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2006年7月29日 (土)

ベトナム・ハーザン省ゴックデュン村の出来事:板東あけみさんに聞く

 ベトナムの母子健康手帳と言えば、その普及活動に尽力されている板東あけみさん(ベトナムの子ども達を支援する会事務局長)を思い浮かべることができる。

 板東さんは、ベトナム国家主席から勲章を3度も授与されている有名人である。現在は大阪大学大学院人間科学研究科の博士課程に在籍され、甲南女子大学の非常勤講師もされている。昨日、板東さんとお目にかかり、夕食をご一緒した。

 筆者のベトナム語の先生であったベトナム人女性が、たまたま板東さんの友人という関係で、1998年以来おつき合いいただいている。

 今年は、「母子健康手帳」普及の先陣を切った南部ベンチェ省で東南アジア各国やベトナム全土からの代表者を集めた「第5回国際母子健康手帳シンポジュウム」が11月22日~25日に開催される予定である。その準備で板東さんはお忙しくされている。

 その板東さんから次のような話を伺った。中国に接する北部ハーザン省ゴックデュン村の出来事である。すでにベトナム南部で一定の成果があったために、母子手帳の普及活動は北部に移行させている。そこでは、少数民族が住んでおり、ラオスと同様に高床式の住居である。

 通常は、高床の下には家畜を飼ったりするのだが、それらは住居から隔離され、さらにニワトリは皆無であった。鳥インフルエンザ予防のためにベトナム政府が指示したとおり、ニワトリが処分されている。

 そこで74歳のおじいさんと話をした。おじいさんは、自分の楽しみは家族が働きに出ている間、孫と遊んだり、家族のために食事を一品作ったりするのが楽しみだそうである。子どもは6人。それはお元気ですねと板東さんが言うと、「昔は今と違って政府の家族計画がなかったから」と答えられたそうである。現在、ベトナム政府は「二人っ子」政策を採用しており、コンドームやピルは無料で配布している。

 ベトナムには少数民族が特に山岳地帯に多く住んでいるが、異なった民族間で子どもが生まれたときに、その子どもは、父母のいずれの民族に属するか?これを小学生の子どもに聞いたそうである。すると「それは自分で決めるんだよ。ちゃんと子とも権利条約に書いてあるよ」と答えたそうである。

 以上のエピソードを板東さんから聞いて、「ベトナムは凄い国だ」ということで意見が一致した。山岳の小さな村にまで、政府の鳥インフルエンザ対策が浸透し、さらに老人までも最近の政府の政策を理解している。そして村の小学生までが「子ども権利条約」の内容を学習している。ベトナムは「子ども権利条約」をアジアで最初に批准した国である。

 国民の高い識字率と高い政治意識があってこそ、このようなことが可能になるのだと思われる。それにしても、このような発展途上国は世界で極めて少数もしくは異例であろう。

 村々にまで政府の政策が伝わることは、中央集権的な官僚制の上意下達の息苦しい政治体制が原因だと考える人がいるかもしれないが、ベトナムの場合、それは誤りである。そのような政治体制が、これだけ対外開放が進んだベトナムの現状において維持できるはずがない。そのような政治体制では、国民の不満は高まり、政治的に不安定になる。

 以上のことは、政府と共産党に対する国民の信頼感を反映した出来事であるとみなされる。ベトナム政府の安定性は当分は問題なく持続されるであろう。

 このような話が大阪でできる機会は貴重である。板東さんとの出会いに感謝である。そのシンポジュウムについては、別に紹介したいと思う。以下にHPも開設されている。その成功のために少しでも協力したいと思う。参照:http://volunteer.hus.osaka-u.ac.jp/mch5/index.htm

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