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2006年8月 4日 (金)

ベトナムビジネス新著が店頭に:柘植氏の著書には負けた?

 昨日、紹介した拙著が紀伊国屋書店・梅田の店頭に出された。2冊あったが、アジア経済などのコーナーにひっそりと置かれていた。これに対して、柘植久慶『ヴェトナムと組むメリットを知らない日本人』PHP研究所(2006年8月9日)は、入り口の経済書・新刊コーナーに平積みされていた。

 この柘植(つげ)氏は、私のお気に入りの映画『戦争と人間』に出てくる柘植中尉(高橋英樹)を思わせる職業軍人である。より正確には、外人部隊に所属されてきた方である。略歴を見ると、慶応義塾大学在学中から、「コンゴ動乱やアルジェリア戦争に参加。1970年代初頭よりアメリカ特殊部隊に加わり、ラオス内戦に従軍する。1986年より作家活動に入る」と書かれている。

 さらに本文のまえがきには、「北京語ほどではないがヴェトナム語を理解するし、味方として南ヴェトナム政府軍と一緒に戦い、敵として北ヴェトナム政府軍と交戦した経験」がおありになるそうである。

 以上のように説明すれば、同書の内容は堅苦しい戦記物のように思われるのだが、そうではなくて気楽に読めるヴェトナムの歴史や現状を示したガイドブックになっている。その論調も、総じてヴェトナムに好意的である。中国がダメだから、それに比べてヴェトナムは良いという気持ちが反映しているようだ。

 写真も豊富で読みやすく書かれている。ただ、ここで考えることは、どのような気持ちで柘植氏が同書を執筆されたのかということである。私の場合、拙著で明確に書いたが、「ベトナムとベトナム人に対する感謝の気持ち」が執筆の根底にある。その理由は、ベトナムから「夢」をもらっているからである。

 ベトナムやラオスで実戦経験のある柘植氏は、今日のヴェトナムに対して、かつての戦友に会うような好意をもっていることは理解できるが、ヴェトナム人を殺害したであろう過去の自分を含めたより深い心境を知りたいところである。

 他方、いわゆる評論家や研究者の場合、その対象を少し前はタイ、次は中国、そして次はベトナムと渡り歩くような人々がいる。その時々のタイムリーな研究をしているのであるが、私の印象では、こういった人々は、それぞれの現地の人々から見れば「通り過ぎる人」である。

 外国を対象とした研究の場合、ビジネスの場合も同様であるが、その外国人に対して、どのような立場をとるかという問題は重要である。単に「通り過ぎる人」や「過去を振り返らない人」が、その外国人に受け入れられるのであろうか。

 その場その場で適当な時間を過ごす。その時間は、本人にとっては真剣であるが、外国人から見れば、そういった人々は、どうせ帰国する人である。真剣なだけに迷惑なことも多いのではないか。外国人との信頼や友情は、長い年月をかけて醸成される。私は、このように思う。

 いずれにせよ、ベトナムが注目されるのは結構なことである。相乗効果があればよい。柘植氏の著書について、最大の疑問は、その表題「ヴェトナムと組むメリットを知らない日本人」の意味が明瞭でないことである。メリットを知っているからこそ現在、中小企業を中心にして「第2次投資ブーム」になっていると思われる。WTO加盟を直前にして、ベトナムのメリットはますます明示されて来るであろう。

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