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2006年5月22日 (月)

ベトナム情報(5);中国との比較総論

 昨年からの第2次ベトナム投資ブームは、「中国+ワン」としてベトナムが選択されたという意味がある。確かに中国は「世界の工場」であり、同時に巨大な国内市場は魅力である。さらに2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博までの経済成長が確実視されている。しかし昨年から、中国だけに依存するリスクが認識され始めた。リスク分散として中国だけでなく、中国に加えて、どこの国が適当なのか。そこで中国に代替・付加する国としてベトナムが選択され始めているのである。

 この契機は、小泉首相の靖国神社参拝に伴う中国での「反日運動」の発生である。さらにそれ以前には、SARS(重症急性呼吸器症候群)流行時における中国政府の対応の遅延があった。中国と対照的にベトナムは、日本に対する友好的な態度を保持しており、さらにSARSに対する情報公開と国際的な支援要請は迅速であった。これらのことは、中国における生産活動に支障が発生するリスクの認識を高めることになった。

 また、より重要なことは、2005年7月21日に中国の人民元の切り上げが発表され、さらに毎年3~4%の上昇が見込まれていることである(『日本経済新聞』2006年5月16日)。このような人民元の上昇に対して、ベトナムでは傾向的なドン安である。この為替レートにおける動向の相違は、(委託)加工生産する外国企業にとっては決定的である。毎年のように生産コストが上昇する中国に対して、ベトナムでは物価上昇があるにせよ、ドン安のために生産コストの上昇は緩和される。

  以上のような政治的・経済的背景が、第2次ベトナム投資ブームを発生させたとみなされる。第1次ブームの契機は、米国の経済制裁解除(1994年)と米越の国交回復(1995年)という外的要因であったと考えられる。そうであるとすれば、必ずしもベトナムそれ自体が評価されたわけではない。ベトナムの潜在力や未開拓の投資国としての魅力が当時は盛んに語られていたが、あくまでもそれは潜在力であり、未開拓の魅力にすぎなかった。これに対して第2次ブームの発生は、中国との比較でベトナムの実績が評価された結果である。

 たとえば、ある建築用プレス部品を中国に委託生産している日本の中堅企業は、その生産をベトナムに移転させることを準備中である。中国の生産は、最初は順調であったが、次第に手を抜くようになり、異なったロットの製品の混在が頻繁に発生するようになった。この是正を繰り返し要求しても改善されない。工場見学に行くと、通常の生産工場と違った工場に案内される。取引を仲介してくれた日本語のできる中国人も、あきらめ気味である。そこで中国に見切りをつけて、ベトナムで委託工場を探すことにした。ちょうどその時に人民元の切り上げが報道され、やや割高のベトナムの生産コストが中国と大差なくなった。このことも決断を後押しした。

 この事例は現在進行形である。果たしてベトナムから日本に製品が無事に荷揚げされるかどうか。それまで眼を離すことはできない。また、その後の注意も必要であろう。なお、このような委託生産先の探し方については、別途に紹介する。

 次回、いくつかの統計資料を紹介し、以上の指摘を裏付けてみよう。

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