« 合同会社TET(テト)の設立:新会社法を実践する | トップページ | 少しばかり再びハノイに行ってきます »

2006年7月20日 (木)

ベトナムの株式投資の教訓(5):値上がりしないサコムバンクの謎

 これまでにブログで紹介してきた「ベトナム株式投資の教訓」の教訓1から教訓7を新しい著書にまとめて掲載した。教訓8教訓9は、紙幅の都合で次の機会とした。以下は、その続きである。

 ベトナム最大手の民間銀行・サコムバンク(Saigon Commercial Bank)の上場は、ベトナム株式市場で話題を集めた。通常、上場によって大幅な値上がりが期待されたが、現在値は7万6千5百万ドンである(参照:http://viet-kabu.com/ なお額面価格は1万ドン)。

 未上場時の店頭市場では、今年に入って7万ドルから8万ドルで売買されていたから、上場時の値上がりは期待はずれと言ってもよい。これはなぜか?

 上記のHPのデータを見れば、売買量(出来高)は最高で、988,420株(日本円:約5億4820万円)となっており、第2位の株式売買量の6倍に達している。これは、集中的な売買が上場以来続いていることを示している。私見では、8万ドンまでの「もみ合い」が続くのではないか。

 この理由は、いろいろあるだろう。ベトナムの財務諸表など情報開示が不十分であり、そもそもその内容の信頼性に欠ける。サコムバンクには隠れた不良債権があるかもしれない。だから安心できないという理由である。私も財務内容を確認したわけではないし、さらに隠された不良債権の有無を知るほどの情報通ではない。しかしこれは、日本の株式売買の場合も同様であろう。たとえば三菱東京UFJの株式を買うときに、そのすべてを調査・納得して購入する一般株主は少数であろう。

 私見では、未上場時に購入されたサコムバンク株が、利益を出すために大量に売りに出されていると想像される。たとえば2005年8月15日にANZ銀行(オーストラリア・ニュージーランド銀行)が未上場株式10%を35,500ドンで購入する契約をした。ANZ銀行が、上場時に株式を売却しているとは考えられないが、より一般に言って、ちょうど1年前に未上場株を購入した株主は、現在では2倍以上の利益を得ていることになる。

 それ以前に未上場株式を取得した株主の利益は、それ以上である。これらの株主が、上場時に株式を売却している。したがって株価は上昇しないのである。このことからの教訓は次の通りである。

 教訓10 ベトナムの未上場株式の購入は、当然であるが、早ければ早いほどよい。できれば最初の入札に参加する。ベトナムで上場直前の未公開株を購入しても、当面は上場時に大きな値上がりは期待できない。

 このことは、ベトナム石油採掘会社(PVD)株にも妥当するだろう。入札に参加した時の株価が店頭市場で約3ヶ月で3倍になった。上場まで待っていれば、さらに値上がるだろうが、上場時に急激に値上がるとは限らない。サコムバンク株が、1年前の店頭市場価格の2倍となって上場されたのだから、このPDV株が1年後に上場するとすれば、約2倍の上昇。そうなると、入札時の初値の約6倍値上がれば十分と考えることができる。そうなると約8万~9万ドンである。

 もちろんサコムバンク株もPVD株も長期持続の場合、さらに値上がる。しかし、その値上がりの契機は何か? 私見では、日本の大手証券がベトナム投資ファンドを日本国内で公募する時と考えられる。これが数年先であろう。この期間には、当然ながら「為替リスク」が存在する。

 以上のように考えれば、ベトナム未上場株式の取得は魅力的であるが、必ずしも上場時まで所有しなくても、3倍以上の値上がりで利益を確定しておくことが、現時点では望ましいのかもしれない。その利益をさらに新規公開株の取得に当てることが望ましいように思われる。

|

« 合同会社TET(テト)の設立:新会社法を実践する | トップページ | 少しばかり再びハノイに行ってきます »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/2739257

この記事へのトラックバック一覧です: ベトナムの株式投資の教訓(5):値上がりしないサコムバンクの謎:

« 合同会社TET(テト)の設立:新会社法を実践する | トップページ | 少しばかり再びハノイに行ってきます »