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2006年6月 7日 (水)

グローリー商事(株):ニッチ市場における世界のトップ企業

 グローリー工業(株)グローリー商事(株)は、本年10月に合併を予定している。もともと両社は同一の会社であったが、1957年3月に分社化した。それが50年ぶりに再び統合されてグローリー(株)となる。これら2社は、釣り銭機・両替機・ICカード読み込み機・自動販売機・券売機・コインロッカーなどの分野において、これまでに国内および世界のトップ企業の地位を築き上げてきた。

 この両社合併の目的は、次の3点である。経営資源の集中化による経営効率の向上、メンテナンスにおける顧客対応のスピードアップ、コスト競争力の向上と不良在庫の削減。このような目的が達成されれば、米国・欧州・アジアといったグローバル市場における国際競争力の強化に貢献すると思われる。

 私見では、このような「商工合併」は、今までよりも円滑・迅速に顧客ニーズが商品開発に反映される効果が期待される。いわゆる持株会社を頂点とした「経営統合」ではなく、あえて「企業合併」を選択した意図は、この期待実現の早期化であると思われる。すなわち販売部門(顧客ニーズの把握)と研究開発部門(新製品の商品化)の相互交流が、経営統合よりも合併の形態において早期に実施可能であり、販売力・研究開発力が同時に強化される。経営統合よりも合併によって、より早期のシナジー効果が生まれると考えられる。

 私が担当する実学講義「21世紀の業界展望」では、グローリー商事(株)人事部人材開発グループリーダー・八津谷(やつたに)吉博氏をお招きして、以上のような同社の事業展開の現状と就職活動における心構えについて講義を賜った。

Dsc07506  グローリー商事は、2004年度に売上高1,445億5,600万円、経常利益95億9,100万円となり、過去最高を記録した。これは新札発行「特需」の影響であり、通常は平均して売上高1,000億円、経常利益30億円である。いわゆる機械製造業において同社は、お金(通貨)に関係する機器の販売という「ニッチ市場」に特化して、そこでの世界トップ企業となっている。

 (注:上記の写真をクリックすれば、より鮮明に大きくなります。これまでのどの講義も同じ構図ですから、次回は少し変化させてみようと思います。)

 同社の商品に含まれるコア技術(グローリー工業(株)が所有する主要な技術)は、①認識・識別技術、②メカトロ(機械の小型化・精密化を促進する)技術、③ソフトウェア(データ処理)技術である。これらのコア技術の蓄積を基礎として決済セキュリティの方面に今後は進出・発展の余地がある。

 合併後のグローリー(株)は、単なる通貨処理機械の製造・販売という事業活動ではなく、「決済手段における合理化と問題解決」が事業ドメイン(領域)とみなされる。そのことによって、同社の将来展望を見通すことができる。同社は、ニッチ市場における差別化戦略の成功事例として特筆に値するように思われる。今後は、グローバル企業としての一層の飛躍を同社に期待したい。なお、後半の講義における就職活動の心構えについては次の機会に紹介する。

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