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2006年4月 8日 (土)

中・南東欧の貿易促進研修セミナー :疲れた !!

 3月7日(金)は終日、JICA兵庫国際センターで「国別特設:中・東欧海外貿易振興政策コース」の講師を務めた。この研修は、JICA兵庫国際センターと(財)神戸国際協力交流センターが委託契約を結び実施された。感想は「疲れた」。

 このJICA研修の対象は、次の11カ国の研修生11名であった。そのいずれもが( )内の政府機関に勤務している。アルバニア(経済・貿易・エネルギー省)、ボスニア=ヘルツェゴビナ(対外貿易会議所)、ブルガリア(経済・エネルギー省)、コソボ(経済・財務省)、マケドニア(対外投資庁)、クロアチア(外務・欧州統合省)、モルドバ(経済・貿易省)、ルーマニア(ルーマニア貿易促進センター)、セルビア=モンテネグロ(国際経済関係省)、ウクライナ(経済省)。これらの国々の中でコソボは自治区のために地図では明示されていない。研修生に尋ねて位置を教えてもらった。

 私の講義の前半は、起業に関する事例について議論し、その後に経営戦略の基本概念を説明した。後半は、各国の輸出戦略を策定・明確化するために、各受講生に自国のSWOT分析の結果を発表してもらって、その後にコメントを加えるという形式を採用した。

 SWOT分析は、各企業(個人・組織・国家)のS:Strength(強み)、W:Weakness(弱み)、そしてその企業の外部環境に関するO:Opportunity(好機)、T:Threat(脅威)を主観的に要約すること意味しており、新たな経営戦略やマーケティング戦略を策定するための現状分析に利用される。詳細は、たとえば、http://www.tdb.co.jp/marketing/mark02.html を参照。

 研修生の国々に共通したS(強み)は、低い労働コストであった。これは、ほかのEU諸国と比較して、これらの国々が低いという意味である。たとえばベトナムの最低賃金が50ドル少しと私が説明すると、「それは安い」という驚嘆の声があがった。しかしベトナムからEU諸国まで、たとえば製造部品を輸出するわけにはいかない。物流コストや在庫コストの問題が発生するからである。そこでEU進出の日系企業の部品供給基地として、これらの国々は有望であるという結論になる。

 この研修コースの使用言語は英語である。下手な英語を駆使して私は頑張ったが、残念ながら、日本語で考えていることの60%ぐらいしか英語で伝えられない。そうであれば、思っていること(=伝えたい情報量)を約1.7倍にしておけば、その100%を英語で伝えることができる。

 このことを換言すれば、日本語で無口な人は英語ではもっと無口ということである。日本語で饒舌な人は英語ではちょうどよいということである。最近、小学生から英語教育を導入するという文部科学省の新方針が発表された。この反対意見として、最優先すべきは母国語教育であるとか、英語は手段であり、より重要なことは伝える内容であるという主張がある。

 私見では、すべての言語は人間と人間の(場合によっては人間と動物の)コミュニケーションの手段にすぎない。言語よりも重要なことは、コミュニケーションそれ自体である。たとえ無言であっても、たとえば画家のメッセージはその作品を通して他人に伝えることができる。さらに「目は口ほどにものを言う」という先人の言葉もある。この意味で、当面必要なことは、より広い内容を含んだ国際コミュニケーション教育の充実・強化である。必ずしも英語教育に限定する必要はない。

 そうは言うものの、もっと英語を勉強しようと、いつものことながら、英語で講義した直後の私は痛感する。ただし研修生からは、いくつか「笑い」を取れたし、私にとって疲れたけれども楽しい講義であった。

 今回の研修生の国々のイメージは、必ずしも良くない。これは研修生自身が述べていた。戦争・紛争・内戦のイメージである。しかし実際には、すでに政治的に安定しているし、治安も悪くないそうである。そうであれば、これらの国々に対する日本人のイメージは偏見や先入観に基づいている。これらの国々の研修生に接しただけで、それらに対する私のイメージは改善された。

 同様のことは、少し前のベトナムやカンボジアにも当てはまる。戦争や地雷のイメージがあった。しかし、これらの国を訪問すれば、訪問前のイメージが変わることは間違いない。

 このような体験を多くの日本人にしてもらいたい。もっと、これらの国々のことを知ってもらいたい。そこで次のようなセミナーが今回の研修生を講師として開催される。より多くの人々に参加を勧めたい。なお研修生のほかに、神戸大学大学院経済学研究科・吉井昌彦教授、矢崎総業(株)・内山弘之・常務取締役が講演される。特に内山氏は、ルーマニアとウクライナに企業進出された経緯や現状を説明される予定である。このような先発企業が成功すれば、その後に多くの日本企業が続く。これは、ベトナムの事例が証明している。

 貿易・投資セミナー:南東欧への投資の魅力

 日時:4月20日(木) 14:00~17:00

 場所:JICA兵庫 ブリーフィングルーム(2階)

 主催:JICA兵庫国際センター、(財)神戸国際協力交流センター。

 後援:JETRO神戸貿易情報センター、神戸商工会議所、大阪商工会議所、(社)神戸貿易協会。

 

 

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コメント

SWOTに興味あります。JICA研修に適用したいと考えています。
さて、貴文中の「詳細」画面がリンクされていないのです。よろしくお願いします。

投稿: 高間 英俊 | 2008年11月28日 (金) 09時41分

SWOTに関心があって、JICA研修に適用できないか検討している最中です。
この手法が、各組織の戦略を練るのに適しているのではないかと思っています。さて、文中にある「詳細」のwwwがリンクしないのですが、いかがでしょうか。

JICA筑波  研修指導者 高間

投稿: 高間 英俊 | 2008年11月28日 (金) 09時38分

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