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2006年5月27日 (土)

加藤産業(株):食品卸売業として「流通革命」を担う

 加藤産業株式会社は、食品卸売業界で第5位の売上高を占める東証・大証第1部上場企業である。本社は兵庫県・西宮市。西宮市と言えば、全国的には甲子園球場の所在地として有名である。さて、その売上高上位10社は次の通りである。

 ①国分(1兆3,378億円)、②菱食(1兆2,875億円)、③日本アクセス(8,172億円)、④伊藤忠食品(5,578億円)、加藤産業(5,296億円)、⑥三井食品(5,064億円)、⑦日本酒類販売(4,306億円)、⑧明治屋商事(4,244億円)、⑨旭食品(3,445億円)、⑩西野商事(3,144億円)。

Dsc07484  本学の実学講義「21世紀の業界展望」において招聘講師としてご講義いただいた久保敬一氏(総務部・人事教育チーム採用担当統括)から、自社を含めた上記10社に関する詳細な実態分析を紹介していただいた。食品卸売業における「21世紀の業界」の将来像が、ご講義を通して文字通り「展望」された。

 注:上記の写真をクリックしていただくと、大きく鮮明に見ることができます。通常の教室と今回は異なっていますが、やはり同じ階段教室です。階段教室は、教員と学生の目線が合わせやすく対話型の講義には最適の環境です。

 食品卸売業界の今後を展望する場合、その顧客である小売業の動向分析が不可欠である。たとえばイオングループは、メーカーとの直接取引を増やそうとして、自前の物流センターも建設した。この動きが拡大すれば、中間流通業=卸売業は不要となり、卸売り業界全体の死活問題となる。

 小売業全体では、日本において競争激化が特徴である。たとえば「人口1万人当たり食品店舗数」を見れば、米国:7.3店、英国:12.9店、ドイツ:21.7店、フランス:14.3店、日本:41.9店となっている。これは私見では、日本が単に店舗間の過剰競争の状況というだけでなく、流通経路の合理化の遅延を意味している。

 消費者の利益のためには、小売業・卸売業、それら全体の流通システムにおいて「規模の利益」が確保されなければならない。他方、零細小売店の経営を守るという見解も存在する。きめ細かい親密なサービスをそれらが消費者に提供することで、大型小売店と差別化・共存できるという主張である。この場合も、共同仕入れや共同配送といった流通合理化によって、零細小売店であっても仕入れ・輸送コストは削減できる。そのコスト削減の利益は消費者に還元されるべきものである。消費者を直接相手にする小売店として、そのような経営上の努力や工夫を怠ることは、やや厳しい表現であるが、自らに対する保身的な「甘え」であると私は思う。

 このような小売業の競争激化は、卸売業に対する仕入れコストの削減要求となる。そこでメーカーは卸売業者に対して販売促進ということでリベートを支払って利益補填することになる。私見では、このような不透明な取引慣行は、日本の流通システムの合理化・近代化に逆行している。

 さらに食品卸売業界では、業界再編が必至となっている。卸売業での「規模の利益」の追求である。たとえば業界第3位・日本アクセスと第10位・西野商事は合併もしくは経営統合が予定されている。

 以上のような卸売業界の現状や課題を見れば、それはそのまま日本の流通システム全体の特徴や課題に繋がっている。ダイエー創業者の故・中内功は「流通革命」を唱えたが、それは今日までも継続し、卸売業界の再編という新たな段階を迎えているとみなされる。米国のウォルマートという世界最大の小売店の日本進出によって、そのような革命・改革が後押しされているとみなされる。

 採用担当責任者としてご多忙の中、わざわざ東京からご来学いただいた久保さんに改めて御礼を申し上げたい。

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