと痛感する。カンボジアの国民を愛し、民主主義を発展させるという気概が伝わってくる。彼のような人物がいる限り、紆余曲折はあるにせよ、カンボジアの将来は明るい。たくさん元気をもらった1時間であった。彼から、カンボジア経済研究所の所長を紹介してもらった。明日に会えればと思う。 

 今日は、ずっと英語で通した。日本人に会わなかった。だんだん英語に慣れてきたが、週末にハノイに行けば、再びベトナム語と英語の混じり合った会話が始まる。それはそれで楽しいが、やはり徹底した勉強が大事だと思う。反省はできるが、実行は難しい。

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