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2006年5月31日 (水)

K&K国分株式会社:食品卸売業のリーディングカンパニー

 実学講義「21世紀の業界展望」の特別講師として、K&K国分株式会社小木曽(おぎそ)泰治氏(人事総務部副部長・経営企画室副部長)に5月31日に来ていただいた。同社は創業は1712年、日本における食品卸売業の老舗であり、売上高1兆3,378億円は日本のトップ、世界の業界全体でも11位を占めている。ご講義は「食品流通の現状と企業が求める人材」というテーマであった。卸売業の現状や機能の説明から始まり、採用面接のチェックポイントまで豊富な内容をお話いただいた。小木曽さんご自身は、週末にサッカーの審判員をされたり、少年サッカーのコーチをされたりしているそうである。非常にご多忙であるにもかかわらず、社会貢献の姿勢を保持されている。

 小木曽さんは、学生の採用を担当されているが、学生を選ぶという責任だけではなく、学生から企業も選ばれてP1010031いるという自覚が必要であると話された。さらに企業を選ぶということは、採用段階で企業を代表している自分が学生から選ばれる立場にあるとお考えになっているそうである。このブログでも紹介したが、現在、私は新ゼミ生の募集中である。小木曽さんの謙虚と自戒の気持ちに学ばせていただいた。 上記のスポーツを通しての社会貢献も、このようなお気持ちから生まれているのかもしれない。

注:上記の写真をクリックすると大きく鮮明になります。講義終了時の恒例の記念撮影です。)

 先日の加藤産業(株)・久保敬一氏のご講義において、1万人当たりの食品店舗数を国際比較すれば、日本の店舗数が異常に多いことが指摘され、それは5月27日のブログで紹介された。そこで私は、零細小売店の非効率性の改善が必要であると指摘した。しかしながら今回の講義では、その多数の店舗数は、日本の食文化の特徴に起因していることが説明された。それは、次の2点である。

 1.日本では、和・洋・中・旬など食品の多様性がある。したがって多品種の品揃えという消費者ニーズがある。

 2.日本では、生鮮食品を主にした食習慣がある。したがって小商圏での多頻度の購入が一般の消費者行動である。

 このような日本の特徴は、多数のメーカーと多数の小売店舗の存在基盤となっている。それであるからこそ、それら多数の両者間を結ぶ卸売業の役割が重要となる。私見では、流通システムの効率化の促進は、中間流通業の機能強化に依存する。ここでの「効率化」とは、物流における時間やコストの削減が消費者に利益還元されるという意味である。したがって零細小売店の共同仕入れ・共同配送などを通した流通効率化が当面の課題であると思う。

 ただし小木曽氏は謙虚にも、そういった中間流通効率化の役割を既存の卸売企業が必ず果たすという保証はないと指摘された。すなわち、たとえば小売業のイオングループがメーカーと直接取引し、自前の物流センターを整備すれば、上記の日本の食文化を保持しながら、流通効率化を推進するという場合が想定される。イオングループの物流システムの傘下に多数の零細小売店が入るというような可能性もありうるからである。そうなれば、食品卸売業の役割は縮小するかもしれない。だからこそ食品卸売業は合併・経営統合などによる「規模の利益」を今後も追求せざるをえないのである。

 小木曽氏のご講義は、以上のほか貴重な情報を提供していただいた。また最後に、企業が採用したい大学生は、アビリティとコンピテンスの両者をバランスよく兼ね備えた自主自立型の人材」であると指摘された。これについては日を改めて紹介する。

 講義終了後、今春に開港した神戸空港から小木曽氏は帰社された。ご多忙中のご講義であるにもかかわらず、現役のスポーツマンのような笑顔を絶やされない講義姿が印象的であった。ご来学に感謝を申し上げたい。

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