« ベトナムの鍋料理:ニュクマムの魅力 | トップページ | それほどベトナムの汚職は深刻か? »

2006年5月 4日 (木)

ベトナム株式投資ファンドの動向:「正規軍」対「ゲリラ軍」

 ベトナム株式投資の入門書が発売された。新興国市場の急成長を楽しむ会編著『B(V)RICs投資スタートBOOK』インデックスコミュニケーションズ、2005年5月20日(1200円)。副題は、「予算1万円から始める!」、「誰でもわかる!できる!儲かる!」となっている。この(V)がベトナムである。日本からの距離を考えて、ブラジルのBの代わりにベトナムのVを入れて、アジアのヴリックス(VRICs)と命名してもよいかもしれない。

 ベトナムでは上場株式の売買は難しいので、投資信託を買いなさいというのが同書の内容である。しかし日本語で読めるベトナム関連のHPやブログも紹介され、将来の日本の証券会社を通しての売買開始に今から準備しておきなさいという内容になっている。

 その中で当面のベトナム投資は、投資信託を通して行うことになる。このブログで紹介しているように、すでに発売が終了した「ドラゴンファンド」と「民営化ファンド」の2本を同書は紹介している。この中で「ドラゴンファンド」が第2次募集の説明会を5月13日に大阪、14日に東京で開催予定である。筆者の情報では30億円、別の情報では50億円を日本全土で集めた第1次募集に加えての第2次募集である。

 すでに募集した30~50億円の全額がベトナム株式にすでに投資されたとは考えられない。今後の上場予定会社の株式取得に向けて資金を現金を含む流動性の高い資産で保有していると想像される。さらに4月27日にハノイで韓国の投資運用会社が、韓国の投資家を対象にして5,000万ドル集める投資信託ファンドを設定すると発表している。

 このような投資ファンドは、募集資金が多額になればなるほど、手数料収入も多くなる仕組みである。ともかく資金を集めれば収入が入る。しかしその資金の大部分は、将来の未公開株の投資のために現金で保有される。それでもベトナムの預金金利は10%近くあるから、日本に比べて高い利回りが期待できる。しかし株式投資に比べて現金を保有すれば、その「投資効率」は低下する。

 投資に必要な資金を必要なだけ募集するのではなく、予め資金を大量に集めれば、それだけで投資に対する利回りは低くなる。来公開株について入札価格の3倍~4倍の価格で店頭市場で売買されている状況を考えれば、現金で保有することで、たとえ金利10%だと言っても、利回りは悪化する。さらに高金利が継続する保証もない。このように考えれば、現金保有の時間を短くするファンド設定が、投資効率を向上させるために最適である。

 現状のベトナム株式市場で最も利益が期待できるのは「ゲリラ戦」である。そういったゲリラ戦を担当する「ゲリラ軍」という意味をもった投資ファンドの設定が望ましい。つまり1億円から2億円の資金を集めて、それを順次公開される未公開株式に約6ヶ月ほどかけて投資する。これを5年~10年間長期保有する。これを今後の数年間続けるのである。第1次ファンド、第2次ファンドを連続して発売する。このように比較的小規模な資金を小刻みに投入する。こうすれば、投資ファンドを現金で保有する時間が短くできるので、未公開株に投資する高利回りの魅力を最も享受することができる。

 このような意味で、「ドラゴンファンド」や「韓国ファンド」のような数10億円を集めた投資ファンドは「正規軍」とみなされる。正規軍は部隊の移動も困難である。つまりゲリラ軍なら、たとえ未公開株であっても店頭での売却は可能であるが、正規軍の大量株式の売却は買い手が見つからない懸念がある。ベトナムのような小規模な株式市場においては、以上で指摘した「ゲリラ軍」による「ゲリラ戦」が最も有効であると判断できる。

 ドラゴンファンドの運用会社が英国系、民営化ファンドの運用会社が米国系、それに韓国がファンド募集を始めている。こういった「正規軍」に対抗するベトナム人独立系運用会社による「ゲリラ」ファンドの出番が期待される。ベトナム経済発展のために、こういったファンドでは「ドン建てファンド」の設定も考えられる。このファンドはベトナム政府も歓迎する。ベトナムの利益をベトナムで使うからである。こういったファンド運用の経験と実績が、ベトナム人のためのベトナム人のファンド設定に発展する可能性がある。

 なお「ドン建て」では日本に持ち帰れないという質問がある。この場合、ベトナムでドンを使う投資家に限定したファンド募集でよい。もちろん現地進出の日系企業が購入してもよい。このように考えれば、1億円程度の資金は集まるはずである。また為替レートは、現在は傾向的な「ドン安」であるから、為替差損のリスクがある。しかし近い将来に「ドン高」になる可能性もある。こうなれば、為替差益を獲得できる。ちょうど最近の中国の「人民元切り上げ」を想起すればよい。  

|

« ベトナムの鍋料理:ニュクマムの魅力 | トップページ | それほどベトナムの汚職は深刻か? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/7888/1674251

この記事へのトラックバック一覧です: ベトナム株式投資ファンドの動向:「正規軍」対「ゲリラ軍」:

« ベトナムの鍋料理:ニュクマムの魅力 | トップページ | それほどベトナムの汚職は深刻か? »