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2006年5月19日 (金)

ベトナム情報(4-2):貿易の現状(続)

 第6表によれば、輸出から輸入を引いた数値(①-②)は、単純に言えば、個別企業における貿易収支の黒字額である。同時にこれは、ベトナム国内で生産された付加価値総額を示している。輸入原材料と国内原材料を使用して、ベトナム労働者が生産し、その製品のほとんどを輸出する。この輸出額から原材料輸入額を引けば、ベトナム国内で生産された付加価値を示す。 

 ベトナムにとって、この比率(①-②)/①が大きい企業ほど経済発展に貢献しているとみなされる。外貨獲得のために輸出増加は望ましいのだが、その増加に伴って原材料輸入も増加すれば、貿易収支の黒字には、輸出が増加するほどに貢献しない。この意味で、Nidec Tosok住友ベークライトは優良企業である。他方、キャノンや富士通は輸出も多いが、輸入も大きい典型的な企業である。

 輸入原材料・部品の国内生産比率を高めることは、国内市場を志向するトヨタ・ホンダ・ヤマハ・三洋電機なども努力していることである。しかし品質の問題もあり、簡単に比率は高まらない。しかし最近の投資ブームによって、日本の部品メーカーのベトナム進出が増加している。これによって国内生産は次第に増大すると予想される。このような「すそ野産業」の育成が、ベトナムでは重要課題である。

 なお、すでに指摘した近年の中国貿易の拡大は、今後ますます進展するように予想される。特に輸入については、これまでの日用品などから、原材料部品の輸入が増大すると予想される。たとえば中国の広州から原材料部品を陸路でハノイ周辺の工業団地に持ち込むことは、すでに住友商事が実験を試みている。

 このような傾向が進めば、ベトナム生産のための原材料部品は中国に依存するという関係ができあがるかもしれない。技術や品質の向上に時間がかかり利益率も低い部品生産企業(すそ野産業)の育成よりも、経済成長を急ぐベトナムにとっては、手っ取り早く原材料を中国から輸入して、完成品を輸出する方が生産は拡大するという考え方もありうる。

 このようなベトナムと中国の関係が形成されるとすれば、それは日本と韓国の関係と同様である。韓国の輸出が伸びれば伸びるほど、日本からの原材料部品の輸入が増え、慢性的な対日赤字が韓国では続いている。対日赤字の解消を両国の課題とする時代もあったが、最近では、貿易収支全体の黒字が重要であって、あえて対日赤字にこだわる必要もないという見解もある。このような先例を参考にした政策立案をベトナム政府に期待したい。

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