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2006年4月21日 (金)

ベトナム株式投資の懸念を払拭する

 ベトナム株式市場が活況である。この株価上昇について、企業実態を反映しない「バブル発生」という見方がある。さらに外国投機資金の流入が株価上昇の原因であるから、その資金の引き上げによって株価下落もありうるという見解もある。

 確かに上場企業については、外国人投資家の投資金額の増大によって、過剰に株価が上昇している可能性がある。しかしそれは、ベトナム企業成長の期待値の高さを示しているのであって、「バブル」とは言い難いと私は判断している。もっとも利益確定のための売却もあり、短期的な株価下落はありうる。ただし長期的な株価上昇の基調に変化がないと思われる。

 さらに「ベトナム・ドラゴンファンド(VDF)」が第2次募集を5月に予定している。このような外国資金がベトナム株式市場に流入すれば、さらなる株価上昇が期待できる。したがって日本の構造変化を伴うような「バブル崩壊」といった懸念はないであろう。あくまでも循環的な変動とみなされる。なおVDFについては次を参照。www.capital.co.jp/

 未公開株式の売買については、簡単に外国資金が関与できない。外国からの資金送金は可能であるが、未公開株式に対する投資は「相対取引」であり、その情報は証券会社の「コネ」に依存している。さらに重要なことは、ベトナムの証券会社に外国人が口座を開設したとしても、未公開株式については売買利益を外国に送金できない。未公開株式を売買する公式の店頭市場が未整備なのである。そこで公式の店頭市場の設置がハノイで準備されている。

 この未公開株の株価が、やはり急上昇している。たとえば株式公開を目前にした「サイゴン商業銀行(SACOM BANK)」は、 4月18日に1株70,500ドン(1ドン=16,000ドンとして4.41ドル)であったが、4月20日には92,000ドン(5.75ドル)になっている。わずか2日間で30%の上昇である。こういった未公開株式は、前述のように通常の外国人投資家の購入は難しい。したがってベトナム人投資家が売買していると推測される。

 ベトナムは「口コミ」社会である。株式投資で実際に儲かったとなれば、では私もという高額所得者が必ず存在している。たとえば昨年12月の「ベトナム石油油井採掘会社」の株式発行時の平均入札価格は14,000ドン程度であったが、現在の売買価格は42,000ドンである。4ヶ月間で3倍の値上がりである。それを聞いたベトナム人は、それでは株式に投資してみようということになる。

 未公開株式について言えば、前述のVDFのような外国投資ファンドはそれを購入できる。また外国送金も可能と言うことになっている。投資信託などを運用・管理する証券管理運用会社が証券会社とは別個に設立されており、そこから外国送金できるからである。ただし、ケイマン諸島やバージンアイランドなどの第3国のペーパーカンパニー経由による節税取引について、ベトナム政府当局は研究(警戒)している。不正取引の温床になる可能性があるからである。何らかの規制が課せられるリスクもある。

 なぜそうするのかといえば、ベトナム国内の証券業を育成するためである。外国証券会社などが本格参入すれば、大量の資金がそちらにシフトする。他方、WTO加盟の条件として、アメリカは金融・証券業の自由化を要求しているから、このような証券規制実施の有無は流動的である。国内の証券業を保護・育成しながら、徐々に外国証券会社に市場を開放するというプロセスが理想である。しかしグローバル経済の圧力は、そういった時間的な猶予を与えないという見方もできる。

 なお、VDFのようなファンドが所有する大量の未公開株式を相対取引で一気に売却することは無理である。したがって、未公開株の株価下落は当面考えられない。また通常、未公開株は株式上場までは持続保有されるのが一般的である。以上、未公開株式の売買価格は順調に上昇するとみなされる。

 このように考えれば、ベトナムの株価動向は、株式市場の本来の機能を表現している。国内・外国の余剰資金が株式市場に向かい、それが株価を上昇させる。その上昇した株価によって企業は資金調達が容易になる。それが企業成長・経済成長に貢献する。このような期待を込めて企業実態からやや乖離した高株価が示される。

 これに対して日本で流行の「デイ=トレーディング」こそ、マネーゲームそのものである。同じ株式投資をするなら、マネーゲームの日本よりも、ベトナムの経済成長に確実に貢献するベトナム株式に投資したいと私は思っている。

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