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2006年8月 3日 (木)

ベトナム女性ラム・ミー・リンさんのこと:新刊書の中で再会

 新刊書、上田義朗・ブレインワークス『乗り遅れるな!ベトナムビジネスがいま熱い』カナリア書房、2006年8月10日、1890円(税込み)の見本版が手元に届いた。このブログが本に編集されたことになる。「ブログを読んだから、本は買わなくて良いですね」という友人がいるが、こういう人が日本の出版文化を衰退させている。情報は同じでも、媒体が異なれば、読者にとっては新しい印象や発見がある。

 本書については、大学の講義期間中の執筆であり、非常に忙しかった。そのために推敲や校正が十分にできなかったのが残念である。私が執筆した前半部分は、やや重複があり、さらにハノイとホーチミン市の相違点など書き落としもあった。タイとベトナムを結ぶ「東西回廊」や、広州とハノイを結ぶ陸路の紹介もしたかった。さらに最新の統計資料も渉猟できた。

 いろいろ後悔や反省点はあるのだが、これらの改善と教訓は次回に反映させたいと思う。この著書が評価されるとすれば、私の執筆部分ではなく、後半の企業事例の部分である。ベトナム進出企業8社における「成功の秘訣」が率直に語られている。

 前半と後半は、それぞれ独立しており、私が後半に配慮して原稿を書いたわけではない。それでも共通点は多々ある。要するに、その共通部分・重複部分が、ベトナムビジネスの本質的な特徴と言えるだろう。

 後半で紹介されたエースコックベトナムの浪江社長とは、7月にお目にかかったばかりである。ココ・インターナショナル初代社長の佐々木さんには1994年に初めてお会いし、1998年のハノイ滞在当時には、同社の部屋を借りようかと考えたほどであった。ジーエービービーの余社長とは、各種のベトナムセミナーでお世話になり、G.A.コンサルタンツの勝本社長のご親戚は私の自宅のご近所にお住まいである。

 以上のように、私にとって親しみのある企業が本書に登場する。ただし企業事例について事前に私と打ち合わせはない。共同執筆のブレインワークス社の独立した取材である。この意味で読者は、複数の人々からベトナム進出・ベトナム投資の助言を受けているような印象を受けるかもしれない。その中に「矛盾」があるとしても、それは当然である。それぞれの見解・主張の基礎になっている観点や経験が異なっているからである。したがって矛盾があっても、それぞれの文脈において、それは正しいと解釈されなければならない。

 さて、本書の184ページで重光商事・井上社長が次のように述べている。「2001年8月、ハノイ外国語大学を卒業したばかりのベトナム女性ラムミーリンさんを採用しました。彼女にベトナムからの輸入業務全般をまかせられるようになり、細かい意思の疎通が可能になったことも、ベトナムからの輸入事業を安定して拡大できた大きな要因のひとつです」。

 井上社長と私は面識がないが、このラム・ミー・リンさんとは旧知の仲である。私や私の家族は、いつも「リンちゃん」と呼んでいる。1998年のハノイ留学時に私の宿泊先の近くのイタリアレストランで彼女はアルバイトをしていた。日本語と英語ができて、笑顔が魅力の利発な大学生であった。

 その後、家族ぐるみのつきあいが続いている。ベトナム人なら一度は参拝するという「ホン寺」に、私の妻と子どもを案内してもらった。重光商事に就職するとき、彼女から私に相談があったが、それは来日を決断した後の確認であったように記憶している。

 来日後、リンちゃんがハノイのご両親を日本に招待したときには、大阪・京都・奈良を案内した。彼女のお父さんは、ベトナム人らしからぬ「リベラル派」であり、娘の意思を最大限に尊重する方であった。リンちゃんから頼まれて、電気毛布を日本からハノイに持って行ったこともあった(注:冬のハノイはかなり寒い)。リンちゃんに限らず、ベトナム人は親孝行である。ベトナムで儒教精神は健在である。

 お互いの仕事があり、この2年間ほど会っていないが、そのリンちゃんと、同じ本の中で再会できるとは想像もできなかった。私の大学の教え子の中でも、このような関係はあまりない。上記の井上社長の話を読めば、自分の教え子の成長をうれしく思う気持ちになる。そこで次に、おせっかいながら「結婚相手を探してやるぞ」といった意欲が出てくる。

 本書の出版日は、8月10日となっている。この日は、リンちゃんの誕生日である。慣れない日本の生活や仕事における彼女の苦労と努力の成果が、上記で引用した井上社長の数行の文章の中に込められているように思う。お世話をされた井上社長にも、ぜひお目にかかりたいと思う。誕生日を記念してリンちゃんに本書を捧げる。

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